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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
僕は芭蕉という人を、そして俳句を全く知らなかった。
今回の旅行で伊賀上野に足をのばし、蓑虫庵、芭蕉翁生家そして芭蕉記念館を訪れて、つくづく彼の俳句の凄さと生きざまに感動した。 どうも小学生の頃、あの“古池や蛙飛び込む水音”を名句として最初に教え込まれたのがよくなかったと思う。 なんであたりまえのことを五七五に並べただけのものが、あれだけ賞賛されなければならないのか不可解のまま、芭蕉や俳諧そのものと無縁に過ごしてきた。 今回は配偶者の希望で、伊勢の津にある清少納言ゆかりの榊原温泉に二泊した。 津の街から車で30分ほどの山間にある、観光とはおよそ縁のない鄙びたといってよい温泉地である。 そのなか日、風は冷たかったが快晴なので、周辺をドライブすることとし、伊賀上野そして伊賀焼の永谷園などを回ったのである。 伊賀は忍者の里とは知っていたが、芭蕉の生地とは迂闊にも知らなかった。 そこでまず、忍者屋敷を見学し、ついでに忍者珈琲館キドで忍者コーヒーを御馳走になり、その後で芭蕉の面影を心行くまで堪能したのである。 今の僕にとって芭蕉はどんな存在か。 「人間の営み」をレーザーメスで鮮やかに捌いた人、といえるだろうか。 色と音と匂いと、五感に訴えるものを象徴的な言葉で対比させ、感動的な小宇宙を演出する天才、ともいえるだろうか。 そしてあの“・・・いずれの年よりか、片雲の風に誘はれて、漂泊の思いやまず・・・”という聞きなれたセリフが、改めて琴線に触れたのであった。 これは以前、ヘッセの故郷カルフを訪れた時、彼の遺品や原稿に接し、ペーターカーメンチントを紡ぎだしたヘッセの心の奥深い底に触れた時のような思いに通ずるものであった。 やがては僕も“旅に病んで夢は枯野をかけめぐる”のだろうか・・・
by n_shioya
| 2010-01-06 20:45
| コーヒーブレーク
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Comments(10)
三重に来られたのですか?私は 榊原よりまだ奥にある美杉村(現在は津市に合併)で育ちました。
榊原の湯は なかなかでしょ?近くにオススメの砂羽(さわ)という砂風呂があるので次回お越しの際は 松阪肉とセットで ご案内させて下さい。あっ伊勢志摩の海の幸も…。
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確かに「琴線に触れる」時は、年齢とともに突然に訪れるものですね。
学生時代にはそれほど感じていなかったクラシックが、コーヒーのお供に欠かせなくなってきたのは何年前のことでしょうか。 仕事で訪れたイングランドやスミソニアン、そしてスペインやローマが、自由な時間に訪れる楽しさとどれほど見方や感じ方がちがうものなのか、ようやく自由人の私にはわかりかけてきたところです。 ところで、先生が私のブログを訪れていただいて、コメントもいただけたことに大感激です。ご夫婦の今年の仲の良い旅を祈っております。
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さぼてんの花
at 2010-01-07 15:12
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あら!先生ちゃっかり、綺麗な「くノ一」(女忍者)さんとツーショットですね
わたしは以前、永谷園では陶芸も体験いたしました 自分で作った焼き物は不出来ながら愛着あります 榊原の湯は本当によい温泉です 先生は行動範囲お広いですね~。
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ruhiginoue
at 2010-01-07 17:20
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松尾芭蕉は忍者だったから諜報活動で旅をしていたというのは定説で、よく時代劇のネタにもなってましたが、「芭蕉紀行秋」という管弦楽曲は聴いたことがあるでしょうか。
作曲者の箕作秋吉は理工学博士で、学者の家系に生まれ先祖に医師もいました。 ボロディンや伊福部昭など理科系の作曲家は、なぜか民族的な作風になり前衛や電子音に無関心っぽい傾向ですが、テクノロジーにコンプレックスがないということでしょうか。
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n_shioya at 2010-01-07 23:29
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n_shioya at 2010-01-07 23:29
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n_shioya at 2010-01-07 23:30
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n_shioya at 2010-01-07 23:33
よい旅をなさったのですね。
その昔、私も伊賀の忍者の里に一度だけ訪れたことがあり、 忍者屋敷も行きましたが、 屋敷内の巧妙なからくりに、驚いたものです。 まるでかくれんぼ..。楽しかった思い出があります。 辺りは、とても空気が美味しくて、癒しの里でした。 その後、三重・松坂、津市にも、数度訪れたことがありますが、 松坂牛にばかり気をとられ、 伊賀上野が、芭蕉の生地とは私も知りませんでした。 松坂は、確か、本居宣長の生誕の地でもありますね。 榊原温泉、今度是非、尋ねてみたいと思います。
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n_shioya at 2010-01-08 23:24
芙蓉さん:
今までは海外にばかり目が向いていましたが、日本にもまだまだ魅了句的なところがありますね。 一回の海外旅行の費用で、国内なら少なくも十数か所は回れるわけですから、これからはもっと国内探索も心がけたいと思います。 芙蓉さんのように素敵なフォトがとれればいいのですが。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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