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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
「愛と癒しのコミュニオン」
「愛と癒しのコミュニオン」_b0084241_11173785.jpg河原町教会は三条河原町にあるが、その何気ないコンクリート造りの聖堂に足を踏み入れると、周りは明るいステンドグラスで囲まれた別世界で、街中のオアシスのような存在である。
京都に行けば一度は寄ることにしているが、今回も大文字焼きの翌朝、聖堂におわしますはずの方にご挨拶に伺った。
聖堂のわきにキリスト教関係の小さな書店と言うか売店がある。
最近はカトリックも大分と鷹揚になって、かつてなら異端として焚書の対象になったようなものまで、幅広く品ぞろえしているので楽しい。

その中に「愛と癒しのコミュニオン」と言う新書があった。
著者は鈴木秀子。元聖心女子大の教授である。
最近はこの手の本と言ったら失礼だが、よく売れるようだ。
コミューニケーション、癒し、ハラスメント等々、現代のストレス社会にもがき苦しむ人々の悲鳴が聞こえてくるようだ。
フランクルの「夜と霧」の新訳と一緒に買い求め、帰りの新幹線での楽しみとした。

著者によれば「コミュニオン」とは、「愛による魂の絆」を意味し、人間の奥深くにある人間の存在そのものでつながり、調和して一つになることだという。
そのカギとして著者はドイツの思想家シュタイナーの[アクティブ・リスニング」を活用している。
これはただ話し手に注目し、注意深く耳を傾ける、つまり「傾聴」することで、話し手は自分で解決していく知恵を出すことができるという考えのようだ。

豊富な具体例を上げて、その実践法まで著者はわかりやすく説明を展開する。
そして「他者に聴く」に始まり、「自分に聞く」へ進みさらに「大宇宙に聞く」へと展開する。
またその補助手段として、呼吸法、瞑想などにも話は及び、「抗加齢」に携わる身としては、サプリとか抗酸化とか、ただ末端の手法に終始することなく、もっと人間の根源にかかわることに思いを致すべき、と痛感した。

何時も言うように、「抗加齢医学」は高齢者のQOLを高めるための心身のサポートにすぎない。
そのQOLの奥を極めること、生きがいの追及にこそ、高齢者の経験と叡智が物を言い、その成果が著者の説く「愛と癒しのコミュニオン」に還元さるべきであろう。

by n_shioya | 2009-08-23 18:52 | アンチエイジング | Comments(2)
Commented by HOPE at 2009-08-25 07:00 x
“よりどころ”…って何かなと…果たして「自立&自律するための芯を支えるもの!」と答えられるのかとしばし考えました
「寄り掛かりのめり込むもの」として言葉が使われている事を感じた時にウスラ寒い気持ちになります
人は一人では生きられないけれど、立つのは一人、自分の力でなければ優しさも深さにも到達できないですよね

例えば、教会の美しさを「自分」が心から感じてこそ共有したいと思う…
大自然の大きさと己の小ささを痛感し言葉なくとも同じ感覚を共有できたと感じる…
そういう気持ちを育てて初めて人の話が聴けるのだなと思う今日この頃です
Commented by n_shioya at 2009-08-25 22:01
HOPE さん:
なかなか難しい問題ですね。
こちらもよく考えてみます。


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