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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
これはすでに書いているかもしれないが、患者中心の医療が叫ばれている今、医師の卵にとっては大切な心掛けだと思うので、改めて記す。
アメリカでは医学部の教授は基本的には開業医で、大学から月給が出るわけでなく、肩書だけをもらう。収入は患者からの上りに頼るので、患者を大切にする。 そういう教授の診療態度から、レジデントは自然に患者中心の医療、平たく言えば開業術を学ぶことができる。 そうして僕が学んだレッスンの中で僕が研修医に繰り返し教えてきたことが三つある。 まず、回診のときは、ベッドサイドの椅子に座り、立ったままで話さない。こうして患者の話をじっくり聞きますよ、という安心感を与える。さもないと患者は医師がすぐ次のベッドへ移るのではときがかりで、十分聞きたいこと、訴えたいことも口に出せなくなってしまうからだと教えられた。 また寝ていて立ってる医師を見上げると、威圧感を感じて言いたいことも言えない、ということは僕自身の入院経験で思い知った。 次は予約。再来の予約はたとえ半年先でも、何月何日の何時と決めること。再診が大事だと認識するからだ。半年したらまたおいででは、患者がつい忘れてしまうことも多い。 どんな病気であれ、患者は癌を恐れていると思い、がんでなければそう告げること。 およそ癌と無関係の病気の場合、医師の念頭には癌のことなどまったくないので、改めて癌ではないと告げることなど思いつかないで診察を済ますと、ああ、やっぱり癌だったのか、だから医師はそれを話題にせず隠したのではないかと思い込んでしまうことが多々ある。 薬を処方するときは、服用方法を具体的にすること。 とりあえず日に2,3回飲んで、などと言うのは決してよくない。日に三回なら三回、それも食前か食後。はっきりと指導する。 そのほうが薬の効果も上がるというものだ。 薬の目的とその副作用について十分説明することは言うまでもないが。 このようなきめ細かい配慮は、残念ながら日本の大学病院ではあまり教えられてこなかったし、患者を「様」づけで呼ぶよりもはるかに大事だと言える。 ちなみ我が国の保険制度では、診療報酬は一律で、経験や技術は完全に無視される。 医師免許取り立てであろうと、ベテランの医師であろうと、治療費は一銭の違いもない。 もちろん学会認定の専門医であろうとその分野の素人医師であろうと、まったく関係はない。医師なら原則として医療行為すべておこなえるのが現在の医師法である。 それが医療訴訟となると、突然、経験が問題にされる。 このような矛盾だらけの保険制度のもとで、よい医師が育つはずもなかろう。
by n_shioya
| 2009-07-30 22:26
| 医療全般
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Comments(13)
患者を「様」づけて呼ぶようにしたら、尊重したつもりが勘違いされてしまい横柄になるアホ患者がいて困ったようです。
それより、医師のほうの呼び方変え、先生と呼ぶのはやめてドクターと呼んだらどうでしょう。 偉い人としてではなく専門家として敬意をあらわすと同時に自覚を促すのです。
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勤務先の先生方にも、これを読んでいただきたいと思いました。「とりあえず」や「今度は半年後に」はザラです。私も患者様に接することが多いので、貴重なお話でした!ありがとうございます
以前から塩谷先生のブログを拝見させてもらっています。きっかけは、まさにアンチエイジング! 茂木健一郎先生の「脳」に関することに興味があり、書籍を読んでいたらアンチエイジングという言葉に出会いました。
私もある地方都市の病院に勤務する医療従事者の一人ですが、常日頃日本の医療の矛盾に悩まされています。患者さんのための医療を築くための大きなうねりを起こすことはできないものでしょうか。
初めてコメントします。
最初はたまたま「アンチエイジング」で検索したのかな?ヒットして読ませていただくことになり、いつも気さくでらっしゃって、お医者様なので難しい事が多いかなと思いましたが、頭の悪い私にも理解できるわかりやすい表現で楽しみに読ませていただいてます。 コメントも同業者の方々が多いようで控えておりましたが、たまたま今回コメントされてる中で塩谷先生のブログ全体につて、「うわ、同じ事感じてる人が・・・」と思い、つい書いてみることにしました。 診療報酬についてはコメント難しく控えさせていただきますが、よいお医者様を育てる環境は必要ではないかと思います。 話かわりますが、パスポート見つかって良かったですね。紛失は届出等々手続き厄介です。 基本的にコメントしない人なので、これからも楽しみに読ませていただきます。
ふくだ さん:
言うは易しくで、自分でも守れているかどうか怪しいものです。
だんぷさん:
ま、でも、昔よりはずいぶん良くなってきましたが。
「俺のことを先生と呼ぶな」なんて物分かりの良い事を言う医者に限って、いざ「○○さん」などと呼ばれると、凄く不機嫌になったりして。。。
面白いですね。そういえば佐藤栄作が「栄ちゃん」と呼ばれたい、などといっておいて、いざ横山ノックに「栄ちゃん」と呼ばれたら、物凄く嫌な顔をしていたのを思い出します。東大出身者のもつ「庶民」に対するアンビバレントな感情が出ていて興味深いと思いました。
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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