|
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
Significant others という言葉はいつごろから使われ始めたのだろう。
僕が知ったのは10年ほど前、学会参加の登録からである。 昔からアメリカの学会は夫人同伴が通例だった。 プログラムも婦人方の為のレディースプログラムが設けられていた。 従って、参加申し込みも、夫人同伴か否か書き込むようになっていた。始めのころはspouse という枠をチェックするようになっていた。 そのうち、娘の場合もありということか、accompanying person という言葉が使われるようになった。同伴者というわけである。 それが最近では、よくsignificant others という言い方に変わってきた。 Oxford Dictionary を引くと 「a person with whom someone has an established romantic or sexual relationship」とある。 平たく言えば同棲関係を公認しての言いでもあり、欧米の結婚の形態の変化がうかがえて面白い。 元来アメリカは離婚率が高かったが、その中でも形成外科医は群を抜いていた。 学生時代に看護婦と結婚し、開業して年収が増えるに従って、文字通り乗り換える。中には、3度4度という猛者もいた。 我々はそれをmortality rate(死亡率)と呼んでいた。 学会では懇親会の前にその辺の事情を探っておかないと、失礼することがあるので気を使う。だが、たいていの場合、当人たちはあっけらかんとしたものだ。 昔夫婦同士で仲良く付き合っていた奴が、若い子と手を組んで現れ、『おれは初めて幸せを知った』などぬかすと、返事のしようがなくなる。 抗加齢の世界では高齢者のQOLの評価で配偶者の有無が重要視されている。 配偶者の喪失は非常なストレスであるが、離婚はさらに大きなリスクファクターとされていた。 そして最近は、独身の方、また配偶者を亡くされた方にとって、significant other の存在は、老後のQOLを高めるうえで大変効果的な要素である、と強調されるようになった。 ただし、「失楽園」のリスクはしょいこまぬようにとの但し書きがあったことを付け加えておく。
by n_shioya
| 2009-07-19 20:37
| アンチエイジング
|
Comments(6)
Commented
by
船長
at 2009-07-20 07:36
x
QOLというならば高齢者に限ったことではないのかも…
「最近結婚はおろか異性と付き合うこともできない 若者が多くなっていて気持ち悪いな」 「だいたい気持ち悪い母子が多過ぎる」なんて話が、 飲みながら上がっていたのが10年以上前だったような… 確かに気持ち悪い大人と気持ち悪い事件増えましたもんね そういえば、少し前に20代後半の若者と 「結婚」について話したところ、 「いや、したいんですよ。 別に理想が高いわけじゃなくて 人間ならいいと思ってるんですけど…」 と真顔で返され絶句したのでした。 Significant othersだろうが まともな人間付き合いができればヨシ!ということですかね …となると、先生ご夫妻は「絶滅危惧種」!?
0
先生、我が家の場合は "Magnificent Other" と表現するに相応しいと思われます。
Commented
by
icelandia at 2009-07-20 14:01
politically correctの表現って、良いんだか何だかよく分からないことが多いです。physically challengedとかmentally challengedとか・・・。ボケもmentally challenagedでしょうか。それから、ジョン・レノンで一時house husbandという言葉が使われましたが、あれもprimary caretakerだそうで・・・。言葉は生き物とはいえ、英語圏に住んでもいないので、覚えるのに一苦労です。
Commented
by
n_shioya at 2009-07-20 22:11
船長さん:
絶滅危惧どころか、化石の部類でしょうな。
Commented
by
n_shioya at 2009-07-20 22:11
valkyries さん:
それは素晴らしい!
Commented
by
n_shioya at 2009-07-20 22:12
icelandiaさん:
言葉は生きているし、それがまた魅力ですね。
|
塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
以前の記事
検索
カテゴリ
全体 アンチエイジング スキンケア 医療崩壊 キズのケア QOL 老年病 介護 手術 全身療法 食生活 サプリメント エクササイズ エステティック ヘアケア 美について コーヒーブレーク 医療全般 原発事故 睡眠 美容外科 再生医療 再生医療 未分類 最新のコメント
フォロー中のブログ
ICELANDia アイ... 九十代万歳! (旧 八... ・・・いいんじゃない? 京都発、ヘッドハンターの日記 美容外科医のモノローグ ArtArtArt 芙蓉のひとりごと 真を求めて 皆様とともに... ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
|
ファン申請 |
||