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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
梅雨が明けた途端に、猛暑が襲ってきた。
連日34,5度の暑さである。暑さ以上に湿気がこたえる。 親父が百歳の夏も、記録破りの猛暑だった。 それまで現役ゴルファーとして、毎週一回、必ず18ラウンド回っていた親父が、珍しくハーフで帰ってきて言うには、 “なあ、信幸。暑さが堪えるというのは俺も年かもしれん。” その信幸はまだ七十七だ。今から音を上げているようでは、とても親父ほど長生きはできそうもないし、またしたいとも思わない。 そう弱音を吐くのはいくつか理由がある。 まず、加齢により確実に体力は落ちていく。そのために今まで楽にできていたことが、多少の努力を必要とするようになる。これがいずれ多大の努力になることが恐ろしい。つまり自分で自由が利かなくなることである。 その時どう感じるか? それなりに順応していくか、じれったく感ずるか、なってみないとわからない。 それが高じて要介護となることも厭わしい。 だが、行く手には脳梗塞、動脈硬化、大体骨折そして認知症など、もろもろの敵が手ぐすねを引いて待っている。 それを迎え撃つのが抗加齢のはずだが、正直まだそこまで進歩しているとも思えないし、必要な節制ができるほど親父のように意志が硬くない。 唯一つ、加齢とともに向上していい能力がある。 それは「知力」というか、経験の積み重ねの「判断力」だ。 もちろんこれとて意志と努力を必要とするが、衰退をくいとどめるという消極的なものと違い、積極的に増強をはかるわけで、当人の意欲を掻き立てやすいのではなかろうか。 とすると次なる課題は、高齢者が如何に知力向上のモチベーションを高めるか、そしてその結果生まれるはずの「英知」をいかに社会が活用するかであろう。 そしてまた、認知症がらみの頑固さを、本人が「英知」と思い込む危険性をいかに防止するかも、頭の痛い問題と言える。
by n_shioya
| 2009-07-16 22:36
| アンチエイジング
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Comments(7)
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アヤメ
at 2009-07-17 00:42
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まさに今日の知力 英知のお話はDevelopmental Psychoilogyがone of school of psychologyになったゆえんです! 人はそれぞれレベルもスピードも違いますが 死ぬまで精神的に成長するということですね。脳の機能の低下は血流だと私たちは考えていますが、基本は運動と食生活とコーピングスキルだと心理学ではいいます。死をどのように受け止めて迎えられるかは その人の今までの人生の過ごし方に大きく作用すると言います。セラピーセッションでは、高齢のクライアントとはUnfinished Businessをします。人生でやり残した事やもう一度会って話をしたい人や 謝りたい人に手紙を書いたり絵を書いて送ったりします。そうすることによって 自分の過去の人生を前向きに受け止められるようになるからですね。今日もありがとうございました!
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at 2009-07-17 07:58
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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船長
at 2009-07-17 08:31
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お珍しく後ろ向きっぽい内容かと思えば、
やっぱり最終的には尽きぬ好奇心と課題といった内容で ホッとしました…そうこなくっちゃ ただ「病は気から」と「脳の5%ほどしか使っていない」という説を合わせると 「英知」「判断力」の陰に何かスイッチが隠れていて 実際の身体的老化を遅らせたり、まるで若返るかのような何かを分泌したり ってことがありそうな気がするのですが… 確かに「頑固さ」はそれを邪魔しそうだけれど…「自分に向いた頑固さ」(お父上の節制のような)と「他人に対する頑固さ」では働きが違いそうですしね 人間ちょっとしたことでドッと老け込んだり 見違えるほどの若返ったりというのが 昔から不思議で…
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さぼてんの花
at 2009-07-17 09:56
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「起きて半畳、寝て一畳」 どんなお金持ちもホームレスであってもこれは同じ
どうやって生きると、手ぐすね引いて待っているもろもろの敵に打ち勝てるんでしょうね 生身の人間ですから鮮度ありますよね 先生 暑中お見舞い申し上げます。
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at 2009-07-17 14:11
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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山路
at 2009-07-18 19:54
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at 2009-07-18 20:05
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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