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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
今日はまたちょっと硬い話。
褥瘡のセミナーの報告である。 「褥瘡」?それなに?などいまさら聞かれる方はこのブログの読者にはおられないと思うが、念のために申し上げると、いわゆる「床ずれ」のことである。 ただ「床ずれ」と言うと、何か寝たきりになれば出来て仕方がない、という印象を与えるので、我々は極力その言葉を避けている。 褥瘡は防げるものである、そしてたとえなっても適当な治療で治癒させられる。 これが我々年来の主張で、そのために学会も設立され、今日の(株)ケープ主催の「褥瘡予防ケア最新情報」もその趣旨で、看護師や介護関係者を対象に開催された。 俺、そんなの関係ないと思わないでいただきたい。 明日は我が身かもしれないですぞ。 厚労省が望むように全国民がぴんぴんころりと逝ってくれればいいが、統計的には最後の数年は要介護ということが、世界的に言われている。認知症を含めた様々な老人病や、それでなくても高齢による車いすや寝たきりの生活、これが褥瘡発生の環境を作る。 そして今政府は、医療・福祉の予算削減をめざして、折角スタートした介護保険を削減し、介護施設を切り捨て、屁理屈をつけて在宅介護にシフトしようとしている。 あなたご自身でなくても、いつ家族にこの問題が発生するかわからないと事態になった。 長時間皮膚が圧迫されれば、ことに骨の上だと、褥瘡が発生しやすい。 裏返せば、頻繁に体位交換し、スキンケアをすれば防げるわけである。だが実際にそれにも限度がある。 そこで今一番重視されている補助手段の一つが、体圧分散マットレスと云って、マットレスに工夫を凝らし、体にかかる圧をなるべく分散させる方法である。 そして(株)ケープはこの道一筋に、介護用ベッドのマットレスを研究開発してきた会社である。 今日のプログラムは 「DTI(深部組織損傷)に対する看護ケア」杏林大学:丹波先生 「褥瘡予防ケアに役立つやさしい物理学」芝浦工業大学:米田教授 「最新の褥瘡管理2009」東京大学:真田教授 の三講演だった。 僕が座長を務めさせていただいたが、素人の僕にもわかりやすい、しかも最先端の興味深いお話だった。 今日の参加者は看護師を中心に約800名。 梅雨時とも思えぬ32度の真夏日をものともせず横浜パシフィコの大ホールに参集し、講師お三方の提供する最新情報を熱心に聴き入り、メモをとり、また鋭い質問を浴びせかけていた。 いつもながらこの問題に関しては、看護師さん達のほうが、大方の医師よりもはるかに熱心で、意識レベルも高いのは、座長としては嬉しいような、医師としては情けないような複雑な心境である。
by n_shioya
| 2009-06-27 22:01
| スキンケア
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Comments(6)
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船長
at 2009-06-27 23:56
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何週か前の日曜日におそば屋さんで相席になったサラリーマン氏二人。
「日曜日にもお仕事ですか、大変ですね」と話しかけたところ、「透析関係の学会で管を留めるテープの・・・」「あーそれではお医者さん相手に・・・」 「いや・・・ほとんど看護婦さんですね・・・実際患者さんの細かい快、不快に熱心に聞いて下さるのは・・・テープは細かい話ですから」 そんな会話があったのを思い出しました。
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n_shioya at 2009-06-28 23:46
船長さん:
昔現役のころ、回診の時のカルテチェックは医師の記載は飛ばして、看護日誌に綿密に目を通したのを思い出します。 医師の記録はどちらかというと通り一遍で、字が雑で読みずらい。それに引き換え看護師の記録は、患者の状態から、患者の恐れ、さらには看護師の看護の上での悩みやなど本音が赤裸々につづられているので、診療の上ではるかに役に立ちました。
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kayo-proceed at 2009-06-29 00:19
こんにちは!
美容clubのkayoと申します。http://proceed.exblog.jp/ ついつい読み込んでしまいました。 面白い書き方もしてくれていますので、退屈しませんね♪ 床ずれ、から想像するもの・・・ ゆくゆくは両親の介護を、順番で言えばすることになりますが 改善方法が、沢山増えるといいな!と思う今日この頃です。 それでは、また遊びに来ます!
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船長
at 2009-06-29 07:14
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お返事ありがとうございます
「医師の字は雑で読みにくい」…には、すみません…笑わせて頂きました
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n_shioya at 2009-06-29 12:25
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kayo-proceed
at 2009-06-29 23:12
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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