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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
鎌倉散策
鎌倉散策_b0084241_9503893.jpg鎌倉はいつ行ってもいい街である。
昨日は鎌倉近代美術館、そして今日は明月院とそのそばの友人宅を訪れた。
美術館は「シャガールとルドンの版画展」、明月院の傍に住む友人は以前山手の我が家の近くに住んでいた教会の仲間である。
明月院は紫陽花寺として知られているが、まだ花には早い。

明月院の後に東慶寺に立ち寄った。縁切り寺とも呼ばれるが、今日の目的はそこにはない。
そこは小林秀雄、野上弥生子等文士の墓が多いが、墓地の一番高見のところに、向陵塚というのがあり、旧制一高の亡霊がたむろしている。
ここでは毎年、五月に向寮蔡というのが行われ、同窓生が集まって寮歌を歌いながら、墓地を一巡する。今は旧制一高も消滅して、その数は毎年減っていくだけなのは悲しい。

鎌倉散策_b0084241_951473.jpg鎌倉の山は霊気で溢れている。
あまたの名刹から霊気が湧き出ているのか、霊気があるから名刹が生まれたのか、霊気に包まれて僕の想いはルドンの絵の魅力へと飛んだ。

ルドンの絵はことに初期の黒の版画は幻想的、いや怪奇的とさえ言われている。例えば沼に一つ垂れて咲く花が老人の顔だったり、ゲゲゲの鬼太郎ではないが、一つ目が宙に浮いていたり。
だがそのあとに展開したのは、色鮮やかなパステル画の世界である。
僕が最も好きな「少女と花」の絵は勿論だが、ペガサスのような空想の世界でも、オルフェのような神話の物語を描いても、具象具象である。
だが決して写実ではない。

鎌倉散策_b0084241_1002224.jpgいったい彼は何を描こうとしたのか。
東慶寺の杉木立の中で、岸壁に張り付く岩煙草の群生を眺めている時、はたと思い当たった。
ルドンが視たのはこの霊気の世界ではなかろうか。
幻想」がリアルに感じられた時、人は「神秘主義」の世界に踏み込む。
「花と少女」にしても、いかに写実的に描かれていても、少女も花も「幻想」の中に実在している。それがルドンの「神秘主義」の魅力ではなかろうか

東慶寺を一巡し終えて、配偶者と山門わきの茶房「吉野」に入り、フルーツケーキをかじりコーヒーを啜った。
ここのコーヒーは実にうまい。
僕にとって鎌倉詣での一番の魅力はここにあるのかもしれない。
鎌倉散策_b0084241_9543373.jpg

by n_shioya | 2009-04-29 22:11 | 美について | Comments(3)
Commented by 芙蓉 at 2009-04-30 09:58 x
鎌倉は、いつ行っても魅了されますね。
東慶寺に遊戯坐像して居ります、「鎌倉随一の美女」といえば、
先生はご存知でしょうか....?
足をやや横に流して座る様、うつむき加減の優しい表情、
女性らしい雰囲気、それはそれは可憐な仏様、水月観音様です。
東慶時に行けば、その姿いつも見たくなります。
やはり、これも神秘です...ね。

そして散策の後の珈琲に甘いもの、これもまた最高!
やはり鎌倉は、魅力がいっぱい...。
先生と奥様のコーヒータイム、楽しく想像しました。
Commented by n_shioya at 2009-04-30 21:57
芙蓉さん:
水月観音様知りませんでした。不明を恥じ、次回はお茶を割愛しても拝観いたします。
いつかは鎌倉に住みたいと言い続けている配偶者ですが・・・
Commented by だんぷ at 2009-04-30 23:14 x
紫陽花のころにまた是非・・・


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