そういえば昔、NHKの番組のなかで、「顔体操」と言うのをやらされたのを思い出した。
ガッツ石松や研ナオコも出る昼の番組で、その日のテーマは「顔」だった。
僕のパートは容貌の外科的改善の話だったが、そのあとパネリスト全員で、
眉毛を吊り上げたり、ヒョットコみたいな口をしたりする、表情筋のトレーニングをさせられた。
それが今、「フェースストレッチ」という名前で人気を呼んでいるようだ。
というのは、きのうNPOアンチエイジングネットワーク主催の女性向けミニセミナーを開き、その専門家の西脇先生お招きしたところ、狭い会議室が満員の盛況になったからである。

体幹や四肢の筋肉が骨と骨を繋いで関節を動かすのと異なり、顔には30ほどの筋肉があるが、表情筋と呼ばれ、ほとんどが顔の骨から出て皮膚に付着して、皮膚を動かし表情を造る。
通常は2，3割しか使われていないが、これを訓練することで表情も豊かになり、また皮膚の血行も改善され、若返るというのが、フェースストレッチの効用だそうだ。

口の周りの筋肉を巧みに使うスマイルの練習もエクササイズの一つだった。
ストローを横に、上下の歯でくわえ、その時に口角がストローより上に出るように釣り上げるのだそうだ。
次にそのスマイルを保ちながら、ストローをそっと横に抜く。
これが理想のスマイルだとすれば、きっとスチュワーデスたちもこれを練習させられているのだろう。
前にも書いたが、昔、馴染みのパンナムの美人スチューワデスにやんわりと言われたことがある。
“先生、ね、私たちのスマイルは業務用。だから誤解しちゃだめよ”と。

だが、30分ほどのエクササイズで、見事に上達した参加者のスマイルを見ていると、プロフェッショナルなスマイルをどう見分けるか自信が持てなくなった。反面、また、見破られるようでは練達したとは言えないし、と頭を抱えてしまった。
いずれにせよ心地よくさせられればそれでいいじゃないですか、則を超えない程度に。