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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
一人旅
“私、一人で京都に行こうかしら、ちょっと日帰りで”
カード会社の月刊誌を眺めて、突然配偶者が言った。
“いいよ、でもなぜ一人で?”
“貴方は忙しすぎるでしょ”
確かにこのところ、引退とはほど遠いライフスタイルを送っている。
でも、京都の日帰りぐらい都合つかぬことはない。

忙しすぎるというのは、僕が一緒だと大げさになりすぎるということではなかろうか。
宿は俵屋は無理でも、ブライトンぐらいとか、新幹線もグリーンを予約してとか。
鈍行に飛び乗って、泊まりも行き当たりばったりのさりげない宿というのが、彼女の旅の好みだということはわかる。できれば僕もそうしたい。
だが近年は学会の出張が多く、経費は多少の余裕があるが、時間はきついため、つい堕落した旅行のスタイルになってしまった。

ちょうど今、加藤周一の「続羊の歌」の次のようなくだりを読んで共感を覚えたところだった。
「私はフランスで中世美術を発見したーーーというよりも中世美術を通じて、美術そのものの私にとっての意味を発見した。造形的な世界が、私の住む世界の全体にとって欠くことのできない一部分となったのは、その時からである。
(中略)
私の西洋見物には、幸いに金がなかったことも理由の一つに違いない。もし私に金があったら、多くの旅行者と同じように、私も、金で買うことのできるものに、興味を持っていたかも知れない。名高い宿屋、上等の料理、商売の女たち、土産物、画廊の油絵…しかし雨露をしのぎ、かろうじて餓えぬだけの金しかなかったので、本来無料の対象に、興味を持つほかはなかった。
(中略)
しかしそれだけでなく、私は、フランスにおいて、歴史的な芸術がその重要な一部分として知的世界の全体に組み込まれている社会を観たのである。」

でも、なにも加藤周一まで引っ張り出して、深読みすることはないのかもしれない。
単純に、時には“濡れ落ち葉”を振り払って、一人で自由に旅したいというだけのことかもしれないから。
by n_shioya | 2009-02-22 22:56 | コーヒーブレーク | Comments(4)
Commented by 船長 at 2009-02-23 04:57 x
濡れ落ち葉などとおっしゃらずに・・・
女という生き物は・・・といつもの調子で「クスッ」となるコメントもお願いします。
ところで・・・
大名旅行と貧乏旅行では同じ国がまるで違って見えると
若かりし頃に痛感した身としては
やはりぶらり気ままに旅に出たいです。
出発時間も宿も決めずに、乗物を逃せば本を読み、
目の前にいる人と他愛もない会話をして・・・
生きてるな・・・と実感できます
Commented at 2009-02-23 04:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n_shioya at 2009-02-23 23:08
船長さん:
いつかまた、気ままな航海を楽しんでください。
Commented by n_shioya at 2009-02-23 23:08
3号さん;
よかったですね。


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