エキサイトイズム

カテゴリ:未分類( 3 )

借り手優位市場で不動産屋はどうなるのか考えてみた。

こんにちは、R-STOREの浅井です。

先週のエントリーで、「大家さんが左団扇の時代はとっくに終わってるよ」と書きました。これは住宅の需給バランスが崩れているという構造的な問題なので、何も大家さんに限った話ではなく、我々仲介業者も飯のタネがなくなるかもしれないという危機的な状況なわけです。需給バランスが崩れたことの原因は、過剰な住宅の供給と、それに反して減ずる人口な訳ですが、需要が減ってくると当然ですが「不動産業者も多過ぎる」という事態になります。大概の駅前には数件の不動産屋さんがありますけど、今後需要は減るばかりですから、相対的に不動産業者が余る状態になります。その兆候はだいぶ以前から見えていて、ここ最近はより一層顕著になりましたが、「仲介手数料半額!」とか「仲介手数料無料!」といった業者間での価格競争に突入していることからもわかります。
もう削り合いですね。レッドオーシャンです。

図1は、財務省がまとめた法人統計ですが、主な産業の法人数が減少していく中で不動産業だけなぜか伸びています。図2を見ると事業所数も伸びている。人は減っているのに、何故法人数、事業所数は増えているのか、それに関しては、不動産業界の参入障壁の低さに問題があるのですが、それについては改めさせて頂くとして、仲介手数料の削り合いという結果が不動産業者の余剰によるものだということは、明らかでしょう。
c0250964_1025384.jpg
図1 唯一不動産業の法人数だけが微増。

c0250964_1025743.jpg
図2 事業所数も増。理解に苦しむ。



ただ著名なマーケッターである三浦展さんの著書「2030年の日本」によれば、「東京」の2040年時点での予測人口は1230万人。2010年時点が1316万人です。三浦さんも仰っていますが、そんなに減りません。やばいのは地方都市です。意外にも大阪もやばい。887万人→745万人ですから15%以上減ります。単純に言えば不動産業者も15%減しないと今の収益は保てないことになります。
この減少するパイの食い合いの時代に入っているということですね。その結果が「仲介手数料半額!」「仲介手数料無料!」なわけです。

以前のエントリーで「弊社は仲介手数料を負けません」と勝手ながら宣言させて頂きました。それは、私たちが行っている仕事の内容に対するプライドだったりもするし、仲介手数料を頂くだけのことはさせて頂いているつもりですので、行けるところまでは行くつもりですが、周りが全部半額にし始めたら、我々も場合によっては追随せざるを得ないでしょうね。そうはならないように、右から左ではなく、私たちならではの価値をちゃんと提供できるようにするつもりで準備しています。

一方で法令によれば、仲介手数料というのは大家さんから頂いても良いことになっています。先週のエントリーでも書きましたが、今後は「借りてくれて有り難う」という借り手優位のマーケットになって行きますから、仲介手数料を大家さんから頂くというのがスタンダードになって行くかも知れませんね。

このあたりで。

R-STORE浅井

by r-store_asai | 2013-07-31 10:29

大家さんに22時以降はテレビを見るなと言われた時代の終焉。

こんにちは、R-STOREの浅井です。

仕事柄不動産業の将来に思いを馳せたりします。

戦後日本が焼け野原になって、実際に住むところが無くなって、戦災を逃れた住宅や、一部の土地持ちがアパートを建てて、住むところが無い人がそれを借りた、と。需給で言えば完全に「需要>供給」だったわけで、そうなると強いのは大家。いわゆる「貸し手市場」になり、価格の決定権は貸し手にあった訳です。
総務省の調査を見ると、1963年までは、世帯数に対して住宅数が少なかった。つまり「家が無い」人が結構な数存在したと推測できます。「住みたくても住む家が無い」と。こういった状況下で、形成された慣習の一つが「礼金」でしょう。
そもそも「礼金」ってなに?と。この由来には諸説ありますが、その一つに「住ませてもらって有り難うございます」というお礼、という説があります。「住宅が不足している中、私たちに家を貸してくれて有難うございます。感謝します。心ばかりですがお受け取り下さい。」というわけです。昔は大家さんのご自宅に間借りするケースも多かったですし、交通機関も発達していなかったので、遠くの親戚の家に下宿するケースに「息子のお世話をお願い致します」みたいな意味もあったようです。いずれにせよ、色々な要因で「貸し手」が強かったんですね。余談になりますが、当時は「いきなり出て行けと言われた」、「敷金が返ってこない」、「とんでもない額の原状回復費を請求された」、なんて話はざらにあって、そういったトラブルを避けるために、平成3年に借地借家法が制定されました。これは「借り手=弱者」ということを前提にしていて、借り手を保護するために制定された法律です。それくらい大家さんが強かったということですね。

これは私の話ですが、以前住んでいた家の大家さんは90歳近いおばあさんで、とても昔気質の方でした。ある日新聞を取りにポストに行くと一枚の手書きのビラ。大家さんからでした。そこには、「22時以降にテレビを見ないこと」と書いてありました。守れない人は退去してもらって良い、と。ずいぶん横暴な話です。驚いたを通り越して笑ってしまいましたね。もちろん、そんなルールは守る必要は無いですけど、このように「貸してやってるんだから言う事を聞け」という感覚が残っている大家さんは少なからずいらっしゃいます。

翻って今はどうでしょう?
図は総務省の調査をグラフ化したものですが、1968年を境に、住宅数と世帯数は逆転し、その差は広がる一方です。このグラフは平成15年で終わっていますが、最新の調査は2008年に行われており、住宅総数が5758万戸、世帯数は4997万世帯となっています。また、今後は世帯数の減少していきますから、さらに加速度的に空家が増えて行く事になります。
c0250964_1023317.jpg


先ほどと同じ考え方をすれば住宅は余りに余っている、と。「需要<供給」になりますから、理屈上は「借り手市場」になるわけです。
つまり「貸してくれてありがとう」から「借りてくれてありがとう」の時代になるということです。

「不動産収入で不労所得を得よう!」というキャッチコピーの財テク本をあちらこちらで見かけますが、今後は不労所得なんてとんでもない!不動産収入は大家さんの重労働の対価として得られるものになっていくでしょう。何と言っても借り手の選択肢は、余るほどあるわけですから。どうやって「借りてもらえる」住宅をつくるか。「住みたい!」と思ってもらえる工夫をするか、そういった事柄に頭をフル回転させないといけない時代になります。

私の知り合いの大家さんでも、上手くいっている方は須く努力されています。ふんぞり返って左団扇なんて方は一人もいません。デザインや使い勝手に工夫を凝らしたり、リノベーションをしてみたり、改装可能賃貸を提案してみたり、もちろんできるだけコストを削減し、家賃自体を下げて行くという考え方もあります。ディベロッパーや建築家の方にデザインをお願いするにしても、お願いしっぱなしならまず失敗します。建築家はデザインのプロではありますが、賃貸経営のプロではないですから。私の知っている大家さんは、嫌になるほど建築家に細かな注文をつけると言っていました。

いずれにせよ、そういった努力なしには「貸せない」時代はすぐそこまで迫ってきている、いや、もう来てますね。ということです。

今週は大家さんの話になりましたが、来週は仲介業者がどうなっていくのか、考えてみたいと思います。

R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2013-07-24 10:33

実需と投資

こんにちは、R-STORE(アールストア)の浅井です。

建築が建つ理由について考えることは僕のライフワークみたいになっています。
前回のエントリーで、需要は建築を建てる重要な根拠になり得ると書きました。当たり前と言えば当たり前。家が不足しているから建てる。住むところが足りないから建てる。治水のためにダムが必要だ。役所が必要だ。公民館が必要だ。戦後の日本は、そういった需要に支えられて土建国家への道を歩んだ訳です。
そして気がつくとバブルが崩壊し、残ったのは訳の分からないハコモノと呼ばれる公共施設や、5000万世帯しかない日本に6000万戸もの住宅があるというおかしな状況になっていました。

要するに現在は大部分の需要はすでに満たされている状況であり、「需要」というものが建築を建てる根拠になり辛い状況にあります。では、どうして建築を建てる必要があるのか?いらないものはいらない。環境負荷を考えたって、今あるものを使う方が良い。だから、需要ということを考えると、ほぼ建築家の活躍できるフィールドはないという辛い状況です。

実は整理して考えると、建築の建てられるべき根拠というのは2つしかありません。それがタイトルの「実需」と「投資」です。
「実需」というのは、漢字が表すとおり実際の需要が根拠となる建築です。「自宅を建てたい」「自社オフィスが欲しい」などなど。これに関しての現在の状況は前述した通りです。

それに対し、「投資」というのは、その建築を建てることで、家賃収入を得て効率的にお金を殖やす目的を持って建てられるものです。賃貸住宅、賃貸オフィス、賃貸店舗・・・・。そこに需要があるかどうかをマーケティングし、「有る」と推測されれば、そこに投資が行われます。
「投資」というとなんだか大上段で分かりづらいですが、地主さんが自分の余った土地に賃貸アパートを建てることも投資の一つです。逆に高度に金融商品化したものもあります。REITというのがそれですね。数十億、数百億の不動産物件を、小口に証券化し10万とか50万とか、そういった金額から投資ができます。あとは、ファンドという形式で、お金を投資家から募って建てるケースもあります。
世界には多くの資産運用会社があり、それぞれ独自の運用方針を持っていますが、株式や債権と組み合わせて不動産にも投資するというのは、かなりメジャーな投資スタンスになっています。ハイリスクハイリターンの株式、ローリスクローリターンの債権、ミドルリスクの不動産というふうに分散投資することでリスクヘッジするわけです。逆に言えば、投資先を探しているマネーの対象には常に不動産も含まれているのが現状です。

前置きが長くなりましたが、人口減少や高齢化によって「実需」の盛り上がりが望めない日本において、どこに建築の根拠を求めるのかというと、これは「投資」しか無い訳ですね。「実需」は細っているわけですが、依然として政治的にも経済的にも安定している日本において、不動産に投資するということはリスクの少ない堅実な投資だと考えられています。
つまり、これから建築家が活躍できるフィールドは実需の住宅などではなく、「投資用建築」です。主にはオフィスビル、賃貸住宅、商業ビルなどですね。

現在のところ、この領域はノウハウを長年積み重ねてきたゼネコンの設計部や、大手の組織設計事務所の寡占状態にあります。でも彼らの設計は時として非常に退屈です。この退屈な状況のブレイクスルーを僕は建築家に期待しています。
そうなってくると、建築的な知識だけでなく、マネーの知識、投資に関する知識、商業ビルであればテナントがどんな空間を望むのか・・・・などなどより広範囲に渡る知識、見識が求められるでしょう。でも、そこは我々と組めば良いんです。なにも全て自分たちでやらなくていい。不動産屋と組んで、不足した知識は補完しつつ、退屈な状況をブレイクスルーしましょうよ、と。

そんなことを、ずっと考えています。
最後に最近の私のお気に入りの建築。谷口吉生氏の「フォーラムエンジニアリング青山ビル」。
c0250964_10474387.jpg


非常にシンプルで使いやすそうなオフィスビルでありながら、なんと支える柱は400mm角!実際見ると、細く、とても繊細で美しいビルです。こういった建築なら、自分のファンドのポートフォリオに組み込みたいと思う投資家はたくさんいるでしょう。こういう作家性の発揮の仕方もあるんですよね。
そんな活躍を建築家に期待しています。

R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2013-02-20 10:52


リノベーション、デザイナーズ、改造OK,賃貸住宅のセレクトショップR-STOREのハンサム社長浅井佳が綴る、住宅やライフスタイルのこと。


by r-store_asai

プロフィールを見る
更新通知を受け取る

リノベーション・デザイナーズ改装自由、面白くておしゃれな賃貸不動産がいっぱいです。
R-STORE
http://www.r-store.jp

ブログパーツ

最新の記事

ブログを移動しました。
at 2015-03-11 12:25
イデーの同期が素敵なボタニカ..
at 2015-02-25 14:05
不動産屋のブランディング
at 2015-02-18 11:40
aRts STOREリスタート。
at 2015-02-11 13:13
繁忙期の不動産屋が契約を急ぐ..
at 2015-02-04 18:37

以前の記事

2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月

カテゴリ

ブログ
ハンサムなもの
ハンサムな家
不動産屋
建築
経営

その他のジャンル

Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - ヘルプBB.exciteWoman.exciteエキサイト ホーム