エキサイトイズム

アカデミズム的なものと商業主義的なもの

こんにちは、R-STOREの浅井です。

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佐藤可士和氏がデザインしたこのロゴ。あまり評判がよろしくない模様。
僕自身も以前の方が好きですが、それについて専門家の方が書かれた

「佐藤可士和氏のGU新ロゴ」
※確認したところ、既にブログ自体が削除されてしまっており、リンク切れとなっております(2013/3/25)

というブログが非常に面白かったので、今日はそのことについて。
筆者はロゴデザイナーとして、佐藤可士和氏の、ある種乱暴なロゴづくりが許せないと言っているのですが、最初の感想は建築界のアカデミズムと不動産業界の商業主義との対立(?)に似ているなあ、と。言うまでもなく、筆者がアカデミズム代表、佐藤氏が商業主義代表。アカデミズムと商業主義的なものとの間には、どの世界にも常にこういった対立があるんでしょうね。

本文は専門的見地から佐藤さんのロゴの分析と批判に終始するのですが、それに対するsleepwalkerさんという方のコメントが前述の対立を端的に指摘していてとても面白いです。文脈から読み取るに、sleepwalkerさんはアカデミックな立ち位置。以下、転載。

「然しながら、デザインに対する、一般の方々と、我々の意識に乖離があることが、暗い影を落としているように思えます。いくら我々が視覚効果に則って作ってとしても、商業的に成功しなければ、彼らにとっては『駄作』、ですし、いくらダサくても販売促進が成されれば『ダサくない』のですよ。簡単に作図できるという意味で、彼らはデザインを『無機的な道具』として扱いたいと無意識に思っている嫌いがありそうです。しかし我々は『心』、或いは『生きている何か』としてそれらを作るのですから、違和感を覚えて然りです。

少々寒気がする事実です。その中で、佐藤可士和さんは『彼ら』の方に歩み寄った結果ではないかとも感じます。(これを葛藤なしにしてのけたのであればただの阿呆ですが。)」


このコメントの「我々」=建築家、「一般の方々」=不動産屋 と読み替えると、私の生きている業界にもそのまま当てはまりそうです。要するに何をゴールにするか、と。商業主義的な成功なのか、アカデミックな深化なのか。そもそも、それを対立するものとして捉えるべきなのか。

sleepwalkerさんの冷静なところは

「この事に脊髄反射的になるのは我々の性ですが、これを良しとする権利は、結局、市場にしかありません。」

ということに自覚的なところです。これは正にその通りで、結局市場に評価されない限り、それは後世に残っていかないわけです。ピカソも、ゴッホも生前は全く評価されませんでしたが、結局後世でそれが評価され、現在の地位があります。では何が彼らを評価したのかと言えば「市場」が評価したわけですね。最初に彼を評価した人が、どんな人だったのかはわかりませんが、おそらくアート市場に一定の発言力がある人が評価したことがきっかけとなったのでしょう。その結果として彼らの作品はそれを保有していた多くの人々に利益をもたらし、さらには流通する度に多くの関係者に利益を落とし、それが彼らの作品を扱うインセンティブとなり、スパイラルのように彼らの作品の価値を高めて行く。結果として、市場がピカソやゴッホの地位を不動のものとし、後世に伝えたわけです。仮に市場に対し発言力がある人が彼らを見落としたとしたら、今のピカソやゴッホの地位は有り得ないでしょう。

市場が評価するということ=流通するということ=貨幣と交換可能ということですから、建築と不動産に置き換えれば「売買」・「賃貸」されるということになるでしょう。そしてより高い貨幣価値を持つもの=より高い収益をあげるもの=市場から評価されるものということになります。そこに反論の余地はないように思います。
ただし、それが瞬間風速的なものなのか、持続的に価値を持ち続けるのかは、また別の問題ですが。

良い作品があって市場の評価があるのか、市場に評価されたから良い作品なのか。これは「正義が勝つか、勝った者が正義か」「強い者が勝つのか、勝つものが強いのか」という、常に議論に上る命題であり、心情としては当然前者を理想としたいところですが、そんなに世の中甘くない。評価され、自分の探求の成果を後世に残したいのなら、この社会においては市場と折り合って行く事は当然に必要でしょう。そういう人々を俗物扱いする風潮もアカデミックな世界にはあるように思いますが、逆に私などは、本気でその作品をつくりたい、残したいと思うのならば、市場と折り合い、それを残そうと必死になる事こそ真摯な態度のように感じます。でなければ、ただの自慰行為に過ぎないし、その自慰行為の素晴らしさを誰かが発見してくれるまで待てるなら良いけど、多分ひからびちゃうんじゃないかな、と。

そういう意味で、佐藤氏のアプローチが『商業的に成功しなければ、彼らにとっては『駄作』』というものであっても、それは非常にデザイナーとして真摯なものであるように思います。

良い作品であることは、市場に評価される必要条件ですが十分条件ではない。逆に市場に評価されることは、後世に残る作品の十分条件であると、そんなところでしょうか。

R-STORE 浅井

by r-store_asai | 2013-03-13 12:00 | ブログ


リノベーション、デザイナーズ、改造OK,賃貸住宅のセレクトショップR-STOREのハンサム社長浅井佳が綴る、住宅やライフスタイルのこと。


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