掟ポルシェの赤黒い日記帳

アイドルは所詮疑似恋愛産業だ。男の影が（実体として）見えた途端、追いかけていた男の子たちは脆いほど簡単に落ち込み、裏切られたと叫び、また新しいアイドルへと乗り換えていく。でも、所詮は疑似恋愛だからそれでいいはずだ。誰も責めないよ、どんどん乗り換えていけばいい。

アイドルを追いかける男の子たちには残酷な結果だったかもしれない。好きになった女の子に男がいれば落ち込んで当たり前だ。でも最初から疑似恋愛だったんだ、どうやったって成就しようがない。それで絶望することはない。自分だってわかっていたはずだ、今まで好きだった分、矢口を貶めてやりきれなさを払うのはやめた方がいい。一方的な愛情の受け皿に叶うはずのない妄想を押し着せている、その現実に気付いて打ちのめされたくなければ女子プロレスラーか宝塚スターのような男に興味のない女でも好きになればいい。２２歳にもなった矢口のかわりにBerryz工房好きになればいいじゃん、しばらく持つよ、小学生だし。Berryzを作ってくれてありがとう、赤羽橋の事務所さん。

しかしだ、赤羽橋の事務所さんよ。モーニング娘。と凡百のアイドルを一緒にするのはやめてくれ。俺たちがモーニング娘。からもらったものは疑似恋愛なんて安っぽいものだけじゃない。アイドルの冬の時代の深い霧を吹き飛ばすに十分だった素晴らしい楽曲、テレビやラジオでの発言から読み解く丁々発止の人間関係の妙味。かわいいだけでいいならとっくに終わっているだろうし、始まりもしなかった。これがどれだけすごいことだったか、革新的な出来事だったか、わかってくれてるだろうか。

矢口真里がモーニング娘。の中間管理職として意見の調整役であったことを、俺たちは身をもって知っている。モーニング娘。という誇りを背負い代弁する機会も多かった彼女に俺たちは尊敬の念すら抱いていた。「若いのに大変ですね」、だよ。他の誰にこの役目が出来た？　これからは誰にやらせるんだ？

そんな彼女に彼氏が出来たことが目に見えて発覚。疑似恋愛産業としては由々しき事態でしょう。しかし彼女はもう２２歳で、アイドルとしてのキャリアは７年にもなろうとしている。男がいてもおかしくない年齢なのだし、疑似恋愛の対象としてはもうお役後免でいいはずだ。他のメンバーに対して示しがつかないということもあるだろうが、だからといって即行クビってそりゃねぇよ。モーニング娘。のことを最も考えているメンバーを不要品として解雇してしまったら、モーニング娘。はかわいいだけの、凡百の疑似恋愛産業としてのアイドルと同じになってしまう。冗談じゃない。

今日、八王子に矢口真里の姿はなかった。ついにモーニング娘。は俺が大好きと公言していたはずの、愚にもつかないＢ級アイドルになった。『大阪　恋の歌』っていうクソ曲、最高だね！　安っぽすぎて好みだよ。でもこれはモーニング娘。じゃねぇな。完全に死ぬって結構難しいことだと思ってたけどそうでもないみたいね。

皮肉でもなんでもなく、矢口真里さん、お疲れ様でした。
戦って散ったと聞いています。