「小さな哲学~雑想の世界」のenzianさん登場! 2005年 11月 29日
エキサイトブログ編集部:いつもご利用いただき、ありがとうございます。ブログをはじめたきっかけは?
enzianさん:ぼくは哲学者です。あ~でもコワクないので、逃げないでください!(笑)。哲学というのは、なにかとてもカタクルシイ感じがするかもしれませんが、身近にある “当たり前” についてちょこっと立ち止まって考えることなんです。そういうのが好きな人(哲学のセンスのある人)って、ぼくの学生だけでなく、世の中にゴマンとおられます。そういう方に、おせっかいかもしれませんが、「あなたがしてらっしゃることは哲学で、あなたには哲学のセンスがあるんですよ」というメッセージをどうしたら広く伝えられるだろうか、そういう手段があればいいのに‥‥ってずっと考えていたんです。エキサイトブログの存在を知ったときはホントにうれしかったですね。これだっ!って思いました。
エキサイトブログ編集部:ご自身のブログを紹介してください。
enzianさん:哲学エッセイのブログです。エッセイですから、はっきりした答え(結論)が出るとは限りませんが、それはそれでいいのです。身近な話題をエッセイのネタにすることで、答えは出なくてもいいから、できるだけたくさんの読者のみなさんといっしょに、“考えることを楽しめる場” にしたいと思っています。だから、記事では不必要にむずかしい言葉を使わないこと、哲学者の名前をあげないこと、そして、読者といっしょに考えるわけですから、ぼくが先生で読者が生徒というような立場をとらないこと、に気をつけています。
エキサイトブログ編集部:ブログを通して得たもの、新しい発見は?
enzianさん:いろいろなことを知ったということですが、なによりもまず、文章のうまい方がいっぱいおられることです。それはもう衝撃でした。
エキサイトブログ編集部:ブログのよさは?
enzianさん:たくさんあるのですが、ひとつだけあげます。ありきたりですが、ブロガーどうしが互いに影響し合えることです。記事やコメントやTBを通じて、たくさんの方がぼくに影響を与えてくださるし、たぶん、ぼくも少しばかりは影響を与えているのでしょう。それはとてもうれしいことなのです。ぼくを含めて、たくさんの方がブログに熱中されているのはわかる気がします。それと、ぼくの場合は、いただいたコメントを授業のネタにする場合があります。ブログは生活の糧でもあるんですね。ありがと!(笑)
エキサイトブログ編集部:自分をひとことでいうなら、どんな人?
enzianさん: ちょっぴりおちゃめなはずかしがりやさん、でしょうか?
エキサイトブログ編集部:会ってみたいブロガーは?
enzianさん:特徴あるキャラを数人だけ。まず、情感のこもった美しい詩を書かれる猿夫さん。ご自身の世界をマイペースで追求してらっしゃる野恵さん。家具(特に椅子がいい!)を中心としたデザイナーを目指してらっしゃるcubit-papaさん。最近知り合った、とても楽しいキャラの、とこちゃいさんです。
エキサイトブログ編集部:一番好きなこと(モノ)、ハマっていることは?
enzianさん:好きな食べ物ということで。ずばり、スッパイものです。どんなときでも、スッパイものさえ与えておけば、ごきげんさんで、ひとりおとなしく遊んでいるような人なのです。いつも「スッパイモノ、スッパイモノ」を連発しています。スッパイもの以外では、おせんべいが好きで、ここ一週間ほど、「黒胡椒せん(べい)」ってのにハマってます。おいしいですよ。みなさんもどーぞ♪
エキサイトブログ編集部:夢は?
enzianさん:キノコが好きなので、広大なマツタケ山をわがものにして、日々のマツタケの成長に一喜一憂しながら、マツタケたちとおもしろおかしゅう暮らすこと、です(バカだね!)。
エキサイトブログ編集部:日ごろから心に思うことを書き溜めておくのですか? また、哲学のおもしろさ、読んでいる人に伝えたい思いを簡単に語っていただけますか?
enzianさん:忘れっぽいので、感じたことがあったら携帯電話にメモすることにしています。そのメモを、通勤電車のなかで、そのまま携帯電話で文章としてまとめる場合が多いです。
哲学をするのに予備知識は必要ありません。年齢制限もありません。自分ってなんだろう、友だちってなんだろう、ツライことばかりなのになぜ生き続けないといけないのだろう、なにが善いことでなにが悪いことなんだろう‥‥そういう “当たり前” にふと立ち止まって考えたくなることは誰でも一度や二度はあると思いますし、なかにはそういうことを考えるのが好きで、放っておいても考えてしまうような人がいます。そのとき、その人は、それが哲学だと気づいていなくても、哲学しています。「そんなの考えてどうなる!」っていう方もおられるかもしれませんが、考えたいなら、考えてもよいのです。哲学はふだんの生活のなかにひっそりと息づいているものです。でも、残念ながら、哲学をとても高遠でムズカシイもののように考える方も多い。そういう風に思われる原因をつくったのは、ぼくたち哲学者です。ですから、ぼくのブログはその罪滅ぼしのつもりでもあるのです。
エキサイトブログ編集部:初めての方に特に読んでもらいたい記事を挙げるとしたらどの記事を挙げますか?
enzianさん:しんみり系として、「誇りのストック」、バカバカシイ系として、「柿ピーに人生の縮図を見る」。そのほか、ふざけているようでいて意外にマジメに考えているんだぞ系(?)として、「座りたくない老人の憂鬱」、です。
エキサイトブログ編集部:3日間のフリータイムをもらえたら何をしたい?
enzianさん:波照間島へ星を見に行きます!波照間島は、八重山諸島にある日本最南端の島です。いろいろな好条件が重なって、全88星座のうち、南十字星を含む84星座まで見られます。同じ沖縄でも、本島とは違ってホントになにもない島なんですが、それがまたいいのです。波照間島にある、きめ細やかな砂浜にぞっとするほど美しい海が広がるニシハマビーチに大の字で寝転がって、星空を見上げたい。あ~そう考えるだけで、胸がドキドキしてきた‥‥
エキサイトブログ編集部:最近の気になるニュースは?
enzianさん:道路のアスファルトを突き破って出てきた大根、「ど根性君」(「大ちゃん」)のニュースです。あれこれ考えさせられました。植物に、なぜ「君」とか「ちゃん」とかいう愛称をつけるのか、とか。大根にお賽銭を投げて手を合わせる人たちを見て、おでんの具もアスファルトを破ると神さまになるんだな、とか。これを抜いてしまった人も、あまりに大根が人気なものだから、酒なんか飲んだりして気が大きくなって、いたずら半分で抜いたのだけど、翌朝には怖くなって、同じ場所に戻しに来たのだろうか。ひょっとしたら、大根を引き抜いた人を説得した人がいて、その人と同伴で戻しに来てたりして、とか‥‥。大根よりも、大根を取り巻く人間模様をあれこれ考えるのがおもしろかったですね。
エキサイトブログ編集部:ブログに訪問してくださる方にひとこと!
enzianさん: ありがとう!これからもよろしく!です。
エキサイトブログ編集部:ありがとうございました。
【enzianさんが好きなブログ、気になるブログ・ベスト5】
ひぇ~5つだけ選べというのは、一種の拷問ですよ~。しかたないので、やはり特徴のあるブログを泣く泣く選んでみました。
「ファーポコ」
管理人のjumpin_upanddownさんには、エキサイトブログを始めてまだ右も左もわからなかったころから遊んでもらっています。ちょっと距離をおいて物事を見ることができる、文章の達者なとても頭のよい方です。「ファーポコ」はサッカー記事を中心にしたブログですが、jumpin_upanddownさんの、好きな物事に対する集中力は、はんぱじゃありません。
サッカーファン(特にレアルファン)の方は一度遊びに行ってみてください。楽しめるはずです。jumpin_upanddownさんには、サッカー以外の記事を中心にしたブログもあって、そちらもおもしろいです。
「その日暮らし【×】」
管理人のハリーさんは、とある分野の研究者です(ハリーさん、ばらした、ゴメン!)。博識な方で、キノコとスッパイものだけに興味があるどこぞの哲学者とは、わけがちがいます。ファッション、食、スポーツ、本‥‥ありとあらゆるジャンルの話題が記事になっていて、訪れるブロガーも千差万別です。研究者といっても、少しも偉ぶるところのない、とても人間的できさくな方なので、みなさん背伸びする必要もなく思い思いの記事にコメントを書いて、ハリーさんとのやりとりを楽しんでおられます。楽しい乗り物いっぱいの遊園地(テーマパーク)のようなところ‥‥それがハリーさんのブログなのです。
「レンガの小径」
管理人はyachiemさん。写真掲載を主としたブログです。写真ブログといっても星の数ほどあるでしょうが、ぼくがこのブログにひかれるのは、しばしば登場する被写体―――“葉っぱ”とカエルに心ときめくからです。ハッとするほど美しい葉っぱの緑色は見る者を爽快な気分にさせずにはおかないでしょうし、そういう葉っぱにカエルが飛びつこうとしている写真には思わずニヤリです。あまりにも美しい写真の連続攻撃に、ぼくはジェラシーさえ感じてしまうのです(笑)。同じような写真が撮りたいという思いがつのり、おかげで一眼レフのデジカメを買ってしまいそうになっています。yachiemさん、責任とって!(笑)
「ikimonodaisuki!」
管理人は006さんです。ブログの題名の通り、生き物が好きな方で、特に植物の写真が豊富で、説明も詳しい。ぼくも生き物が大好きなのですが、こちらのブログに行くと、それまで知らなかったたくさんのことを知ることができて、勉強になります。詳しいだけでなく、生き物への愛情がひしひしと感じられる、とてもあたたかい文章なのです。自然を愛する006さんのお人柄からにじみ出て来るものなのでしょう。
「オトナノトモ」
管理人は、えほんうるふさんです。やはりとても文章のうまい方で、豊富なボキャブラリーを駆使して、完成された隙(すき)のない文章を書かれます。批判能力にも秀でた方で、絵本の批評というかたちをとった、キレのあるエッセイを書かれます。えほんうるふさんの手にかかると、おなじみの絵本のストーリーも、あまり人に知られていない絵本のストーリーも、なるほどこういう読み方があるのか‥‥といった切り口から捌(さば)かれて、きれいにお皿に並びます。絵本の“名料理人”ですね。
【enzianさんのライフログ】
女盗賊プーラン〈上巻〉
女盗賊プーラン〈下巻〉
プーラン デヴィ Phoolan Devi 武者 圭子 / 草思社
インドのカースト制度のなかでも非常に低い地位(ローカースト)に生まれた女性の自叙伝です。読み始めれば止まらないはずです。かつてぼくは、この本について書いた記事を、ちょっとエラソウに次のような言葉でしめくくりました。「この本は、誰であれ人として生まれたからには、一度は読むべき本だと思います。鎖を解かれた人間の本性がどのようなものであるか、がよくわかるでしょう。そして、現在もなおインドで行われている、カースト制度に基づいた恐るべき差別の実態がわかるでしょう。読めば確実に衝撃を受けますが、なにかを考える機会にはなります。そんな本です」。先日読み返しても、その思いは変わりませんでした。
ミニヤコンカ奇跡の生還
松田 宏也/ 山と溪谷社
ヒマラヤのミニヤコンカ峰で遭難し、19日間をかけて奇跡の生還を果たした著者(登山家)の記録です。友の死を乗り越え、ギリギリの状況のなかでなんとしても生き残ろうとする人間の強い意志の力を読み取ることができます。なお、佐野三治『たった一人の生還――「たか号」漂流二十七日間の闘い』も、同様の意志を読み取ることのできる好著です。
みんなのなやみ
重松 清 / 理論社 (Ⅱもあり)。
理論社のHPにある「10代の悩み相談室」に寄せられたメールへの、重松氏による渾身の回答です。大人としてのけじめある意見をストイックに保ちつつ、なおかつ子どもの視点に寄り添おうとする重松氏のただならぬ努力の跡が、この回答のなかに見え隠れしています。
enzianさんの「小さな哲学~雑想の世界」を読んでみましょう。