
何度聴いてもいいですね。昨日の「ブルーノート東京」は大盛り上がりでした。今回は曲によってラッパーのH2Oをフィーチャーして、ブラジル '66時代のヒット曲をうまく現代的な音楽にしていました。
「ボサ・ロックの貴公子」(でしたっけ?)なんてその昔は言われていたブラジル '66ですが、リーダーのセルジオ・メンデスもすっかりいい年になっていて、それでも昔ながら、いやそれ以上に若々しい音楽で楽しませてくれました。
やっぱり、受けるのは昔の曲ですが、それ以外でもセルジオ・メンデス風サウンドになっているので、どれもぼくには魅力的でした。一番好きな「コンスタント・レイン」もラップをフィーチャーしていたんですが、オリジナル・ヴァージョンよりこちらのほうが面白かったくらいです。

日本ではちょうどおととい出た『グレイテスト・ヒッツ』のライヴ版といったところでしょうか。このアルバムも聴きましたが、よかったです。リミックスやラップが入った曲とオリジナル・ヴァージョンがうまい形で収録されています。
昨日のステージではどの曲もよかったですが、「コンスタント・レイン」以外では、「三月の水」、「ソー・メニー・スターズ」、「ルック・オブ・ラブ」とか、ぼくの好きな曲をたくさんやってくれました。あと、「カエル」がよかったです。この曲、あんまりやっているひとがいなくて、以前友人に頼まれ、ジョアン・ジルベルトのCDを探してプレゼントした思い出の1曲です。その後にブラジル '66がやっていたことを思い出し、それ以来大好きな曲になりました。カエルの鳴き声を歌詞にした面白い曲です。
思い返すとセルジオ・メンデスのライヴにはけっこういっています。ボサノヴァをひとりで一所懸命練習していた時代に「マシュ・ケ・ナダ」と出会い、ブラジル '66のレコードからもいろいろな曲をコピーしたんで、それで思い入れのあるアーティストになったんですね。
最初にライヴを観たのは大阪万博のときです。あのときは、何度か大阪まで遊びに行き、フィフス・ディメンション、ライトハウス(オープニング・アクトがフラワー・トラヴェリング・バンド)、グループ・サウンズ・フェスティヴァルとか、いろいろなコンサートを観ました。
ヨーロッパで活躍するジャズ・ミュージシャンがたくさんやってきたのもこのときです。ジャン・ルック・ポンティ、ジョン・サーマン、フランシー・ボーラン、ダニエル・ユメール、カーリン・クローグ、エディ・ルイス、アルバート・マンゲルスドルフ、ニルス・ペデルセン。みんな初めて観るひとたちでした。懐かしいなぁ。

「万博ホール」で聴いたブラジル '66のコンサートはその後に日本でキングからレコード化され、これは長いことコレクターズ・アイテムになっていました。いまでも帯つきのアナログ盤ならそこそこの値段はするんじゃないでしょうか? 何年か前にCD化されたので、いまではもっぱらこちらを聴いています。

セルジオ・メンデスといえば「ボサ・ロックの貴公子」になる前は、ブラジル出身の新進ジャズ・ピアニストとして注目されていました。その時代に残した『グレイト・アライヴァル』も愛聴盤です。上の写真は、ぼくが監修者をしたシリーズに組み込んで国内発売してもらったものです。ストリングス入りのムード・ミュージックに毛が生えたような内容ですが、これが実に心地よいです。ちょっとしたタッチとかフレーズが心に残るんですね。
そのセンスがブラジル '66では実に効果的に発揮されていました。「コンスタント・レイン」にしても「マシュ・ケ・ナダ」にしても、ジャズ的には相手にされないようなピアノ・ソロが登場しますが、その短いプレイの中に魅力を集約しているところに、高校生だったぼくはまいってしまいました。
音楽は楽しむもの。シリアスな演奏も嫌いじゃないですが、いまはつくづくそう思っています。昨日は本当に楽しめましたし、そういう時間はぼくにとってかけがえのないものだと思っています。