
これも楽しみにしていたコンサートでした。先行予約でチケットを買ったのに、その時点で会場の「C.C.Lemonホール」2階後方の席でした。当然ソルドアウトになったと思います。周りはぼくよりひと世代くらい若い女性が大半。きっと坂崎幸之助さんのファンなんでしょうね。

今回は、先月の『ひっぴいえんど』発売に合わせてのコンサートです。「ツアー最終日」だけに大盛り上がり。というか、加藤和彦さんと坂崎さんが個人的に盛り上がり、それにぼくたちも引きずられた感じでしょうか。
そもそもこのユニット、冗談好きのふたりならではの発想から生まれています。だって1枚目のアルバムがすでに『ゴールデン・ヒッツ』というんですから。というのも、和幸は日本で成功しなかったことからイギリスに渡り、そこで人気を爆発させて、次いでアメリカでも人気を呼び、サイモン&ガーファンクルなんかに影響を与えた伝説のグループなんですね。その凱旋公演が去年と今年行われたことになります。
それで2枚目の『ひっぴいえんど』は前作以上に冗談というかパロディ精神が全開しています。タイトル曲をはじめ、「タイからパクチ」「ナスなんです」「あたし元気になれ」「池にゃ鯉」といった曲名は、わかるひとにはわかると思います。
今回の作品からは、全体にどことなくCSN&Yの響きを感じていました。それもコンサートを観て、ぼくの印象が正しかったことがわかりました。それぞれにサウンド・コンセプトがあって、それに合わせてニール・ヤングが弾いていたマーチンの同じモデルを使ったり、6弦バンジョーを使ったりしていたんですね。
またハーモニーも三声になっていて、レコーディング同様ステージでもGAROの大野真澄さんを加えてそのハーモニーが再現されていました。途中でアコースティックのセットがあったんですが、そのときも途中から大野さんが入り、3人で何曲か聴かせてくれました。

ステージでは新作から全曲、その合間に1枚目からの曲を交えて、こちらもほぼ全曲歌ったんじゃないでしょうか。アンコールも入れて2時間半くらい、休憩なしです。この間のエリック・クラプトン=ジェフ・ベックといい、ハンク・ジョーンズといいい、この和幸といい、みんな元気です。
和幸のふたりはギターのコレクターですから、曲ごとに「チューニングが違うから」とかのいいわけをしつつ、いったい何本ギターを自慢げに披露したでしょうか。最高に羨ましいのは、マーチンからそれぞれにシグネチュア・モデルが贈られていたことです。世界に一台、それも自分のためにマーチンが作ってくれたギターをもらうって、どんな気分でしょうね。
アンコールでは、最後に「悲しくてやりきれない」とか「あの素晴らしい愛をもう一度」をレゲエやサンバのリズムにアレンジしなおして歌ってくれました。あとは、和幸+大野真澄で「学生街の喫茶店」を歌ってくれたのも楽しかったです。
GAROといえば、彼らがデビューする直前、誰かのコンサート(ジェームス・テイラーだったかな?)で「厚生年金会館ホール」にいったとき、休憩時間に2階に上る階段に座ってCS&Nの曲を歌っていた姿に目を釘付けにされたことがあります。その週末に行なわれる日比谷の野音のロック・フェスティヴァルにも出るというチラシを配っていたので、それも観に行ったことが懐かしいですね。

和幸、これからどうするんでしょう? 3枚目は出るのか? ライヴ活動はするのか? 気になります。あとはフォーク・クルセイダーズもしくはポーク・クルセイダーズも再結成してもらいたいですし、今年デビューしたVITAMIN-Qのライヴも都合で見逃したので、またやってくれないかなと思っています。このアルバムもただいまの愛聴盤です。