以前このブログでお知らせしましたが、講談社から現在発売中のビジネス・マガジン『セオリー・ビジネス』(2008年 Vol.8)にインタヴューが掲載されています。タイトルが『小川隆夫流「仕事と趣味の一挙両得」な生き方を学ぼう』とは面映いですが、二足の草鞋を25年ほど履いてきた履き心地について語ったものです。
この記事を読んで改めて感じたのが、自分は「不器用」だということです。はたからは、器用にふたつの仕事をこなしているように写るかもしれません。でも、実際のぼくは立ち回りが下手で、要領もいいとは思えません。しかも、いい加減がモットーですし。
それでも二足の草鞋をなんとなく履いてこれたのは履き心地がよかったからです。履き心地がいいというのは、周りの人が履き心地をよくしてくれたことにほかなりません。自分ひとりじゃなんにもできませんから。
不器用を自覚しているので、いい加減ではありますが、興味があることには熱中します。医療も音楽も熱中度は高いです。ですから、それぞれの仕事は自分が納得できるところまでやるようにしてきました。それでも、ほかのひとから見れば、いい加減なレヴェルで終わっているとは思います。
ひとりよがりですが、自分が納得できればそれでいいと、いつのころからか思うようになりました。ただし医師の仕事は患者さんありきなので、ぼくひとりが満足しても意味はありません。この場合は、「患者さんが満足してくれればぼくも満足できる」と考えるようにしてきました。これが留学して学んだ一番大きなことです。
「2年間向こうに行っていてたったこれだけ?」と思われるかもしれません。ですが、ぼくは大切なことだと思っています。なんて偉そうに言っても、日常的に診察していると、反省することだらけです。
毎日、病院からの帰り道に、「今日はあそこが駄目だった」とか、「もう少し親切に接するべきだった」とかの反省しきりです。しかもその反省がまったく生かされていない駄目医者なので、こういうインタヴューが掲載されるのは冷や汗ものです。「嘘ばっかり言ってら」と、ぼくのことを知っているひとからは言われそうです。
居直ってしまいますが、「このインタヴューは自戒を込めて」ということにしておいてください。ちょっと見栄を張ってかっこをつけ過ぎました。でも、嘘はひとつもついていませんし、すべてが真実です。自分で読んでもかっこいいと思うのは、いいところばかりを抽出したからでしょう。実際はこんなにかっこよくありません。
まあ、このインタヴューに出てくる小川隆夫さんに一歩でも近づきたいとは思っていますが(笑)。