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川隆夫の JAZZ BLOG
Profile

©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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「ジャケ裏の真実
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@銀座le sept
3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


■TALK EVENT■
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TEL: 078-265-6595

詳細やその他ライナーノーツなどは 「Works & Information」へ>>
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2008-09-12 追悼ジョニー・グリフィン
2008-09-12 追悼ジョニー・グリフィン_e0021965_9462217.jpg
 1ヶ月ほど前のことですが(8月6日)、ぼくの大好きなテナー・サックス奏者のひとりジョニー・グリフィンがこの世を去りました。今日は『いとしのジャズマン 2』で紹介したエピソードをここに掲載することで、ぼくなりに彼の冥福を祈りたいと思います。


 1960年代は多くのミュージシャンがアメリカを脱出してヨーロッパに住みついた。中でも成功したひとりがジョニー・グリフィンだ。《リトル・ジャイアント》のニックネームどおり小柄だが、体に似合わず精力的なプレイをするテナー・マンである。

 このひと、テナー・サックス奏者のデクスター・ゴードンとヨーロッパ中を暴れまくり、ついにはフランスで由緒正しきお城を購入してしまった。広大な庭では葡萄を栽培してワインも作っているなんて噂もあり、洒落者で知られるこの大ヴェテランはいまや生活も悠々自適(?)らしい。仕事は半年しかせず、残りは寝て暮らしているのかと羨んだが、現実はどうも違ってそれなりに厳しいようだ。

2008-09-12 追悼ジョニー・グリフィン_e0021965_9464695.jpg
 グリフィンによればこういうことになる。

「家にいるときは庭の手入れや城の修理に追われている。土地は広いし、城は古い。そのため、仕事は年に半分しかできない。これならよっぽどツアーに出るほうが楽だ」

 そんなぼやきとも自慢ともつかない話が聞けたのは、親友のゴードンが住むニューヨークのアパートでのこと。

 マンハッタンの43丁目と9番街から10番街にかけてのワン・ブロックには大きなアパートが2棟そびえ立つ。このマンハッタン・プラザはニューヨークに住むパフォーミング・アーティスト用に運営され、家賃は年収に応じて決まる。稼ぎが少なければ家賃は安い。収入が多くても、上限が決まっているためそれほどの金額にはならない。そのひとつに、デクスター・ゴードンがオランダ航空でスチュワーデスを務めるオランダ人の奥さんと住んでいた。

 ここは普通のアパートとして建設された。しかしタイムズ・スクエアに近く、《ヘルズ・キッチン(地獄の台所)》と呼ばれる物騒な地域にある。そのため入居者が少なく、市と州で予算を出し合い、アーティスト用のアパートにしたのである。75年のことだ。

 入居できるのがパフォーミング・アーティストに限られるから、写真家や画家は住むことができない。パフォーミング・アーティストとは、ミュージシャンやダンサーなどのことである。大道芸をしているジャグラーやマジシャンも住んでいたから、彼らもパフォーミング・アーティストとして認められているようだ。

 家賃は年収の3分の1という取り決めで、したがって極端な話、年収ゼロならただでいい。高収入を得た場合でも、ワン・ベッド・ルーム(日本でいうなら1DKか)で当時(80年代半ば)は毎月750ドルが上限になっていた。このくらいのスペースをその時代にマンハッタンで借りたなら1500ドルはくだらない。

 アパートの地下にはアスレチック・クラブやリハーサル・ルームもあり、デューク・エリントンにちなんで名づけられた多目的室の「エリントン・ルーム」もある。ここでは、アパートに住むミュージシャンのコンサートもたまに行なわれていた。エリントンの末娘でダンサーのメレディス・エリントンもここの住人で、この「エリントン・ルーム」を案内してくれたこともいい思い出だ。

2008-09-12 追悼ジョニー・グリフィン_e0021965_9473364.jpg
 ゴードンはマンハッタン・プラザの中でも一番広い2ベッド・ルームに住んでいた。そこに遊びに行ったあるとき、たまたまニューヨークに戻っていたグリフィンが訪ねてきた。免税店で買ってきたという、ゴードンの大好物レミー・マルタンと、自分用にフランス産の赤ワインを携えて。

 ぼくは強いお酒が苦手なので、このときはグリフィンのワインをご相伴にあずかった。ゴードン夫人も交えてのお酒は賑やかだ。グリフィンとは初対面でなかったものの、それ以前はインタヴューで数度顔を合わせたにすぎない。そういうわけで、素顔の彼にお目にかかれたのはこのときが初めてだ。

 グリフィンはかなりのワイン通である。このときも、持ってきたワインの自慢をひとしきりゴードンに話している。記憶があいまいだが、そのワインは82年のボルドー産で、この年は葡萄の出来がいつになくよかったとか。その中でもかなり高いワインだといいながら、ぼくのグラスにたっぷりと注ぐグリフィンの目は早くも少しとろんとしていた。

「この男は、たぶんホテルで一本飲み干してからわたしのところに来たんだろうよ」

 そういうゴードンの口調も怪しくなってきた。そんなときにお城の話が出たから、真偽のほどはわからない。老境に差しかかった男ふたりが仲よさそうに酒を汲み交わしている。ぼくも彼らみたいな歳の取り方がしたい。そんなことを思いながら、マンハッタンの夜は更けていった・・・。


 酔いに任せて、「そのうち庭の手入れを手伝いに行きますよ」といった約束は果たせないまま終わってしまいました。そしてもうひとりの敬愛するテナー・マン、ゴードンもしばらくしてあの世に去っています。ぼくにとって、彼の置き土産は主演した映画の『ラウンド・ミッドナイト』でした。その映画でも、ゴードン演じるところのサックス奏者デイル・ターナーが最後にこの世を去っています。

 グリフィン死去のニュースに触れた数日後にこの映画を見直し、彼とゴードンのことに思いを馳せました。仕方のないことですが、周りから少しずつひとが去っていきます。そんなこともあって、このところちょっと感傷的になっているかもしれません。
by jazz_ogawa | 2008-09-12 10:01 | 愛しのJazz Man | Trackback(1) | Comments(2)
Tracked from テンションノート・ジャズ.. at 2008-09-13 23:55
タイトル : 『証言で綴るジャズの24の真実』/小川隆夫
先日、小川隆夫氏の新作『証言で綴るジャズの24の真実』という本が 発売されました。この本は、今から20年程前に氏がスイング・ジャーナ ル誌に2年間にわたって連載されていた『証言で綴るジャズ』というイン タビュー記事を掲載順に編集したもので、もちろん今回の..... more
Commented by sou-un at 2008-09-14 00:10 x
グリフィンとゴードンが目の前で酒を汲み交わしながら四方山話に興じている・・・それだけで映画のワンシーンになりそうな素敵な光景ですね。今更の様で恐縮ですがTBがようやくできました。他の記事にTBした方が良かったのかもしれませんが無礼をお許しください。
Commented by jazz_ogawa at 2008-09-14 08:53
sou-unさん、コメントとTBありがとうございます。こういうお言葉を励みに、これからも楽しんでいただけるものが書けたら、と思っています。
<< 2008-09-15 「ONG... 2008-09-09 エスペラ... >>
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