
昨年の夏に放送しました「真夏の夜の偉人たち」の続編を、昨日渋谷のNHKで収録してきました。今年はオリンピックの中継があったため、夏ではなく秋のオンエアとなります。番組のタイトルも「秋の夜長の偉人たち」ということで、ぼくはビル・エヴァンスを担当しました。放送は10月2日の木曜日、23時からの2時間です。
去年もそうでしたが、月曜から金曜日まで、毎日違うアーティストがさまざまなひとによって紹介されます。ぼくは連投ですが、そのほかのひとは今年も興味深い顔ぶれです。
9月29日(月) 立川志らく「岡春夫」
9月30日(火) 松尾 潔 「マーヴィン・ゲイ」
10月1日(水) 藤 あやこ「エアロスミス」
10月2日(木) 小川隆夫「ビル・エヴァンス」
10月3日(金) 中村 中「ちあきなおみ」
演歌の藤あやこさんがエアロスミスを担当します。彼女は知るひとぞ知るハード・ロック・ファンですから、面白いと思います。こうやって眺めてみるとぼくだけ見劣りします。こういうラインアップの中に加えてもらっていいんでしょうか?

番組は、デビュー作からラスト・レコーディングまで、全部で13曲をかけ、その合間にビル・エヴァンスの思い出や、彼とその音楽に寄せる個人的な思い、それからぼくがこの業界に入る前に亡くなっていましたから本人にはインタヴューしていませんが、周辺のひとから聞いたさまざまな話を盛り込みつつの2時間になっています。

「ONGAKUゼミナール」とは違い、なるべく簡潔に話そうと心がけました。それでも予定の曲をひとつカットしたあたりは、ぼくらしいといえばぼくらしいでしょうか。いつもと同じで台本はありません。しろうとですから、台本があったら却って「上手く読まなくては」と意識しちゃうでしょう。メモ程度は用意しましたが、話はその場の思いつきで進めました。それで最後の30分くらいになったら、残り時間を逆算しながら進行していく段取りです。原稿を書くのと同じ方式ですね。
つっかえたり、いい間違えたりで、ぶっつけ本番は難しいです。曲をかけている間に、次に話すことを考えるんですが、いろいろ思い浮かんできて困ります。あれも話したい、これも話したい。しかしそうもいかないので、とっておきのエピソードを中心に話しました。そこでつけられた番組のサブタイトルが「僕だけが知るビル・エヴァンス」。
ちょっとイージーかもしれません。それから正確にいうなら「僕だけが知る」ではありません。だって、エピソードはすべて誰かから聞いたものだからです。でも、固いことは言いっこなしにしましょう。いい加減がモットーですから。NHKがぼくいい加減を黙認したのか気がつかなかったのか。だとすれば、これも面白いじゃありませんか。
参考までに番組で紹介した曲のリストを貼り付けておきます。興味のある方は、10月2日の23時、秋の夜長にお耳にかかりましょう。全国ネットです。

1.アイ・ラヴ・ユーfrom『ニュー・ジャズ・コンセプションズ』(リバーサイド)
2.モックス・ニックスfrom『アート・ファーマー/モダン・アート』(UA)
3.ブルー・イン・グリーンfrom『マイルス・デイヴィス/カインド・オブ・ブルー』(ソニー)
4.枯葉(テイク2)from『ポートレイト・イン・ジャズ』(リバーサイド)
5.不思議の国のアリスfrom『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(リバーサイド)
6.マイ・ファニー・ヴァレンタインfrom『ビル・エヴァンス&ジム・ホール/アンダーカレント』(UA)
7.あなたと夜と音楽とfrom『インタープレイ』(リバーサイド)
8.ザ・タッチ・オブ・ユア・リップスfrom『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』(ヴァーヴ)
9.ホワット・アー・ユー・ドゥーイング・レスト・オブ・ユア・ライフfrom『フロム・レフト・トゥ・ライト』(MGM)
10.モーニン・グローリーfrom『ライヴ・イン・トーキョー』(ソニー)
11.酒とバラの日々from『トニー・ベネット&ビル・エヴァンス』(ファンタジー)
12.きみの愛のためにfrom『アフィニティ』(WB)
13.マイ・ロマンスfrom『ラスト・レコーディングII』(JVC)