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川隆夫の JAZZ BLOG
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©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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2008-09-03 「東京JAZZ」その4
【8月31日 昼の部】
2008-09-03 「東京JAZZ」その4_e0021965_12152933.jpg 最終日の昼の部にも行ってきました。最初に登場したのはロベン・フォードのグループ。エレクトリック・ベースとドラムスのトリオで、ブルースを中心に彼のギターとヴォーカルが楽しめました。

 ロベン・フォードといえばフュージョン系ギタリストとしてぼくたちの前に登場してきましたが、本来はブルース・オリエンテッドなフュージョン派とでもいえばいいでしょうか。短期間ですがマイルス・デイヴィスのグループに入っていましたし、ジョージ・ハリソンが1974年に行なったUSツアーにもトム・スコットと一緒に加わり、同じ年に録音された『ダーク・ホース』にもふたりして参加していました。

 ロベン・フォードで覚えているのは、いまから20年ほど前になりますが、チック・コリアがストレッチ・レコードをスタートさせたときのことです。それを記念して、チックが所有していたロスのマッド・ハッター・スタジオで盛大なパーティが開かれました。たまたまぼくはジョー・ザヴィヌルの自宅取材でロスにいて、そんなことからチックがパーティに呼んでくれました。

 ストレッチの記念すべき第1回発売がロベン・フォードとたしかジョン・パティトゥッチの作品だったと思います。それで、そのときにチックから紹介されて、翌日インタヴューをしたのが最初です。そのあとは、ジョージやマイルスのグループにいたギタリストということで、何度か個人的な関心からインタヴューをさせてもらいました。そのときからブルース・バンドを作って活動したいといった話をよくしていたことが思い出されます。

 31日のステージでは、B.B. キングにトリビュートした曲やフレディ・キングにトリビュートした曲も聴かせてくれました。それならアルバート・キングのトリビュート曲も作ればいいのに、なんて思ったんですが、ひょっとして作っているかも、ですね。

2008-09-03 「東京JAZZ」その4_e0021965_12154957.jpg そしていよいよサム・ムーアのステージになりました。まるで「コマ劇場」で昔聴いた北島三郎ショーのような感じです。前にニューヨークの「ラジオ・シティ・ミュージック・ホール」で観たアレサ・フランクリンのときにも感じたんですが、アトランティック系のソウル・シンガーのライヴはどこか歌謡ショーに通じています。

 何度か「ブルーノート東京」でサム・ムーアのライヴは観てきましたが、大きなホールで観るのも格別です。いまだにいい声をしていますし、高音の伸びと張りは全盛期とそれほど変わらないかもしれません。とにかくステージ映えがするひとですね。

 その昔、日本に2度来たサム&デイヴのコンサートも観ています。これ、自慢です。留学時代のことでは、ジョン・ベルーシの追悼コンサートがニューヨークの「ローンスター・カフェ」で行なわれ、そのときは舞台のまん前にいたんですが、そうしたらサム・ムーアがぼくの前でしゃがみ、こちらに顔を寄せて「ユー・アー・ソウル・マン」と何度も歌ってくれました。これは大自慢です。

 今回のステージでは「ブルーノート東京」ほどサム&デイヴ時代の曲は歌われなかったかな、といった印象です。いつもと同じで、エディ・フロイドの「ノック・オン・ウッド」やオーティスの「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」なんかは歌っていましたが。

2008-09-03 「東京JAZZ」その4_e0021965_12161447.jpg ぼくは、サムが「ノック・オン・ウッド」を歌うと、必ずサム&エディを結成してくれればいいのにと思います。エディ・フロイドは、活動を再開した古巣のスタックスで素晴らしい新作を出したばかりですし、その中では、今回もステージで歌われたサム&デイヴの「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ユー・ミーン・トゥ・ミー」も取り上げていました。といっても、この曲はエディとスティーヴ・クロパーが書いたものなのでセルフ・カヴァーですが。


2008-09-03 「東京JAZZ」その4_e0021965_12163415.jpg ぼくが憧れに憧れたスティーヴ・クロッパーも、やはりスタックスで、ラスカルズのフェリックス・キャヴァリエと組んだご機嫌なソウル・アルバムを出したばかりです。サム、エディ、そしてスティーヴのコンビでレコーディングなんてことになったら最高ですが、サムはライノと契約があるので無理でしょう。これはぼくの白昼夢です。




2008-09-03 「東京JAZZ」その4_e0021965_1216486.jpg この日は、ぼくみたいなソウル・ファンにとっては夢のようなラインアップでした。まさかサム・ムーアとスライ・ストーンが同じコンサートに登場するとは。それにしても、スライとファミリー・ストーンが日本でライヴをするなんて、本当に素晴らしいことです。

 1982年にニューヨークで久々にコンサートが開かれて、それを運よく、というかぼくにとっては当然のことですが、しっかりと堪能させてもらいました。これが生スライ初体験です。はい、これも自慢です。

 それ以来のスライです。ライヴはそのころが最後で、あとはずっと音沙汰がなかったため、復活は難しいと思っていました。ところが2006年のグラミー授賞式でスライのトリビュート・ショーが行なわれ、そこに本人が登場したんです。これには興奮させれました。そのときの金髪モヒカン姿も衝撃でした。で、昨年はついにヨーロッパ・ツアーが実現し、それを経ての来日です。

 始まる前から大きな拍手が起こり、期待の大きさがうかがえました。でも、スライっていつから日本でこんなに人気があったんでしょう? リアルタイムで聴いていたころは「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」や「エヴリデイ・ピープル」のヒットはありましたが、それ以外の曲は一部のマニアの間で受けていただけのように記憶しています。きっと、最近のファンが過去の作品(しかありませんが)を聴いて再評価したんでしょう。ぼくの世代はスライに対し、ヒット曲以外はとても冷たかったですから。

 スライは不思議な存在感の持ち主です。フラッとステージに出てきて、またフラッと消えていきました。いるだけでいい、というんでしょうか。前面に出ることもあまりなく、バンドのメンバーに音楽は任せていた感じです。気が向くと歌ったりキーボードを弾いたりしますが、そのあたりはまったく奔放。元気なのか疲れているのか、よくわかりません。アンコールにも彼だけ出てこなかったですし。

 でも、それでいいんです。スライはそういうところにカリスマ的な存在感があるからです。彼がいなければスライとファミリー・ストーンは成立しません。あとは新作を出してくれればいうことありません。

 そういうわけで、今回もたっぷりと音楽を堪能させてもらった「東京JAZZ」です。これだけ聴けば十分なので、夜の部はパスしました。聴けばいいってものじゃないですから。
by jazz_ogawa | 2008-09-03 12:25 | ライヴは天国 | Trackback(1) | Comments(10)
Tracked from ♪♪♪yuricoz c.. at 2008-09-09 16:11
タイトル : 東京JAZZフェスティバル2008♪ @国際フォーラム ..
ダンスィの誕生日でもあり、 私のバースデー月間の最終日を飾ったのは、 ←こちらのイベントでございます♪ 8月29日から31日まで、3日間を通じて東京国際フォーラムホールAで行われた『東京JAZZ2008』に行ってきました♪ お目当ては、最終日の昼の回♪ この3日間で行われたライブは、計5回。それも、1ステージに、3~4つのミュージシャンが出演するので、すんごい中味が濃いのです!! 出演者は、コチラ♪お目当てのバンドは、下記↓をクリックしてください♪ 祝・初来日!! 結成4...... more
Commented by T at 2008-09-03 18:38 x
こんばんは。私も観ていました。異様な熱気ですごかったですね。
皆それぞれに個性があって、アーティストが入れ替わるたびに「世の中にはこんな音楽もあるのか」と驚くばかりでした。今年初めて行ったのですが来年もぜひ伺いたいと思いました。
Commented by jazz_ogawa at 2008-09-03 23:22
Tさんも行くといっていましたものね。こういうフェスティヴァル、いいですよね。
Commented by corbusier at 2008-09-04 20:41 x
東京ジャズよかったです!
東京ジャズははじめていきましたが、ほかのジャズライヴよりも若い人が多かったですね。大学生(?)のグループらしき集団もいましたし。
まぁ、僕も大学1年なんですが、中学・高校時代にジャズイヴェントで同年代の人を見かけた記憶はほとんどありません。若い人の間にも、「ちょっとジャズでも聴いてみるか~♪」と思っている、潜在的なファンがいるんですね。

小川さんの「ongaku ゼミ」1回行ってみたいです。大学が駒場にあるのに、知らなかったのが残念(^^ゞ
Commented by jazz_ogawa at 2008-09-05 00:24
corbusierさん、ぼくも堪能しました。ほんと、よかったですね。
駒場の「ONゼミ」は、いまのところ次回の開催が未定です。再び開催することになった暁にはぜひいらしてください。
Commented by めいこ at 2008-09-05 00:36 x
小川さん、こんばんは。
東京ジャズに行けなかった私としては、書き込みしにくいのですが、今夜大阪ビルボードでのハンクジョーンズさん、聞きに行ってきました!
90歳になられても、かなりお元気で、お茶目でかわいい感じでした。ピアノのタッチも軽くて鍵盤の上を指が踊っているようでした。ベースがかなり繊細で心地よかったですよ。
Commented by jazz_ogawa at 2008-09-05 08:54
めいこさん、行ってこられたんですね。ハンクさん、いい味を出していたでしょ。ライヴの体験って自分だけの思い出になりますから、今回もきっといい思い出になることでしょう。よかったですね。
Commented by makise at 2008-09-08 23:33 x
小川さん、おひさしぶりです。
スライ・ストーンが来ていた事、知りませんでした。
とても観たかったです〜。
私はプリンスから遡って、スライやアイザック・ヘイズを聴いたくちです。
ご報告ありがとうございました〜。
Commented by jazz_ogawa at 2008-09-09 07:28
makiseさん、お元気でしたか?
スライは不思議な存在感があって、とても面白かったですよ。
Commented by yuricoz at 2008-09-09 16:10
この回だけ行きました♪最初の方は、存じあげず寝てしまいました。反省
サムさん、ステップしながら可愛かったです♪
スライは、ほんとに若いファンが多くてびっくりしました!!後で知ったのですが高値で、チケットもやりとりされていました!!
TBさせていただきます♪
Commented by jazz_ogawa at 2008-09-09 17:13
yuricozさん、「ブルーノート東京」でのスライは10分くらいしかステージに登場しなかったらしいです。「東京JAZZ」で正解でしょう。
代わりにサム・ムーアは2時間近いステージだったそうですが。
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