
アイアンさんこと、徳持耕一郎さんが「鉄筋彫刻展」を東京駅大丸で開催していたので、先日、本業のお昼休みに覗いてきました。アイアンさんとは、NHKの「東京JAZZ 2003」の番宣番組に出たときに知り合いました。そのとき、スタジオのあちこちに配されていたのが、アイアンさんの鉄筋彫刻でした。テーマはジャズ・ミュージシャン。その立体感と動的な造形にびっくりしたものです。
その後、一時は本気でアイアンさんにマイルスの鉄筋彫刻をお願いしようと思ったのですが、等身大ですから、置き場所がありません。それなら、ニューヨークのアパートに、とも思いました。それも、結局、自分の心の中でうやむやになってしまい、いまだに願望のまま残っています。

アイアンさんは、元々銅版画家とのことで、会場には銅版画やシルクスクリーンなども展示されていました。こちらもジャズ・ミュージシャンがテーマで、実に味のある、というか雰囲気のあるラインがジャズ・ファン心をくすぐります。アイアンさんが熱心なジャズ・ファンであるからこその作品なんでしょうね。
アイアンさんとは、こういう方です。以下、ご本人推薦による「大阪のART LIFE」というWEB Pageから引用させていただきます。

■線から出直す
1989年、ニューヨークでの個展をきっかけに、ジャズに影響を受ける。
「ヴィレッジ・ゲート」でライヴを聴きながらナプキンにスケッチしたことがきっかけで、それ以来線でジャズを描いている。
鳥取の個展で、ぽっかり空いた空間に何を置こうかと考えて発想したのが「鉄筋彫刻」だという。 それからと言うもの、鉄筋彫刻の魅力に吸い込まれていった。
音楽から感じて線が出来た。
ジャズマン達が線からリズムを感じてくれた。
テーマはジャズ。
でも描こうとしているのは日本的な「線」。
それが、鉄筋彫刻の魅力であろう。
■つながる線
立体的であるが、奥行きはわずか数センチ。
徳持氏の鉄筋彫刻には見えない線がある。
線の強弱と、見えない線でその奥行きと立体感が表現されている。
素材としての鉄は無機質なクールな線。それが組み合わされた時に出来る太さの異なる曲線の抑揚が命だ。
設置する時間と空間によって違う音楽を醸し出す。
力とスピードのある美しい曲線がジャズの音を奏でる。
西洋の塊の彫刻に対して「線」で何が出来るか・・・徳持氏は挑戦していると語る。

この個展、8日までやっています。