
久々にのんびりできた土曜日に、六本木の「TOHOシネマズ」でこの映画を観てきました。
ひとつ前のブログに掲載した写真の結婚披露宴。ぼくは金曜の夜まで、土曜日だと勘違いしていました。披露式が日曜と気づき、それで土曜の午後がぽっかり空いた次第です。
この手のポカはよくやります。今回はポカをする前に気づいたので、ポカじゃありませんが。
学生時代にも、新宿厚生年金会館ホールでコンサートと思っていたら、中野サンプラザだったりと、こういうときはがっくりです。でも、気がついてよかった。土曜日に会場まで行っていたら、なんだか翌日は行くのが億劫になっていたかも、ですから。

この披露宴で隣の席だったのが『TALKIN' ジャズX文学』の表紙写真を撮ってくださった佐々木裕正さん。彼とは久々にお会いできて、最初から最後までずっとお話をしていました。
佐々木さんは、パリと日本を行ったりきたりしている国際的なファッション・カメラマンです。ニューヨーク時代はマイルスと同じアパートに住んでいらしたという羨ましいおひとで、たまたまこの時期は日本にいたので披露宴に出席できたということでした。世代も同じで、好きな音楽も同じ。カメラマンになる前はベーシストだったひとです。いやぁ、楽しかった。
結婚式では、島田雅彦さんが乾杯の音頭をとり、瀬戸内寂聴さんや横尾忠則さんのスピーチなどがあって、さすがにこの方たちのお話は面白かったですね。新婦もファッション雑誌の表紙モデルをやっている有名な方で、なんとも美しかったです。
しかも心がこもった素敵な披露宴で、ぼくまで幸せな気分になっていました。同じテーブルにいらした方たちは新郎の友人で、ぼくの子供の世代に近いひとばかりだったんですが、みなさん気さくで、そのあたりも新郎のお人柄がわかる気がしました。
どちらかというと、日常生活がとげとげしいものになりそうなぼくですから、こういう時間がすごせたことに大変感謝しながら、雨が降り出した午後の遅い時間、そんな雨のこともうっとおしく思わず(っていうかタクシーの乗ったんで関係ないんですが)、家に戻れました。

その幸せな気分になれる予告編みたいなものが、前日に観たこの映画です。内容以前に、ノラ・ジョーンズ主演ということに興味がありました。レコード会社から送られてきたサウンドトラックもiPodに入れて何度も聴いていたので、その音楽のセンスのよさに、これはきっといい映画だろうという確信は持っていました。

レコードでもCDでもいいですが、ジャズやロックでは「ジャケ買い」という言葉があります。なんの根拠もないんですが、「ジャケットのデザインがいいと中身もいい」という説ですね。たしかに、不思議とその確立は高いようです。ぼくは、そういう出会いを数限りなく体験してきました。今回は「ジャケ買い」ではなく、「音楽買い」でしょうか。「音楽がよければ映画もいい」ってことです。
オーティス・レディングの歌がああいう場面で使われているとは思いませんでした。ライ・クーダーのセンスなんでしょうが、オーティス・ファンとしては嬉しいですね。ノラ・ジョーンズの歌も相変わらず魅力的ですし、このアルバムにはいい歌や曲がたくさん詰まっています。
この映画、大人というか、ぼくから見れば子供のファンタジーでしょうか? ぼくはいい気分でこれからの日々をすごしたいので、こういう映画を観たり、さっきの披露宴に出席したり、ぼくのことを少しは気にかけてくれているひとたちと会ったりすることはとても大切です。

このところ原稿に追われていて、そういう気分から少し遠ざかっていました。原稿を書いて幸せな気分を味わうのとは、幸せな気分でも種類が違います。ぼくの場合、ひとを不愉快にさせるのは得意ですが、幸せな気分にさせることが下手なようです。なにしろ自分勝手に生きていますから。でも、最近はそういう存在になれたらいいなぁと、少しは思うようになりました。
写真は、「六本木TUTAYA」の店内です。この映画とタイアップしているようで、あちこちにこういうディスプレイがありました。

こちらは今日のお昼休みにウォーキングをして遭遇した満開のサクラです。竹内まりやさんの歌に「人生の扉」があります。その中の歌詞をしみじみと思いました。
「満開のさくらや色ずく山の紅葉を、この先いったい何度見ることになるだろう」(このくらいの引用は問題ないですよね。問題があると思うひと、コメントよろしく)。
まさにこの心境ですね。ほんと、あと何回くらい満開のさくらにお目にかかれるんでしょう?
しばらく前までは残された時間のことなんかまったく考えていなかったんですが、いまではそのことを強く意識しています。ですから、毎日をなるべく穏やかに、波風の立たないようにすごしたいもの、と思っています。