「こういう映画だったのね」というのが観終わって最初に出た言葉です。ジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督の『スウィニー・トッド』を、公開初日の昨日、近くの映画館で観てきました。
近くといっても六本木ですから歩くと25分くらい。これじゃウォーキングになりませんから、遠回りをして、以前住んでいたアパートがどうなっているかをついでに見てきました。
このアパート、東京でもっとも古い外国人向けアパートのひとつだったんですが、古くなったので立て替えて分譲にすることになりました。それで立ち退き騒ぎが起こり、最初は立ち退き屋がアパートに住み着いたりして裁判沙汰になりそうになったんですが、最終的には丸く収まり、ぼくもいまのところに引越しました。
その際、建て替わったら優先的に入居できる条件をもらったんですが、引越しがあまりにも大変だったので、場所的に魅力はあるんですが、現在のところで落ち着こうと決めました。でも、やはり以前のところに心残りもあります。
それでどのくらい建設が進んでいるのかを、ウォーキングがてら見てきました。かなり高級なマンションということですが、途中までできた外観からは、「なんだかちょっと・・・・・・」という印象です。これで揺れていた気持ちが完全に吹っ切れました。
話が最初から脱線しましたね。この映画、あまりにも血まみれで、参りました。これまで散々本物の大量出血に遭遇してきましたので、仕事以外でこんなに沢山の血は観たくないなぁ、というのが本音です。『ラスト・サムライ』ほどではありませんが、観ながら「ティムさん、そろそろいい加減にしません?」と思っていました。
こういう映画、作っているほうも「またかよ」ってうんざりしないんでしょうか? それともだんだん乗ってきて、「もっとリアルにしちゃおう」なんて考えるんでしょうかね? さすがにティム・バートンとジョニー・デップのコンビだとは思いましたが。
この映画、先日発表になったゴールデン・グローブ賞のミュージカル・コメディー部門で「最優秀主演男優賞」と「最優秀作品賞」を受賞したそうですが、こういう作品が受賞するのかと、ちょっと驚きました。
ところで、ティム・バートンのこんなインタヴューを見つけました。
――ティム、あなたの作品では初のR指定になりましたけど、興行面でのリスクは考えませんでしたか。
T:もちろん、そういうリスクはいつでもある。でも最初にスタジオとミーティングした時にはっきり言ったんだ。道徳的な面を考慮して血生臭いシーンを控え目に演出したプロダクションを観たことがあるけど、この映画ではそれはやりたくないってね。そういう控え目な演出を観るたびに、失ってしまったものがあると思えてならない。この作品はリアリティーを追求するものじゃなくてメロドラマなんだから、大げさにやらなくちゃならない。噴出する血は、スウィーニー・トッドの抑圧されてきた感情の爆発なんだ。グランギニョールの劇場ではバケツで舞台に血を蒔いたっていうからさ、そういうショー本来の精神に忠実に行うべきだと思った。スタジオ側もそれを理解してくれて、何の問題もなかった。
――それにしても血の色が強烈ですよね。
T:色彩についてはいろいろ試してみた。血には鮮やかな深紅色を選び、逆にセットや衣装は色を抑えて、アクセント・カラーを一部使うだけにした。逆にフラッシュバックのシーンはスウィーニーの人生で楽しかった時のことだからカラフルにした。ミセス・ラベットのファンタジーも同じだ。つまり色をキャラクターの感情に基づいて使い分けたんだ。
なるほど、そこまでぼくは考えて観ていませんでした。「ちょっとやり過ぎじゃない?」って思ったのは、まさしくティム・バートンの狙いどおりだったんでしょうね。
ところで予告編で観た『アメリカン・ギャングスター』が面白そうです。デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウが主演で、しかも監督がリドリー・スコットですから。