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川隆夫の JAZZ BLOG
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©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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「証言で綴る日本のジャズ」

「ジャケ裏の真実
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小川隆夫ONGAKUゼミナール
@銀座le sept
3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


■TALK EVENT■
民音音楽博物館
「3月文化講演会」@神戸
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TEL: 078-265-6595

詳細やその他ライナーノーツなどは 「Works & Information」へ>>
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2008-01-12 追悼 オスカー・ピーターソン
2008-01-12 追悼 オスカー・ピーターソン_e0021965_956155.jpg
 昨年末のことですが、ニューヨーク滞在中にオスカー・ピーターソンの訃報を聞きました。その前の年はジェームス・ブラウンがこの世を去り、たまたま「アポロ劇場」でPublic Viewingが行なわれたので、遺体に対面することができました。数年前には、たしかグローヴァー・ワシントン・ジュニアも年末になくなったんじゃなかったかしら。どうも、年の瀬は音楽家にとって鬼門のようです。

2008-01-12 追悼 オスカー・ピーターソン_e0021965_956165.jpg みなさんもそうでしょうが、オスカー・ピーターソンの演奏には随分と楽しまさせてもらいました。一番好きなアルバムは『プリーズ・リクエスト』(原題は『We Get Request』)。前にもブログのコメントに書きましたが、このアルバムを買って家で聴いたところ、カーテンが振動してびっくりしたことがあります。レイ・ブラウンのベース・サウンドが振動を引き起こしたんですね。ピアノの音にも素晴らしいものがあり、以来このレコードはステレオを買うときなどのサウンド・チェック用に使ってきました。以下の文章は『愛しのジャズメン』からこのブログ用に書き直したものです。

2008-01-12 追悼 オスカー・ピーターソン_e0021965_9562812.jpg
 カナダ生まれのピーターソンが、偶然のことから名プロデューサーのノーマン・グランツに見いだされ、「カーネギー・ホール」で開かれたコンサートにフィーチャーされて大きな話題をさらったのが1949年のことです。以来、彼は60年近くにわたって世界中で大きな人気を獲得してきました。
 ピーターソンといえば優れたピアニストであることはジャズ・ファンなら誰でもご存知でしょう。ところが彼は、それ以前に弾き語りのプレイヤーとしても活動していました。渋いのどにも定評があったのですが、それに見切りをつけてピアニストに専念するようになった理由はなんでしょう? あるとき、本人に聞いてみました。
「ナット・キング・コールと約束したんだよ。彼もわたしと同じで弾き語りが得意だった。プレイのスタイルも似ていたし、声もそっくりだ。これじゃあ仕事がバッティングしてしまう。お互いにそう考えていたんだね」
 コールといえば、《クルーナー》と呼ばれる深いバリトン・ヴォイスが魅力の人気シンガーです。ピアニストとしても一流で、ポピュラー・シンガーとして人気を爆発させる前は、こちらも弾き語りの名手で知られていました。
「知り合ったのはニューヨークに出たあとだから、1950年代の初めだった。ピアノ・トリオといえば、ピアノにベースにドラムスの編成が一般的だが、わたしたちのトリオはドラムスではなくギターを入れた編成だった。これは少し前に流行っていた組み合わせなんだ。あの時代にギター入りのピアノ・トリオは珍しいものになっていた。だから、それが共通しているのも互いのマイナス・ポイントになると思った」(ピーターソン)
 コールもピアノを弾かせれば相当なテクニシャンで売っていましたし、ピーターソンも歌をうたわせればやはりクルーナー系の渋いのどに特徴があります。つまり、ふたりはそっくりさんでした。そこであるとき話し合いがもたれます。
「どちらが提案したのか忘れたが、なんとなくこのままじゃまずいという雰囲気になっていた。そこでナットと会ったときに、これからはどちらかがピアニストでどちらかがシンガーに絞って活動しないかという話になった」
 ピーターソンはかなりの巨体です。お相撲さんもそうですが、体の大きなひとには美声の持ち主が多いみたいですね。彼の話し声も低音で、あたたかい響きが実に魅力的です。しかも黒人特有のなまりがほとんどありません。これはカナダ生まれが理由かもしれないですが。
「それでナットのほうが年上だから、彼に決めてもらうことにした。ナットはシンガーでいきたいというので、それならわたしはピアニストで、ということになった」

2008-01-12 追悼 オスカー・ピーターソン_e0021965_9564513.jpg
 どちらの選択も正しかったようです。ピーターソンはのちにノーマン・グランツが経営するレコード会社(クレフ、ノーグラン、ヴァーヴ、パブロ)で優れたピアノ・アルバムを連発して、ジャズ・ピアノの最高峰にのぼりつめます。コールはコールで1956年からテレビ番組の『ナット・キング・コール・ショウ』をスタートさせ、それによってジャズの世界を飛び出して国民的な人気者になりました。
「しまったと思ったのがそのころだ。シンガーのほうが一般的にアピール度は高い。そちらを選べばよかったと何度思ったことか」
 後悔したとピーターソンはいいますが、その顔を見れば本気でないこともわかります。彼はピアニストとしてキャリアを積んできたことに誇りを感じ、充分に満足していました。それは次のひとことからもわかります。
「同じころ(1956年)からわたしは多くのチャンスをもらうようになった。大物ミュージシャンとの録音やさまざまなシンガーのバックも務めるようになった。その合間に自分の吹き込みもしていたし、ツアーで世界中を回るようにもなった。こんなに充実していていいのだろうか? 恵まれたポジションを与えられたことに感謝したものだ」
 こう語るときのピーターソンは、過去を懐かしむように目を細め、笑顔を浮かべていました。慈愛に溢れた微笑みはアルバム・ジャケットで何度も目にしていたものと同じです。コールとは生涯の友だったことも教えてくれました。だから、彼が1965年にこの世を去ったときは強いショックに見舞われたといいます。
「肉親の死と同じくらい悲しかった。それであのトリビュート・アルバムを作ったんだ。尊敬の気持ちを表したくてね」

2008-01-12 追悼 オスカー・ピーターソン_e0021965_957467.jpg それがピーターソンの弾き語り作品『ウィズ・リスペクト・トゥ・ナット』(ライムライト)です。コールのおはこをピーターソンが歌う。そのヴォーカルは、声も含めて節回しまでまさにコールそっくりです。これなら、別々の道を歩もうと決めたことも理解できるんじゃないでしょうか。
 ただし、ピーターソンはこれを最後にヴォーカル・アルバムは長いこと封印していました。
「それがナットに対してわたしが示せる敬慕の念というものだよ。ヴォーカル作品を出してほしいというリクエストはいまもある。でも、わたしはナットとの約束を大切にしたい」
 ピーターソンの冥福も心からお祈りします。
by jazz_ogawa | 2008-01-12 10:02 | 愛しのJazz Man | Trackback | Comments(6)
Commented by 戀。 at 2008-01-12 11:53 x
素敵なお話ですね。
こういうエピソードを知って聴くのと、そうでなく聴くのでは、感じるものが違うのが不思議です。
「愛しのジャズメン」2冊とも読みたくなりました。
Commented by jazz_ogawa at 2008-01-12 13:54
戀。さん、ありがとうございます。よろしければ『愛しのジャズメン』ぜひどうぞ。
Commented by 加持顕 at 2008-01-12 17:20 x
小川さん、こんにちわ。
これを読んだレコード会社の人が、ピーターソンの追悼盤として『ウィズ・リスペクト・トゥ・ナット』(ライムライト)を発売してくれないでしょうか。
ピーターソンの「弾き語り」、是非聴いてみたいです。
Commented by jazz_ogawa at 2008-01-12 20:55
加持顕さん、このアルバムいいですよね。現在は輸入盤では買えるみたいですが、今度担当者にプッシュしておきますね。
Commented by 浦島 at 2008-01-14 09:21 x
小川さん、私もジャズを聞き始めた頃、オスカー・ピーターソンが大好きでした。大学生になり札幌に出て彼のコンサートを見たときは感動でした。もう37年も前のことになります。そして10年ほど前に再びコンサートに行ったときは、もう体もかなり不自由だったようです。いくら拍手をしてもアンコールはありませんでした。友人に「ジャズメンだって気乗りがしないときだってあるよ」と言われたことを今でも覚えています。
Commented by jazz_ogawa at 2008-01-14 11:13
浦島さん、ぼくはたしか1969年だったと思いますが、サム・ジョーンズとボビー・ダーハムのトリオで聴いたのがライヴ初体験でした。このときは、その迫力に圧倒されました。ジャズの楽しさを教えてもらった気がしたものです。
後年、ピーターソンにインタヴューしたときにそのことを伝えたら、黙って抱きしめてくれました。そのときのぬくもりをいまもときどき思い出します。
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