3日目の土曜日は昼・夜の2回公演ですが、ぼくは3時から来日中のチック・コリアのインタヴュー、それも彼からの指定で90分のインタヴューをすることになったので、「東京JAZZ」は夜の部だけを観ました。チックとのインタヴューは次回紹介しますので、お楽しみに。
それで22日の夜の部ですが、インタヴューをした場所が会場近くのホテルだったので、終わってから近くをウォーキングして時間を潰しました。いつもと違う風景の中を歩くのは新鮮な気分ですね。その後、どこかで食事をしようと思い、とりあえず会場のほうに向かっていたら、途中のオープン・カフェでさっきまで一緒だったチックの関係者とばったり。結局、一緒にお茶を飲んでから会場へ。
【ベニー・ゴルソン・カルテット】
今年78歳のベニー・ゴルソン。しかし若いです。肌の色もつやつやしていて、印象としては、ぼくが彼を起用してレコーディングした15年前とあまり変わっていません。バックはピアノのマイク・ルドン、ベースのバスター・ウィリアムス、そしてドラムスのカール・アレン。
ゴルソンは「ウィズパー・ノット」、「アロング・ケイム・ベティ」、「アイ・リメンバー・クリフォード」など自作の名曲を中心に演奏し、アンコールは「ブルース・マーチ」でした。ワン・ホーン・カルテットで演奏する彼を聴いたのは久しぶりです。メロディアスなフレージングよりゴニョゴニョ吹くのが特徴ですが、昨日はいつもよりそれがいい感じでまとまっていました。
【マイク・スターン・バンド】
最大の興味は小曽根真さんの参加です。そのほかのメンバーはクリス・ミン・ドーキーにデイヴ・ウェックル。つまり、初日に出た小曽根さんのビッグ・バンドにサプライズ・ゲストとして加わった3人+小曽根さんのユニットです。
小曽根さんはオルガンとピアノを半々くらいで弾いたでしょうか。本格的なオルガン・プレイはこれまで観たことがありません。何度か本人から「オルガンをもっと弾きたいんだけれど」という話をうかがっていて、ぼくも興味を持っていました。それにしても、日常的にこの楽器を弾いていないひととは思えないほど見事なプレイです。もっとオルガンを弾くようになったら、すぐにでも世界的なプレイヤーになれると思います。
驚いたのは、小曽根さんがほとんど譜面を見ずに、難しいアレンジやフレーズを次々と決めていたことです。レギュラー・グループのようにまとまりのいい演奏は聴いていて心地がよかったですね。マイク・スターンも小曽根さんとのプレイを楽しんでいるようで、このグループでしばらく活動してほしいと思ったほどです。
【東京JAZZ 2007スペシャル・セッション】
こちらもオールスター・メンバーです。ランディ・ブレッカー、ボブ・ミンツアー、マイク・スターン、ウィル・ブールウエア、アンソニー・ジャクソン、そしてデニス・チェンバース。ぼくがプロデュースしていたころのメンバーがいろいろ入っているので、音の想像はつきますが、それでもこういうひとたちが一堂に顔を揃えてのステージには、胸が躍ります。
ぼくはブルーノートのハード・バップなんかも好きなんですが、こういうコンテンポラリーなジャズにも目がありません。ランディはマイクをトランペットにとりつけてエレクトリック・サウンドにしていましたが、ここはアコースティックなトランペットの音が聴きたかったですね。でも、初日と同様元気一杯なプレイで、それはそれでよかったです。
マイケル・ブレッカーにトリビュートする意味もあったんでしょう。ブレッカー・ブラザーズのレパートリーがいくつか取りあげられました。あとはボブ・ミンツアーのオリジナル2曲がよかったです。
それにしても、ボブは相変わらずうまいです。マイケルみたいに大向こうを唸らせる派手なところはありませんが、音楽性といいテクニックといい、彼に比べて優劣がつけられません。そのあと楽屋でちょっと話したんですが、ぼくがプロデュースした『トゥー・テナーズ』でボブとマイケルに共演してもらって本当によかったといってもらいました。
終演後、楽屋で久々に昔のレコーディング・メンバーと顔を合わせました。ベニー・ゴルソンはもう帰ってしまったようですが。最後のバンドにぼくがプロデュースしたリーダーふたり(ボブ・ミンツアーとデニス・チェンバース)と、サイドマンとして参加してくれたランディ・ブレッカーとアンソニー・ジャクソンがいたので、旧交を暖めてきました。
ボブ・ミンツアーです。ひょっとすると、来年あたり彼と仕事をするかもしれません。そんなこともあるので、お互いの状況なんかを話しました。
デニス・チェンバースです。相変わらず忙しく世界中を飛び回っているようで、昔一緒に作ったCDの再発について、これまたちょっと話をしておきました。
ランディ・ブレッカーには一度だけレコーディングに参加してもらったんですが、そのときにちょっとした出来事があって、思い出すたびに笑ってしまいます。そのエピソードは『愛しのジャズメン 2』に書いてあります。
こういう感じで、ぼくの「東京JAZZ」は終わりました。日曜が最終日ですが、別の用事があるため会場に行けません。See you next year! ですね。
結局、昨日は会場に最後までいたため夕食は抜きにしました。朝ごはんは食べたのですが、お昼はチックたちとサラダと野菜スープと軽目でした。香港以来少し食べる量が増えていたので、1食くらい抜いてもいいでしょう。