
日本におけるカナダ人アーティストのプロモーションの一環としてカナダ大使館およびBMG JAPANが共催するショーケースにおいて、当社より10月3日に日本デビュー・アルバムが発売されるマット・ダスクをご紹介できることを大変嬉しく思います。マット・ダスクはトロント生まれの28歳、若きクルーナーです。フランク・シナトラを彷彿させる“ちょっと不良な男前ヴォーカル”ともいうべき最高に粋な歌声、こんなカッコいいジャズ・ヴォーカルはなかなかありません! それは、まさに「これが21世紀のエンターテイメント・ジャズ・ヴォーカル」というべきもの。
いよいよ世界中で始まりつつある男性ジャズ・ヴォーカルの復権。そんなシーンに彗星のごとく現れた実力ナンバー・ワン、マット・ダスク。今回は17人編成のビッグバンドを従えての初来日パフォーマンスが実現、いきなりその魅力をみせつけることになりそうです。
この秋、BMGイチオシのジャズ・アーティストのパフォーマンスをどうぞごゆっくりとお楽しみ下さい。
㈱BMG JAPAN 洋楽本部 クラシックス&ジャズ

こういう誘いがあって、7日にカナダ大使館で開催されたショウ・ケースに行ってきました。以前このブログでも紹介しましたソフィー・ミルマンもこの大使館に併設されているシアターで観ましたが、今回、ここは同国出身の偉大なピアニストにちなみ、「オスカー・ピーターソン・シアター」という名称になっていました。
“ちょっと不良な男前ヴォーカル”という軽薄ないい回し、ぼくは大っ嫌いですし、レコード会社の回し者でもありませんが、マット・ダスクは大変気に入っています。今回はプロモーションのための来日でしたが、こういう催しに呼んでもらえてとても嬉しかったですね。
メジャー・デビュー作の『Two Shots』が国内発売されなかったため、2作目の『バック・イン・タウン』が日本では最初の作品になります。この夜も最後に歌いましたが、ジャズともロックともつかない「オール・アバウト・ミー」が2作目の2曲目に収録されていて、これにすっかりノックアウトされてしまいました。この曲、本人がステージで話していましたが、カナダのチャートで1位になったそうです。

本人はシナトラが大好きなようですが、ステージを観ていてぼくが連想したのはボビー・ダーリンです。「マイ・ウェイ」を歌ったからというわけではあませんが、この曲の本家ポール・アンカの雰囲気もあります。ジャジーな魅力を持ったシンガーですが、純粋なジャズ・シンガーとは違います。こういうタイプがぼくは好きなので、当分はiPodのヘヴィー・ローテーションになるでしょう。
そういえばiPodのラインが一新されて、どれもこれまで以上に魅力的な品揃えになりました。全部ほしいですね。もうすぐ出るiPod touchもほしいです。ニューヨークに行ったらiPhoneを買おうと思っていたのですが、iPod touchが出るならこれでもいいかなと思い直しているところです。容量不足が気になりますが、物として持っていたいということです。
マット・ダスクに話を戻します。要領を得た紹介がHMVのWEBに載っています。

マット・ダスクはトロント生まれの28歳、2004年アルバム「トゥー・ショッツ」でメジャー・デビュー。メジャー2作目にして日本デビュー盤となるのが本作。
アレンジャーにはパトリック・ウィリアムスやサミー・ネスティコ、ヴィンス・メンドゥーサといった錚々たる顔ぶれが名を連ね、レコーディングはグラミー賞受賞エンジニアである重鎮、アル・シュミット。そのアル・シュミットと共にミキシングを手掛けたのはマドンナからグリーン・デイまで、世界のポップス・シーンにその名を轟かすNo.1エンジニア、クリス・ロード・アルジ。バックを彩るビッグ・バンドのメンバーはゲイリー・フォスター(as)、ウェイン・バージェロン(tp)、チャーリー・ローパー(tb)というド強力なリード・ラインを軸に、ピート・クリストリーブ(ts)、ボブ・シェパード(ts)、ウォーレン・ルーニング(tp)、ゲイリー・グラント(tp)といったファースト・コールのミュージシャンがずらりと並び、更にはリズム・セクションの要にヴィニー・カリウタ(ds)という超豪華布陣。
アメリカン・ソング・ブックというべきスタンダード曲とオリジナル曲がバランス良く並ぶ本作、そのオープニングを飾るのが最高に粋でいなせなタイトル曲「バック・イン・タウン」。そしてタイトル曲に勝るとも劣らぬ圧倒的存在感を示す2曲目「オール・アバウト・ミー」。この2曲はクリス・ロード・アルジがミキシングを担当。マット曰く、「最初にミックスされた音を聴いた瞬間にぶっ飛んだよ!」。問答無用の強力チューン2連発である! 続く「ザ・ベスト・イズ・イエット・トゥ・カム」、「時の過ぎゆくまま」、「ラーニン・ザ・ブルース」の3曲はシナトラを彷彿させる楽曲群だが、ここでのマットは見事に新しい歌として甦らせることに成功している。アレンジャーはいずれもサミー・ネスティコ。ビッグ・バンド+弦楽オーケストラという豪華布陣によるネスティコ・サウンドに乗ったマットの歌。これに酔いしれずして何に酔いしれようか。
いかにもぼくが好きそうな内容でしょう。注目すべきはヴィンス・メンドーサの参加ですね。このブログをお読みのかたならヴィンスのことはご存知だと思います。彼が次々といい仕事をしてくれるので、ぼくも鼻が高いです。
『スイングジャーナル』誌の10月号用にぼくが書いたディスク・レヴューも最後に載せておきます。

ここ数年、海外では若いシンガー、それもジャジーでポップな感覚を持ったシンガーの台頭が著しい。ここに登場したマット・ダスクもそんなひとり。メジャー2作目にして本邦デビュー作となったこの作品では、ゴージャスなビッグ・バンド・サウンドに乗せてご機嫌なヴォーカルを聴かせてくれる。ジャングル・ムードからジャイヴを経てモダンなビッグ・バンド・サウンドまで、オーケストラがこの若きシンガーをさまざまな形でバック・アップする。オールド・ファッションにしてウルトラ・モダン。この両面性がジャズ・ファンのみならずクラブ・ファンにも受け入れられ、本邦での発売が見送られた1作目も欧米では大きな反響を呼んだ。そしてヴォーカル面でもサウンド面でもさらにスケール・アップしたのが今回の新作。曲もオリジナルとスタンダードからいいものばかりが選ばれている。とくに強力なオーケストラ・サウンドをバックに力強い歌唱を聴かせる「オール・アバウト・ミー」が感動的。これなどロック・ファンにも訴えかける内容だと思う。一転して「ザ・ベスト・イズ・イエット・トゥ・カム」では、ロマンティックなビッグ・バンドとストリングスをバックにフランク・シナトラのカヴァーが取りあげられる。この都会的で洒落たセンスのヴォーカルこそがマットの魅力である。アレンジャーにも大御所のサミー・ネスティコやこのところ立て続けにいい仕事をしているヴィンス・メンドーサなどが顔を揃えている。(★★★★半)