話題の映画は話題になっているうちに観ておこうと思い、昨日は「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」で『オーシャンズ13』を観てきました。だいたいどんな映画でも3作目ともなれば、そろそろつまらなくなってくるものです。
と思っていたのですが、この映画、ぼくは楽しく観れました。いちばんの理由は、ストーリーが比較的単純だったことです。理解力低下中のぼくは、『11』にしても『12』にしても、細かい意味がわからなくて、それが気になりストーリーに集中できませんでした。
それでもかなり楽しめましたが、ジョージ・クルーニーや監督なんかが仕掛けたさまざまなオチをすべて理解できたわけではありません(たぶん)。それでDVDを買い、何度か観ました。先日はテレビでも『12』を観ています。それでも、やっぱり「この場面はどんな意味があるの?」とか、「どうしてこのひとはこんなことまで知っているの?」みたいな疑問が解決できません。
それで『13』も、観終わったあとに不完全燃焼な思いをしながら映画館を出てくることになるかなぁ、なんて考えていました。たしかにいくつかクエスチョン・マークはありましたが、全体としてはこれまでの作品よりストーリーや展開が理解できた分、楽しめました。
登場人物のキャラクターはどれも好きですね。ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)とラスティ・ライアン(ブラッド・ピット)の会話が相変わらず粋だし、彼らのやることなすことが洒落ていて、羨ましいことこの上ない内容でした。弟分的なライナス・コールドウェル(マット・デイモン)もちょっとはふたりに認められたのかな?
今回はテス役のジュリア・ロバーツも、前回登場したキャサリン・ゼタ・ジョーンズも、会話の中には出てきますが、姿を現しません。別に男社会云々ではありませんが、話がすっきりしていたのはそのせいかもしれません。オーシャン・シリーズは男の友情物語ですから、ビートルズと同じで女性が入るとややこしくなります。
今回はルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド)の復讐をするため、オーシャンと仲間が立ち上がります。その敵役がカジノ経営者のウィリー・バンク(アル・パチーノ)です。ただし、パチーノの役柄がキャラクターとして何か足りないように感じました。ぼくがなりたい理想の年上のひとりがパチーノです(絶対無理ですが)。その彼が、ただの金の亡者の役じゃもったいない、というのが感想です。
女性といえば、ジュリア・ロバーツもキャサリン・ゼタ・ジョーンズも出ない代わりに、パチーノの片腕としてエレン・バーキン(左の女性)が出ています。久しぶりに観ましたが、「certain age」のいい感じになっていました。キャメロン・ディアスがそこそこの年齢になると、彼女みたいになるんじゃなかな、なんて思いました。
ぼくとしては公開が決まったときから観たかった映画です。DVDが出たらまた買って、細かいところをチェックするんでしょうね。3作目でもパワーが落ちていないのは、映画に勢いがあるからです。それと想像ですが、この映画、役者もスタッフも楽しんで作ったんじゃないでしょうか?
ぼくも、『愛しのジャズメン』と『名盤100』が3部作としてそのうち完結します。来年の末には『ブルーノートの真実』『ブルーノート・コレクターズ・ガイド』に続くブルーノート本の大長編も出す予定で、これでブルーノート本も3部作になります。2冊目、3冊目も面白いといわれるような本にしたいと思って、この夏もお盆返上で執筆中です。
中間報告をすると、『愛しのジャズマン 2』が来月、『3』が来春発売の予定です。『100』は3冊目が年末発売の予定で、ほぼ脱稿しました。現在は『愛しのジャズメン 3』とブルーノートの大長編を執筆しています。
大長編の内容はまだ秘密です。最初に漠然と考えていた原稿の枚数があるのですが、書き始めたらこれが実に楽しいんで、いつものようにどんどん増えてしまい、おそらく予定の倍以上になりそうです。ということは『ブルーノートの真実』と同じか、それ以上か?
版元は東京キララ社ですが、むこうもやけになっているようで、「好きにしてください」といわれました。そういうわけで、好きに書いています。手間のかかるブルーノート本はこれで打ち止めにしようと決めていますので(とかいって、直ぐに前言撤回をするかもしれませんが)、思い残すことなく書くつもりです。そういうことなので、どのくらいの厚さになることやら。
キララ社は、こうなったら豪華愛蔵版で箱入りにしちゃいましょうか、なんて嬉しいことまでいってくれます。こういう本は、値段に関係なく買うひとは買いますし、買わないひとは買いません。発行部数はそれほどにならないでしょうが、自分がほしい本を誰も作ってくれないので自分で作っている、とだけお知らせしておきます。
結局『オーシャンズ13』の話から、最後は宣伝になってしまいました。それなら、ついでにもうひとつ。9月10日には、平野啓一郎さんとの共著 『マイルス・デイヴィスとは誰か──「ジャズの帝王」を巡る21人』(平凡社新書)が発売になります。もうすぐ表紙と帯のデザインが完成しますので、『愛しのジャズマン 2』と合わせて紹介しようと思っています。こちらも、ぜひよろしく、です。