ハンク・ジョーンズ&グレート・ジャズ・トリオの未発表演奏集が6月から3ヶ月間連続で毎月1枚ずつ発売されています。ぼくはアルバムのライナーノーツを書いているんですが、韓国でもジャケット・デザインを変えてほぼ同時に発売されました。
その『Vol.1』を日本のレコード会社が送ってくれました。添付のライナーノーツを見たところ、どうやらぼくの原稿が翻訳されているようです。文書はまったく読めませんが、最後のクレジットが日本盤と同じになっていたのでわかりました。
うまく翻訳されているかどうか心配ですが、それはともかくとして、自分の文書が韓国語になっているのは不思議な気分です。このブログのURLも末尾に印刷されているので、ひょっとしたらこちらも覗いてくれるひとがいるかもしれません。そうだったら嬉しいですね。
これまで、アメリカで発売されたCDにぼくの原稿の翻訳が載ったことはあります。それからマイルス・デイヴィスやボブ・ベルデンなど、いくつかのCDでは英語で書きおろしたものもあります。稚拙な英文でしたが。
あとイタリアで出たマイルスの海賊盤に、ぼくの原稿が日本語のまま印刷されていたことがあります。日本ではきちんとしたレコード会社から出たものでしたが、出典が怪しくて、結局はブート業者経由でそのテープを入手して発売してしまった、というものです。そのイタリア盤のジャケット裏には、日本盤用に書いたライナーがそのまま印刷されていて驚きました。文書は日本語ですが、この韓国盤と同じで、最後にぼくの名前がローマ字でクレジットされています。
当然無断借用です。道義上の問題もありますし、海賊盤を擁護することはぼくの立場からしたらまずいことですが、それもわかった上で、マイルスのレコード・ジャケットにぼくの解説が印刷されている事実は、マイルス・フリークでコレクターであるぼくにとってはとても嬉しいし、それでもやっぱり割り切れない気持ちも同時に感じました。
次にはドキリとしました。ジャケットのどこを見ても、ぼくの名前以外、ひとの名前が載っていません。もちろんレコード会社の住所もありません。もし誰かが訴訟を起こすとしたら、そんなことはまずありえないと思いますが、コンタクトはぼくにしか取れません。マイルスに訴えられたらどうしよう。一瞬、そんな思いが頭をよぎりました。
さて、暑い日が続いています。世の中は帰省ラッシュのようです。ぼくはどこにも行きません。病院も来週は大半が休みなので、気分的には楽です。でも貧乏性なので、この機に原稿をいろいろ書こうと思っています。
9月から年末にかけて、チック・コリアがさまざまなピアノ・トリオでアルバムを出します。昨日その音がようやく届きました。5枚分あって、そのライナーノーツも頼まれているので、この1週間である程度は仕上げておこうと思っています。
それから、18日は銀座の「le sept」で『ONGAKUゼミナール』です。こちらの準備、といってもiPODのソングリストに曲を移すだけですが、それもやっておかないといけないですし、やることはきりがなくたくさんあります。そういうのが少しも苦にならないところが、ぼくのいいところであり、駄目なところかもしれません。
でもとりあえず仕事があるのは嬉しいことですし、ありがたいことです。こうやって今年の夏も過ぎていきます。みなさんも体調に気をつけて、休みのひともそうでないひとも楽しくお過ごしください。