
今日も雑誌の紹介をさせてください。。昨日発売された『月刊PLAYBOY』(6月号)は久々のジャズ特集号でした。今回は企画の段階から相談されていたので、いろいろなところでかかわっています。このような内容です。
「第1回PLAYBOYジャズ大賞決定!!」
「座談会:日野皓正×中平穂積×小川隆夫 日本はジャズ天国だ!」
「村上春樹とジャズと港町」
「JAZZフェスティヴァルが呼んでいる」
「中上健次が論じたジャズ」
「PLAYBOYのジャズ検定」
「ジャズ100年のベストはこれだ!」
「来日ジャズの巨匠たち」
「別冊付録:究極のジャズ・ハンドブック」
北海道から沖縄まで 日本全国ジャズスポット55選
日本が生んだJAZZ名盤30
今、和ジャズ復刻盤が熱い!

一番大きなものは、日野さんと中平さんの3人でやった座談会です。ブログにも以前書きましたが、2月に銀座で「ONGAKUゼミナール」を終えてから、急いで会場の新宿に駆けつけました。場所はジャズ・バーの「Who's Who」。昨年まで中平さんが経営していた「DUG」が、内装もそのままでオーナーが代わってこの店になったものです。

雑誌掲載の写真とは別ヴァージョンです
お互いに共通の体験を持っている1960年代の東京、それも新宿周辺を中心にしたジャズ状況みたいなものを3人で話しました。日野さんはミュージシャンとして、中平さんはジャズ喫茶やライヴ・ハウスの経営者として、そしてぼくはファンとして、それぞれの視線で見ていた、体験していたジャズについての話が中心です。
これは楽しかったですね。座談会ということを忘れて、みんなで四方山話をしていたらあっという間に2時間以上が過ぎていました。ぼくが一番若造ですから、聞き役(?)に回っていたのですが、知らないこともたくさんあって、貴重な時間を過ごすことができました。

今回の特集でもうひとつのメインがアンケートによる「第1回PLAYBOYジャズ大賞」です。それに付随して「ジャズ100年のベスト」というのも選出しました。
「ジャズ大賞」は、選考委員15人で選んだものです。ただし勝手に選んでくださいとお願いしても無理なので、基準となるノミネート作品をまずは決めることにしました。その選定にも少しかかわっています。
部門は3つあります。「PLAYBOY JAZZ大賞(海外部門)」、「PLAYBOY JAZZ大賞(国内部門)」、「PLAYBOY JAZZ大賞(リイシュー・発掘音源部門)」で、受賞作品はそれぞれ『パット・メセニー&ブラッド・メルドー/メセニー・メルドー』、『上原ひろみ/タイム・コントロール』、『ウエザー・リポート/フォアキャスト:トゥモロウ』になりました。ぼくが投票したのもこれら3枚だったので、ぼくの好みや感性も特別変わっていたり、皆さんとずれているわけじゃないと安心しました。
へそ曲がりで、ひととは違うことをわざとやりたがるぼくですが、こういうときはいたって真っ当なものを選びます。奇をてらうのは好きじゃないんです。ひとと違うことをするのと奇をてらうことは似て非なるものじゃないでしょうか。脱線しました。話を戻しましょう。

「ジャズ100年のベスト」は「50人のジャズ通が選んだ永遠の名盤」ということで、「個人的な好みを優先させるか客観的な評価を優先させるかで迷ったが、結局はあらゆる作品を聴いているわけでないため、史的に重要と思われる作品から自分の好きなものを選んでみた。それがこの5枚です」というコメントをつけて、この5枚にしました。
1位『マイルス・デイヴィス/カインド・オブ・ブルー』
2位『スタン・ゲッツ/ゲッツ=ジルベルト』
3位『クリフォード・ブラウン/ウィズ・ストリングス』
4位『ルイ・アームストロング/サッチモ・アット・シンフォニー・ホール』
5位『ソニー・ロリンズ/サキソフォン・コロッサス』
結果は1位がぼくと同じで『カインド・オブ・ブルー』でした。
残りは書き原稿です。

「来日ジャズの巨匠たち」という読みものでは、アート・ペッパーを担当しました。ジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンスなどはほかのひとが書いています。これはエッセイみたいなもので、ペッパーが初来日したときの感動を綴ってみました。
麻薬の逮捕歴があったペッパーは、絶対に来日できないと思われていました。その彼が1977年にカル・ジェイダー・グループの一員として日本の土を初めて踏みます。ほとんど前宣伝もされていなかったため、会場となった「郵便貯金ホール」はがらがらでした。しかし集まったお客さんは万来の拍手でペッパーを迎えます。そのときの、拍手が鳴り止むまでただただ立ち尽くすしかなかった彼の姿をぼくは一生忘れないでしょう。

あとは別冊「究極のジャズ・ハンドブック」用の原稿です。「北海道から沖縄まで 日本全国ジャズスポット55選」の副題がつけられていますが、そのメイン原稿ではなく、担当したのは「日本が生んだJAZZ名盤30」というおまけのようなものと、「今、和ジャズ復刻盤が熱い!」です。
日本のジャズは得意中の得意なので、こういうのは楽ですね。それにしても、「和ジャズ」があちこちで話題になっているのはいいことだと思います。これによって、埋もれた作品が再び陽の目を見る機会も増えています。1950年代から70年代くらいにかけて作られた邦人ミュージシャンによる作品のことですが、いま聴くと、リアルタイムで聴いていた作品については、そのときより楽しめる作品も少なくありません。
一般誌の中で『月刊PLAYBOY』は格別にジャズへの愛情が深い雑誌です。ほかの一般誌もジャズ特集をしますが、それらは気まぐれというか、「たまにはジャズもいいか」みたいな発想で組まれています。ところが『月刊PLAYBOY』はコンスタントにジャズ特集をしてきました。ジャズ・ファンとして、そしてジャズに携わっているものとして、これほど有難いことはありません。
これまで『月刊PLAYBOY』が組んできたジャズ特集は、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、ブルーノートと、アーティスト個人かレーベルに的を絞ったものでした。今回はそうしたことから離れた初の試みです。これが吉と出るか凶と出るかはわかりません。
しかし「PLAYBOY ジャズ大賞」を制定したからには、これからもジャズ特集は組んでいくことになるでしょう。ジャズ特集をしない雑誌が「ジャズ大賞」を選ぶことはできませんから。そういうわけで、ぼくは今後の『月刊PLAYBOY』にこれまで以上の期待を寄せています。せっかく始めた「大賞」です。1回で終わってしまったらみっともないじゃないですか。