ここしばらく、本業と原稿書きと5月に出る『ジャズマンはこう聴いた! 珠玉のJAZZ名盤100』(仮)の初稿をチェックする日々で、ほとんどほかのことはやっていません。この本は、昨年8月に出した『ジャズマンが愛する不朽のJAZZ名盤100』の続編にあたります。1年も経たずに2冊目が出せるというのは大変嬉しいことです。この勢いで、年内に3冊目まで出せそうな雰囲気になってきました。
それから、今日はもうひとつ嬉しいことがありました。家に帰ってみると、『ジャズ面白雑学事典』(ヤマハミュージックメディア)が届いていました。この本、2001年に出したものですが、なぜか売れています。
今回送られてきたのは、11刷になったからです。自分でいうのも何ですが、ジャズの本で11刷なんて聞いたことがありません。必ず毎年2月か3月に増刷になります。いったいどなたが買ってくれているのか? 不思議です。
書店にもこの本はあまり置かれていません。ヤマハですから、ヤマハ音楽教室に来る生徒さんにでも売りつけているのでしょうか? それは冗談としても、本当にいったいどういう方がどういうところでお買い求めてくださっているのか、不思議でなりません。
それはそれとして、ここのところ映画も観に行かなければライヴにも行っていません。そういうわけで、今回も帯つきLPをいくつか紹介することにしました。ほとんどコメントがもらえていないので、みなさんには退屈なのかもしれませんが、これはこれでぼくには大切なコレクションです。今日は40年間以上聴き続けてきたボサノヴァのレコードをいくつか。
②『ゲッツ/ジルベルト』(日本グラモフォン SMV-1023)
ぼくの出発点です。中学2年の春、1964年のことですが、銀座の「テイジン メンズショップ」にVANのマドラス・シャツを買いに行きました。すると店内でこのレコードが流れていたんです。当時はヴェンチャーズからビートルズに興味が移行しつつあったロック少年でした。アイヴィー・ルックに憧れていたロック少年のその後を変えたのがこのレコードです。
お店のひとにどこで買ったかを教えてもらい、マドラス・シャツは買わずに近くのヤマハでこのレコードを手に入れました。ただし、そのとき買ったのは輸入盤です。まだ国内盤は出ていませんでした。
それで、その輸入盤をそれこそ溝が磨り減るまで聴いて、次に買ったのがこの国内盤です。「来日記念盤」となっています。ゲッツはは1965年7月に初来日しますが、これはそのときに合わせてリリースされたものでした。ちなみにメンバーとしてこれまた初来日を飾ったのがゲイリー・バートンです。
③『ゲッツー・オー・ゴー・ゴー』(日本グラモフォン SMV-1016)
ぼくは『ゲッツ/ジルベルト』ですっかりボサノヴァにはまってしまいました。そこで何枚かスタン・ゲッツのレコードを買います。翌年買ったのがこのアルバムでした。そのときも、最初は輸入盤を買っています。ぼくはゲッツのことをてっきりボサノヴァのミュージシャンだと思っていました。ところがこのレコード、半分はジャズの演奏だったんです。それで、初めてゲッツがジャズのテナー・サックス奏者だとわかった次第です。そしてここから少しずつジャズを聴くようになっていきます。
ちにみにこのレコード、半分はアストラッド・ジルベルトをフィーチャーしたボサノヴァで、半分がゲイリー・バートン入りのグループによるジャズでした。
④『アストラッド・ジルベルト/ルック・トゥ・ザ・レイボウ』(日本グラモフォン SMV-1070)
初めて買ったアストラッドの単独LPです。それまでに『ゲッツ/ジルベルト』、『ゲッツー・オー・ゴー・ゴー』で彼女の歌に魅了されていましたから、次はこのアルバムを買うのが順序として当然でした。帯のコピーは「ジルベルトとギル・エヴァンスの魅力的な顔合わせ!」。当時のぼくはまだギル・エヴァンスが誰だかわかりません。
⑤『スタン・ゲッツ(ts)とチャーリー・バード(g)/ボサ・ノバ』(日本コロムビア VL-1065)
スタン・ゲッツのボサノヴァはこのアルバムから始まりました。録音は1962年2月。日本盤の発売が1962年12月。かなり早いです。現在は『ジャズ・サンバ』とオリジナルのタイトルで呼ばれていますが、最初の邦題は『ボサ・ノバ』だったんですね。これまでの3枚は日本グラモフォン盤ですが、その前は日本コロムビアにヴァーヴの国内発売権がありました。帯のデザインもこちらのほうがかっこいいですね。「話題の新リズム、ボサ・ノバの本命盤!」。時代を物語るコピーです。ライナーノーツは児山紀芳さん。ボサノヴァがほとんど知られていなかった時代にかなりきちんとしたことを書いています。さすが児山さんです。
■おまけです
これ、何だと思いますか? これから少しずつ全貌を明かしていきますので乞うご期待!