
昨日は『ドリームガールズ』を観たあと、久しぶりに「ヴィレッジ・ヴァンガード」に行ってきました。出演していたのはピーター・バーンスタインのトリオで、メンバーはラリー・ゴールディングスとビル・スチュワート。いわゆるオルガン・トリオの編成です。
正月が明けたばかりで、昨日は火曜日ですから、「ヴァンガード」ではバーンスタインの初日ですね。フォードの国葬もあって、官公庁はお休み。休日ではありませんが、まだ休み気分を引きずっているような調子の1日だったんじゃないでしょうか。それでも「ヴァンガード」は満員の盛況です。バーンスタイン自身、「初日からこんなにお客さんが来て」とびっくりしていました。

ぼくもびっくりです。バーンスタインには悪いのですが、彼のネーム・ヴァリューで「ヴァンガード」は厳しいのでは? と思っていたからです。ところが8時半に店にいくと、もう数席しか空いていません。予約だけでソールドアウトでした。バーンスタインには悪いですが、店の知名度で来たお客さんも多かったのではないでしょうか?
とはいえ、興味深い内容ではありました。バーンスタインはテクニックはそこそこですが、音の選びかたに趣味のよさが感じられます。リーダーとしては華がないけれど(ごめんなさい)、腕達者な名脇役といったポジションにいるときは真価を発揮します。そんなタイプなので、昨日の演奏でもゴールドスタインが弾くオルガンのほうが目立っていました。
それでもジム・ホール・タイプのプレイは、聴いていて飽きがきません。音色もいいし、落ち着いたソロは成熟したジャズを感じました。それに較べると、ゴールドスタインやビル・スチュワートのプレイにスリリングなものがありました。このバランスがよかったですね。ぼくはジョン・マクラフリンのような早弾きも好きですが、フレーズのひとつひとつにじっくりと耳を傾けられるギター・プレイも好きです。フレージングや音の選びかたや和音の流れを味わいたいからです。

ライヴでもCDでもそうですが、ギタリストのプレイを聴いているときは知らず知らずのうちに頭の中にあるギターで自分も指を動かしています。ソロをなぞったり、勝手にバッキングをつけたりして楽しむんですね。その点で、昨日のバーンスタインは聴きながらそういう遊びをするのにぴったりでした。大体の流れやフレージングを頭の中でなぞることができましたから。
こういうことをいつもやっているとボケ防止になるかもしれません。ただし、CDやiPodを聴きながらこれをやっても、それほど集中できません。たいてい1曲か2曲が終わったところで、気がつくと別のことを考えています。ライヴのほうが圧倒的に集中できます。昨日は、ほぼ全曲でそれをやっていました。

ステージが終わって、オーナーのロレイン・ゴードンに会いました。仕事のことで相談があったからです。チョコレート好きの彼女には、近所にあるおいしいチョコレート屋さんでお土産を包んでもらいました。かなりの高齢ですが、まだかくしゃくとしていて毎晩店に出ています。亡くなったマックス・ゴードンに留学中大変お世話になったこともあって、ぼくはいつか「ヴァンガード」の歴史について本を書きたいと思っています。それにはロレインの協力が不可欠です。
ところがこの話が一向に進みません。これまでにも何度か話をして、書類も作って渡してあるのですが、どうもこちらの思い通りにはいきません。でも、こういうのは気長に説得するしかないでしょう。それでも昨日は少し進展があって、店内の写真は自由に撮っていいといってくれました。ぼくとしては、店のディテールまで記録に残しておきたいので、これは彼女の気が変わらないうちに押さえておいたほうがいいかもしれません。
忙しいとか疲れたとかいいながらも、結局は20分くらいは話につき合ってくれたでしょうか。まあ、少しずつ、一歩一歩ゴールに向かえればいいかなと、この件については思っています。

帰りのタクシーで面白いものを見つけました。右側の画面に映っているのはESPNのテレビ中継です。左側は文字情報の表示になっていて、上にあるタッチ・パネルと連動しています。こちらはザガッドのレストラン紹介が見れたり、「Map」を押せばカーナビのように走っている場所が地図で図示されていきます。そのほか「天気予報」や「タクシー・インフォメーション」「ニュース」が右側に文字で表示される仕掛けです。