小

川隆夫の JAZZ BLOG
Profile

©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

小川隆夫の著書一覧
Link




Topics
最新刊
「ジャズメン、ジャズを聴く」

「証言で綴る日本のジャズ」

「ジャケ裏の真実
ジャズ・ジャイアンツ編」
TALK EVENT■
小川隆夫ONGAKUゼミナール
@銀座le sept
3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


■TALK EVENT■
民音音楽博物館
「3月文化講演会」@神戸
3.26: 関西国際文化センター
コスモホール
TEL: 078-265-6595

詳細やその他ライナーノーツなどは 「Works & Information」へ>>
カテゴリ
最新のコメント
車、あと何年乗れるかなっ..
by y.sugawara at 07:46
今日はAlfred Li..
by Tony at 18:15
昨日はありがとうございま..
by matc_tomo at 18:45
コメント失礼致します。と..
by kin3gin3fuji3 at 16:24
小川さん、はじめまして。..
by 時音詩音 at 21:14
どうも初めまして。 レ..
by 竹田 at 04:38
> 名古屋の正ちゃんさん..
by jazz_ogawa at 15:58
以前は良くお書きになって..
by 名古屋の正ちゃん at 01:42
名古屋の正ちゃん、このコ..
by jazz_ogawa at 15:02
聴きたかったバンド、つい..
by 名古屋の正ちゃん at 18:51
Grecoを購入したとき..
by bjwfan at 21:30
小川さん、お久しぶりです..
by kiku at 11:53
> 名古屋の正ちゃんさん..
by jazz_ogawa at 12:10
久しぶりのブログありがと..
by 名古屋の正ちゃん at 00:11
小川さん、ブログ久しぶり..
by Fujiyama at 17:46
がんばってください♪^^
by yuricoz at 17:26
Fujiyamaさん、あ..
by jazz_ogawa at 20:43
小川さん、東京JAZZカ..
by Fujiyama at 15:11
kentokanpoo..
by jazz_ogawa at 18:02
小川さんの本、早速買って..
by kentokanpoo at 12:30
最新のトラックバック
以前の記事
2025年 02月
2025年 01月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2017年 11月
2016年 12月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
2006-11-15 Sam Moore@ブルーノート東京
2006-11-15 Sam Moore@ブルーノート東京_e0021965_2357469.jpg

 感動しました。やっぱりサム・ムーアは最高です。ついにアルバムが出たと喜んでいたところに、この来日です。若いひとはご存知ないかもしませんが、サム・ムーアとはサム&デイヴのサムのことです。もっとも、サム&デイヴといっても誰のことだかわからないかもしれませんね。「ホールド・オン」や「ソウル・マン」をうたったひとたちといえば、「ああそうか」と思うひともいるでしょう。
 このソウル・デュオ・チームが活躍していたのは1960年代後半のことです。日本では彼らが歌う「ホールド・オン」が流行っていました。高校1年のときですから、1966年、いまからちょうど40年前です。
 この年は、ぼくの人生にとってかなり重要な1年になりました。ビートルズとジョン・コルトレーンの来日公演を観ておおいに触発された年ですから。そしてサム&デイヴの歌にも魅了されて、初めてリズム&ブルースという音楽に触れました。
 それからは、ロック、ボサノヴァ、ジャズ、フォーク、歌謡曲に加えてリズム&ブルースも興味の対象になったわけです。そのとっかかりがサム&デイヴで、そのあとすぐにオーティス・レディングやアレサ・フランクリンを知りました。

2006-11-15 Sam Moore@ブルーノート東京_e0021965_23572566.jpg 中でも最初に好きになったサム&デイヴに一番思い入れが強く、小遣いをためてデビュー・アルバムの『ホールド・オン』を買いました。シングル盤は出ていましたが、LPの国内盤は出ていなくて、渋谷のヤマハで輸入盤を買った記憶があります。これを来る日も来る日も聴いていました。「ホールド・オン」のほかにも「イーズ・ミー」や「ユー・ドント・ノウ・アイ・ライク・アイ・ノウ」なんていう曲が大好きでしたが、そのほかの曲もすべてメロディがよくて、サム&デイヴの歌にも迫力があって、ひとり悦に入ったものです。
 それこそ盤が擦り切れるほど聴いたころに、次の『ダブル・ダイナマイト』が発売されて、こちらのよさにもノックアウトされました。「ユー・ゴット・ミー・ハミン」や「アイム・ユア・パペット」もよかったですし、何より「ぼくのベイビーに何か」の味わい深さは何度聴いても飽きるものでなかったです。ぼくはこれを聴いて、歌の持つ奥深さとか歌の力というものを本当の意味で実感したように思います。
 2006-11-15 Sam Moore@ブルーノート東京_e0021965_23574663.jpgその後に『ソウル・マン』と『アイ・サンキュー』を立て続けに発表して、サム&デイヴの時代は終わります。それからもしばらくは活動を続けていたんですが、LP的にはスタックスから出た最初の2枚とアトランティックから出た次の2枚、つまり聴くべきものはこれら4枚だけでした。その最後のころに彼らは来日をしています。
 高校を卒業したその日の夜に、厚生年金ホールに観にいった記憶があります。彼らはその後にもう一度来たはずで、もちろんどちらのコンサートにも行きました。あの時代はもうひとりの大物ソウル・シンガーのウィルソン・ピケットも渋谷公会堂で観ています。それらを通して、初めて本場のソウル・ショウに触れました。単純なぼくは、自分も黒人になった気分を味わったものです。

 黒人になった気分といえば、サム&デイヴを聴き始めたころに、ちょっとしたショックを受けました。バックのミュージシャンに白人がいたんですね。いまならどうってことはありませんが、あの時代は公民権運動が盛んで、人種差別は撤廃されたものの、まだあからさまに差別のあった時代です。
 ぼくは日本人なんで、差別についてはぴんときません。でもバック・バンドの写真を見て、そこに白人がいることに複雑な思いをしました。逆差別はされないんだろうか? みたいなことです。しかも、そのうちにスティーヴ・クロッパーというギタリストがリズム&ブルース世界では重要な存在で、彼は白人なんですが、オーティス・レディングの曲を書いたりしていたこともわかりました。
 ぼくはやがてこのスティーヴ・クロッパーのプレイに魅せられて、同じギターとアンプを買うまで惚れ込みます。でも、最初のころは白人がリズム&ブルースで主要な役割をしていたことに複雑な思いを覚えました。エンジニアもプロデューサーも白人だったことをあとで知って、ちょっと裏切られた思いがしたんですね。
 黒人の魂を歌うのがリズム&ブルースではありませんか。その曲を白人が書いて伴奏もしていたなんて。ぼくの心の中は「???」という感じでした。でも、音楽に差別はありません。白人が書いた曲を黒人が歌うのは、考えてみればよくあることです。そのシンガーがいかに自分のソウルを表現するかが重要なことにすぐ気がつきました。ジャズだって同じです。ビジネスとして成立させるには、白人の力が必要不可欠ですから。

2006-11-15 Sam Moore@ブルーノート東京_e0021965_2358863.jpg さて、昨日のサム・ムーアです。心から感動しました。サム&デイヴ時代より歌がうまくなっていることもびっくりです。あのころはストレートにソウルフルな表現をしていたのが、深みを増して情感豊かな歌をうたうシンガーに変身していました。
 サム&デイヴを解散して以降、これだけ歌がうまかったにもかかわらず、今回出た『オーヴァーナイト・センセーショナル』がソロ・デビュー作のはずです。40年近くアルバムを出していなかったことが不思議でなりません。1970年代にも1枚ソロ・アルバムを吹き込んでいますが、数年前にリリースされるまでお蔵入りしていました。これも素晴らしい内容です。
 「ブルーノート」では、有難いことにサムのほぼ正面、前から2列目のテーブルに座らせてもらいました。至近距離で聴いたのは、ニューヨークにいたときの「ローンスター・カフェ」以来です。というか、彼のソロ・パフォーマンスをライヴで聴いたのは、あとにも先にもそのときだけです。この話を書くと長くなりますので、これは割愛です。

2006-11-15 Sam Moore@ブルーノート東京_e0021965_23582384.jpg 昨日はエディ・フロイドの「ノック・オン・ウッド」から始まって、「アイ・サンキュー」「雨のジョージア」「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」「ブレイム・イット・オン・ザ・レイン」「ナン・オブ・アス・アー・フリー」「ぼくのベイビーに何か」などを次々に披露し、「ソウル・マン」でおおいに盛り上がり、アンコールに「ユー・ア・ザ・ビューティフル」を歌う構成でした。
 他人のヒット曲や新作からの曲もいろいろあって、サム&デイヴ時代の曲はそれほど多くは歌いません。でも、どんな曲を歌ってもサムの歌になってしまいます。それらを聴きながら、サム&デイヴの姿を思い浮かべていたひとはぼくだけでないでしょう。
 デイヴことデイヴ・クロフォードは1988年に交通事故死を遂げています。サム&デイヴの解散は1971年で、その後もたまにはコンビを復活させていたようです。でも、これで永遠にサム&デイヴは消滅しました。
 いまもデイヴが生きていたら、どんな風になっていたかと思います。でも歌は圧倒的にサムのほうがうまくて、その美声がまったく衰えていないことに改めて感激しました。前のほうにいたので、サムを取り囲むような感じで歌が聴けたのもよかったです。彼が目の前でひとりひとりの顔を見ながら歌ってくれました。まるで辻説法のような感じです。
 サム&デイヴ時代に観たときはそれほどひょうきんな印象がなかったんですが、昨日はいい感じに年を取って、優しそうなひとがらがにじみ出ていました。コミカルなところもあって、イメージとしてはルーファス・トーマスとだぶります。ルーファス・トーマスといっても、知らないひとが多いでしょうけど。

 先日のジョアン・ジルベルトでも痛感したことですが、サムも古い曲では昔のアレンジをそのまま使っていました。アトランティック系のリズム&ブルースではホーンの響きが大好きです。それもオリジナルどおりに再現されていて、気分は高校~大学時代に戻っていました。
 ここ数年、生きててよかったと思うことがしばしばあるんですが、昨日も本当に生きててよかったと思いました。音楽が与えてくれる幸福感。それはそのひとにしか味わえないものですが、昨日の「ブルーノート」にいたお客さんは皆さんが多かれ少なかれそんな気持ちで家に帰られたんじゃないでしょうか。
by jazz_ogawa | 2006-11-15 23:56 | ライヴは天国 | Trackback | Comments(11)
Commented by kiku at 2006-11-16 01:08 x
小川さん、こんばんは。僕もサム&デイヴは好きです。と言ってもベスト盤1枚しか持っていないのでたいそうなことは言えませんが「僕のベイビーに何か」はいつ聴いてもジンとくるし、「アイ・サンキュー」とかもかっこよくて、特に20代の頃よく聴いていました。「バックバンドのメンバーや作曲者に白人がいて複雑な思いをした」とありますが、きっとクロッパーたちは音楽的にも感覚的にも黒人以上にソウルフルな白人だったがゆえに、メンフィスソウルの重要人物として功績を成したのでしょうね。って、いまさら僕がこんなことを書くまでもありませんが(笑)。さて、また冬がやってきます。なぜか毎年冬が近づくとソウルが聴きたくなって、オーティスや、クリスマスシーズンにはいつも「ソウル・クリスマス」をよく聴いています。また久しぶりにサム&デイヴを聴いてみようと思います。
Commented by jazz_ogawa at 2006-11-16 07:53
kikuさん、ぼくも毎年『ソウル・クリスマス』楽しんでいます。アトランティック系のシンガーはみんな歌がうまいですし、ソウル度も満点でいいですよね。
Commented by forcek at 2006-11-16 13:54 x
小川さん、サムのライブ行ってると思いましたよ(笑)松坂はボストンに決まりましたねーこれはこれで各対決が楽しみですね。
Commented by clumsya at 2006-11-16 17:40 x
そうですかー。よかったとは、しまった!というかんじです。
Blue NoteではIsley Brothersほか昔の人々を聴きに行って
ひどく手を抜いたり、声も技量も落ちていたりと、
ものすごく幻滅した経験も多く、Sam Mooreでどうしてもいやな思い出を作りたくなくて取らなかったのです。
小川さんが書いておられるようなギグなら観たかったなあ。残念。
Commented by jazz_ogawa at 2006-11-16 23:52
forcekさん、来年のGWはヤンキース対レッドソックスの対戦がニューヨークであるそうです。ローテーションの関係もありますが、出ても出なくても観に行くつもりです。
Commented by jazz_ogawa at 2006-11-16 23:54
clumsyaさん、行かなかったひとに「よかった」というのは気が引けるんですが、涙が出ました。思い入れも加算されているんですが、いまだ余韻に浸っています。
Commented by yuricoz at 2006-11-17 14:34
>サム&デイヴ
と書いていただいてわかりました!!80年代90年代に、昔の曲をかけてくれる場所にてステップを踏んでいましたー♪なつかしいし、今でもとっても良い♪と思える曲の数数。。。しかし、ご本人を見たのは、こちらでが初めてでした!!更に歌がうまくなっているってすごいですね♪
Commented by .Double Fantasy at 2006-11-18 01:07 x
こちらで、次から次へとジャズマンが(本当に色々なジャンルの人!)が登場する度に、小川さんの思い出に感動しつつ、どうしても聴いてみた~い!と、せっせせっせとCDを買い集めて、もう、訳も分からず年から年中ステレオで、i pot できいています。溢れるほど。ちょっと遅いですね(笑)。毎日楽しくて仕方ありません。この頃、ふと流れている曲に、あっ、知ってる!と反応してしまったりして、ちょっと嬉しくなります。ブルーノートで涙が・・なんて映画みたいです♪
Commented by jazz_ogawa at 2006-11-18 11:02
.Double Fantasyさん、この間はありがとうございました。音楽のある生活を楽しむ上で少しでもお役に立てていれば、ぼくも嬉しいです。今後もよろしく。
Commented by kiku at 2006-11-22 02:50 x
小川さん、こんばんは。サム・ムーアの17日のライブでは、観に来ていた忌野清志郎さんが飛び入りで歌ったというニュースを聞きました。ずっと心配していたのですが、このニュースにはとても感激しました。
Commented by jazz_ogawa at 2006-11-22 07:51
kikuさん、それは嬉しいニュースですね。もう歌えるなんて、思ったより早い回復で何よりです。
<< 2006-11-18 渋さ知ら... 2006-11-12 「ONG... >>
当サイトに掲載されている記事および写真の無断複写 、 転載等の利用・使用はお断りします。
Copyright ©1997-2008 Excite Japan Co.,Ltd. All Rights Reserved.

免責事項
- ヘルプ - エキサイトをスタートページに | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム