昨日は「小僧こだわりジャズ・ライヴ」をやってきました。これはぼくがプロデュースとナヴィゲーションを務めるコンサートの3回目。ゲストには大好きな南佳孝さんをお迎えしました。
そもそも南さんを知ったのは、それ以前にぼくははっぴいえんどという日本のロック・バンドが好きだったんですね。ぼくもロック・バンドをやっていましたし、凄く興味のあるバンドでした。そのはっぴいえんどが解散して、ドラマーだった松本隆さん、彼がはっぴいえんどの歌詞の大半を書いていたんですが、その松本さんが最初にプロデュースしたアルバム、それが南さんのデビュー作『摩天楼のヒロイン』でした。
このアルバム、『摩天楼のヒロイン』というタイトルからして、ミュージカルとかジャズとかをイメージさせるもので、内容もそういうものでした。1973年の作品なんですが、当時こんなに洒落たアルバムは日本に一枚もなかったと思います。そのセンスのよさにびっくりしましたし、ジャズっぽいロックとかポップスって日本にはほとんどなかったので、すごく感心しました。以来、南さんにはずっと注目してきました。
そういうわけで、「いつもよりジャジーな雰囲気で」とお願いしたところ、バックのメンバーもピアノの佐山雅弘さん、ベースのバカボン鈴木さん、そしてドラムスの鶴谷智生さんという素晴らしいピアノ・トリオになりました。
このトリオだけでもしばらく聴いていたいほど贅沢なものでしたが、彼らのサポートを得て、南さんも大張り切りの様子です。7時開演、9時終演の予定でしたが、大幅に超過して9時半近くまで南さんの素敵な歌と音楽を楽しみました。
といっても、ぼくは第一部と第二部の頭のところで、いつものように話をしなければいけません。これがなければもっと楽しめたのですが、そこはプロデューサーの仕事なので仕方ありません。
一部では、南さんの紹介を絡めながらの四方山話という感じだったんですが、やっぱり話がへただなぁとステージに立ちながら何度も思っていました。もともと舌の滑りが悪いのと、あがるというよりあせっているのでしょうか、早口になりがちで、どうも言葉を噛んでしまうんですね。まあ、端から見れば、面白い見世物だったかもしれませんね。その後は南さんがきっちりとステージを務めてくれました。
<君の笑顔>から始まった第一部では、そのほかに<遥かなディスタンス><スコッチ&レイン><夜間飛行><プールサイド><夜の翼><君をのせて><ザ・ギフト><ネイチャー・ボーイ>なんかが歌われました。ちなみに<ザ・ギフト>とはハンク・モブレーの演奏で知られる<リカード・ボサノヴァ>のことです。
そして第二部では、小僧comの取締役、平松庚三さんが会場にちょうど着いたところだったので、予定にはなかったんですが、ステージに登場してもらい、簡単な挨拶がてら小僧comの紹介をしていただきました。
その後は南さんとのトークで、音楽的なバックグラウンドを聞いたり、彼が1982年にニューヨークでレコーディングした『セヴンス・アヴェニュー・サウス』の話をうかがったりといった、これまたぼくの責任なんですが、何の脈絡もない話でライヴへと続けました。
1曲目は、ぼくがリクエストをしていた<冒険王>からです。この曲、アルバムではストリングス入りのフル・オーケストラがバックについていました。それをピアノ・トリオでやってもらうのためちょっと大変だったとは思いますが、バカボンさんのアルコ・ベースから始まるイントロもよかったですし、「エルドラドを求めて明日、密林に入っていく。もう帰れないかもしれない」と彼女に手紙を託す形で書かれた松本隆さんの歌詞を南さんが素晴らしいヴォーカルで聴かせてくれました。
そのあとは<コルコバド><昼下がりのテーブル><サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー><ミッドナイト・ラヴ・コール><月夜の晩に>などが次々と歌われ、最後は<モンロー・ウォーク>で締めてくれました。もちろん、これでは終われません。ということでアンコールは<スローなブギにしてくれ>と相成りました。
終了後も、ロビーで南さんのサイン会もあり、おかげさまで今回のコンサートも盛況のうち、無事に幕を閉じることができました。このブログをご覧になって、会場までいらっしゃってくださったかたもあり、この場を借りてお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
この写真は、平松さんご夫妻とライヴ終了後に楽屋で写したものです。南さんは、平松さんの奥様が活動されている「難民の子どもたち光を」キャンペーン(12月4~10日、丸ノ内オアゾoazo1階)のチャリティ・ライヴにも、今回の縁から出演していただけることになりました。これについては、いずれこのブログでも紹介したいと思います。
なお、ぼくは11月11日と25日にトーク・イヴェントを予定していますので、そちらにも興味がある方はぜひいらっしゃてください。これは数日中に詳細をお知らせします。