
楽しみにしていたポーク・クルセダーズのライヴを10日の日曜日に観てきました。これ、打ち間違いじゃありません。フォーク・クルセダーズじゃなくてポーク・クルセダーズとして、彼らが埼玉県の稲荷山公園で行なわれた「ハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァル」のトリで出演したのです。
フォーク・クルセダーズが30何年ぶりの新作『戦争と平和』を発表し、NHKホールで一夜限りの復活を遂げたのは2002年のことでした。ニューヨークに行っていたため、そのライヴには行けずがっかりしたものです。でもライヴ盤の『新結成記念・解散音楽會』や、その後にコンサートの模様をNHKが放送してくれたので、それで我慢することができました。

フォーク・クルセダーズは初代のグループが解散記念に作った『ハレンチ』という自費出版LPの中から<帰ってきたヨッパライ>がヒットしたため、オリジナル・メンバーの加藤和彦さんと北山修さん、それに他のグループで活動していたはしだのりひこさんの3人で、1年と期間を限定して結成し直されたグループでした。
事情は知りませんが、2002年のときにははしださんが参加せず残念至極でした。このときの再結成は、アルフィーの坂崎幸之助さんが自分のラジオ番組で呼びかけたのがきっかけです。というわけで、いいだしっぺの坂崎さんが加わってのフォークルになりました。ぼくははしださんのヴィブラートを効かせた切ない歌いかたも大好きですが、2002年のユニットにも甲乙つけがたいものがありました。

今回のポーク・クルセダーズにも坂崎さんが加わっています。なぜポークかといえば、去年のハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァルのロゴ・マークが豚で、それを見た加藤さんが、それならポーク・クルセダーズにしようといいだしたからだそうです。そのあたり、いかにも遊び心満点の加藤さんらしくていいですね。
そもそもフォークルのステージもレコードも遊び心がいっぱいのものでした。ライヴはまるで学芸会で、寸劇があったり、コントがあったりと、歌っている時間より違うことをやっているほうが長かったように記憶しています。それでいて、歌ってみると素晴らしい曲がたくさんありました。もちろん、コミック・ソングも得意でしたが。
そのスピリットがおとといのステージでも遺憾なく発揮されていました。オープニングは、加藤さんと坂崎さんのふたりでCS&Nの<青い眼のジュディ>です。これには意表をつかれました。その後も何曲か歌ってから、足柄金太さんの登場です。
この名前、古いファンならご存知でしょう。フォークルの別プロジェクトだった「ザ・ズートルビー」で北山さんが名乗っていた名前です。現在の北山さんは、九州にある国立大学の教授です。そのため、本名でプロの音楽活動はできません。今回は稲荷山公園を存続させるチャリティ・コンサートということでノー・ギャラです。変名とノー・ギャラで出演が可能になりました。
北山さんといえば、フォークル時代は京都の大学で医学生でした。それで1年間休学して、フォークルの再結成に参加したんですね。医学生が1年休学して音楽活動をする。北山さんは、当時のぼくのロール・モデルのひとりです。ぼくも医学部に入って音楽活動にのめり込み、1年留年しました。1年やったら学業に戻ろうと思ったのは、北山さんという先例があったからです。

それにしてもポーク・クルセダーズのライヴは心の底から楽しめました。もう再結成されるとは思ってもいなかったので、このコンサートのことを知ってからは、当日までかなり楽しみにしていました。
そういえば、来月はいよいよサディスティック・ミカ・バンドの新録音も登場します。こちらはライヴをやらないんでしょうか? いまのところスケジュールは発表はされていないようですが、ぜひとも期待したいところです。
ステージでは、60歳を祝って友人からプレゼントされた赤いジャケットを着て、すっかり白くなったやや長髪の北山さんが、相変わらず加藤さんとの名コンビでおしゃべりを弾ませています。それに負けていないのが坂崎さんで、3人がいい雰囲気でステージを進行させていました。こういう年の取りかたは素晴らしいですね。
<悲しくてやりきれない>、<イムジン河>、ボサノヴァのアレンジでかっこよく生まれ変わった<帰ってきたよっぱらい>、アンコールの<あの素晴らしい愛をもう一度>などなど。これらはみんな40年近く前の歌です。フォークルも3人だってそのころは20代前半でした。そんな歌の数々を、還暦を迎えたひとが歌ってもぴたりとフィットしていることに驚きます。いい歌は時代と世代を超えて心に迫ることを実感しました。

今年2回目を迎えたハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァル。そうそう、麻田浩さん、洪栄龍さん、徳武弘文さん、和田博巳さん、林敏明さん、岩淵まことさんによる狭山バンドもかっこよかったです。ザ・バンド、ボブ・ディラン、リック・ネルソン、ジェーム・テイラーといったひとたちの曲をカヴァーしたんですが、これが最高。こういうバンドがやりたくなってしまいました。エンケン・バンドもすごかったですね。書きたいことはいろいろありますが、今回はポーク・クルセダーズのことだけにしておきます。