このところ、気持ちよく聴いているのがこのCDです。テリー&フランシスコ。ヴォーカル、作詞、作曲のテリー福山と、ベース、作編曲のフランシスコ松浦のふたり組です。
大滝詠一、はっぴいえんど、バート・バカラックなどの影響を受けたという触れ込みで、それに引かれてディスク・ユニオンとタワー・レコードだけで限定発売された2曲入りのCDを買ったのがきっかけでした。これ、お試し価格ということでたったの200円。ガリ版に毛が生えたくらいのクオリティで印刷されたジャケットというか紙がついているだけのシンプルなものです。ディスク・ユニオンとタワーでは、ジャケットが色違いになっていて、遊び心も感じました。
こういう出会いは、たいていの場合、いい結果につながります。このテリー&フランシスコもその例に漏れません。さわやかなシティー・ポップス、しかもどこか懐かしい響きを有している。結論からいえば、大滝詠一もはっぴいえんどもバート・バカラックも関係なく、1970年代によく聴いていたウエスト・コースト・サウンドが最近の感覚と共に甦ったという印象でしょうか。
ぼくのテーマは1960年代ですが、テリー&フランシスコに通ずる1970年代の世界も大好きです。あの時代は、ニューヨークで代表される東海岸より、サンフランシスコやロサンジェルスが、ある部分ポップ・カルチャーの中心地でした。
多分、そのころに生まれたふたりでしょうが、なぜか時代の空気が感じられます。ただし、リアルタイムで体験していないため、ノスタルジックな感じではないんですね。そこが、いいところです。
歌詞やサウンドには、どこかあの時代を思い出させる郷愁が認められます。でも、それは彼らが思い描くヴァーチャルな世界であって、実体験に基づくものではないんでしょう。郷愁ではなく憧憬。それをとても素直に表現したところが心地のよいサウンドに結びついたと思います。
年長の松浦は1970年代の米国のジャズやロック、福山はジャズ風のポップスが好き。微妙に異なる志向を新作ではうまくまとめた。「1970年代のウエストコーストの音楽を意識した。普遍的なメロディーを備えた、いい曲を作っていきたい」(松浦)
こんなコメントがウェブに載っていました。
7月にリリースされたデビュー作『テリー&フランシスコ』は7曲入りのミニ・アルバム仕様です。
【収録曲】
1. ためいきの銀河
2. サマークラシック
3. 青いペガサス
4. 乱気流
5. 熱をもつ夢
6. 嵐のあとで
7. まだ見ぬ町へ
◆CDエクストラ仕様(「ためいきの銀河」PV収録)
なお、「ためいきの銀河」は、映画『青春漫画』のイメージ・ソングにもなっています。エイヴェックスからのメジャー・デビューですから、これからさらなる展開も期待できそうです。
これがディスク・ユニオンのお試し版です。
これは、ディスク・ユニオンでデビュー・アルバムを買ったらおまけについてきた「まだ見ぬ町へ」のアコースティック・ヴァージョンが入ったシングルCD。こういうのがコレクターズ・アイテムになるんですが、それもこれもテリー&フランシスコが今後どうなるかにかかっています。