忙中閑ありといいたいところですが、実際はまだ原稿に追いまくられています。それでも、今日とういうか、もう昨日になってしまいましたが、面白いことがふたつありました。
ひとつはタレントの井川遥さんのラジオ番組『ANA SKY COMMUNICATION』(bayfm 78.0MHz)に8月のマンスリー・ゲストとして出演させてもらったことです。放送は8月の毎週土曜日(午前10時~11時)で、ぼくの出番は『ワールド・コミュニケーション』というコーナーで10時半過ぎから10分くらいです。これについては放送日が近づいたらきちんと紹介します。
そしてもうひとつが、この間から気になっていた映画『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』の試写会に行ったことです。ラジオの収録が渋谷で8時からあって、試写会が同じく渋谷の「シネクイント」で9時半というのはグッド・タイミングです。
収録が終わって映画館にかけつけると、ちょうど映画が始まったところでした。無駄な時間がないのは、せっかちで貧乏性のぼくにとっては、それだけで気分がよくなるものです。
映画のストーリーをサイトから引用しておきます。
1969年7月3日、イギリスのBBC放送はこう報じた。「ローリング・ストーンズのギタリスト、ブライアン・ジョーンズが自宅のプールにて死体で発見された、享年27歳」
1963年のデビュー以来、世界最高の怪物ロックンロール・バンドとして君臨するローリング・ストーズの創始者であり、リーダーであったブライアン・ジョーンズ。その彼の死の謎を解くべく、10年以上に渡るリサーチを元に製作された今作。一体、ブライアンに何が起こったのか?
カリスマ性を極めた絶頂期に「俺たちはビートルズになる気はない」と宣言し、ストイックに音楽を追求し始めたブライアンは、次第にバンドから孤立し、予想だにしない結末を迎える。
他殺か? 自殺か? 事故死か? いまも語り継がれるブライアン・ジョーンズの「謎の死」。封印され続けた、ローリング・ストーンズ史上、最大のスキャンダルの真実が明らかになる!
ストーンズの中で、実質的に音楽の方向性を担っていたのがブライアンだと思います。曲を書いているのはミックとキースにしても、サウンド面やアルバムのプロダクションに関しては、ブライアンの意向が大きく反映されていました。
そのあたりのことは以前「ONGAKUゼミナール」でも話しました。ブライアンとメンバーの目指すものが変わっていったことは、『サタニック・マジェスティーズ』や『ベガーズ・バンケット』あたりを聴けばなんとなくわかると思います。
そのブライアンについて、この映画がどこまで真実に迫っているか。そこに興味がありました。映画はブライアンの音楽性にスポットを当てるというより、彼の死の謎を解き明かすことが主体になっています。それでも1960年代のカルチャーがふんだんに盛り込まれた映像は、その時代に気持ちを半分くらい置いてきてしまったぼくには興味深いものでした。
それにしてもブライアンがストーンズにいた1960年代のデカダンは何て魅力的なんでしょう。まだ子供だったので、そういう世界は知りませんでしたが、もう7~8歳年が上だったら、もろに影響を受けていたでしょうね。
ぼくが生きてきた56年間(正確にはまだ55年ですが)で、あれほど退廃的で、文化がいろいろな面と意味とで発展し変化を遂げた時代はなかったように思います。しかも、それは世界的な規模で起こっていたんですから、もう少し年が上だったら、その渦中に何とか身を置けたかもしれません。
その時代のロンドンにもニューヨークにも行ってみたかった。とないものねだりをしても始まりませんので、あくまで憧れの異次元空間ということで想像力を張り巡らすことにします。
で、映画はどうだったかといえば、上に書いたような興味はある程度満足させてくれました。ただし作品としてはちょっと? というところじゃないでしょうか? まあ、好みはひとそれぞれ。そしてこの映画がどんなに酷評されようと大絶賛されようと、そういう周囲の意見には関係なく、ぼくは観に行ったでしょうけれど。
だって、ブライアンがテーマの映画なんて、二度と作られることはないと思います。それに、何より彼やストーンズが大好きなんですから。