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川隆夫の JAZZ BLOG
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©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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2005-08-03 愛しのJazz Man~チェット・ベイカー
 先日、チェット・ベイカーの話を、というリクエストをいただいたので、今日は彼のことを少し。

 独特の音色が強い哀愁を感じさせるチェット・ベイカーは、大好きなトランペッターのひとりです。ヴォーカルも肩から力が抜けていて、抜け過ぎのときもありますが、この抜け具合に何かほっとさせられます。チェットのトランペットとヴォーカルを聴いていると、きりきりしているときも心が和みます。沈静効果があるのでしょうか?

 そんなチェットですが、このひとには困った性癖がありました。かなりの麻薬中毒だったんです。ミュージシャンという職業柄、逃げも隠れもすることができません。彼が出演していたクラブの楽屋には、いつもヤクの売人が来ていて、貰ったギャラをそのまま取り上げていく光景がよく見られたといいます。
 当然、何度か逮捕もされました。ところが、そのたびにチェットは無罪放免になるんですね。どうして有罪判決を受けなかったのか? 理由は担当の判事がチェットの大ファンで、学生時代にトランペットを吹いていたからだそうです。
 アルト・サックスのアート・ペッパーは、同じ罪で同じ判事が担当したのに、トランペッターでなかったため、3年の有罪判決を受けました。しかしこうした情状酌量が、チェットの悪癖を助長したともいえるでしょう。これでチェットは“懲りないひと”になってしまったのですから。

 おまけの話もしておきましょう。麻薬中毒患者として名を馳せていただけに、チェットはなかなか来日することができませんでした。その彼が1986年にとうとう待望の初来日を果しました。そのときのインタビューで、彼はあっと驚く話をしてくれたのです。
 「わたしは麻薬をひとに勧めたこともなければ売ったこともない。自分の稼いだお金で自分の体に打っているだけだ。しかも56歳になってもこんなに元気で演奏もできている。こうやって日本にも来ているじゃないか(骨と皮のようになっている彼はとても健康体には見えませんでしたが)。だからそのどこが悪いというのだ」2005-08-03 愛しのJazz Man~チェット・ベイカー_e0021965_041199.jpg
 こう言って、チェットは胸を張ったのです。
 しかし彼はこの来日から2年後、イタリアで宿泊していたホテルの自室窓から転落してこの世を去ったのでした。これも麻薬のせいで、窓から飛び出してしまったのではないだろうか? とぼくは思っているのですが(LSDの幻覚作用に飛べる気分になれる、というのがあるようです)。

 最後まで波乱万丈の人生を送ったチェット・ベイカー。きっと、心の中にはいろんな悩みや、寂しいことや、悲しいこともあったのでしょう。彼はそれらすべてをひっくるめて、音楽で自分のことを語っていたように思われてなりません。だから、ひとの心を打つプレイや歌を聴かせてくれることができたんじゃないでしょうか。
 ぼくはチェットのレコードやCDを聴くたびに、穏やかな気分になります。それと同時に、ときどきはその人生に思いを馳せてみたりもします。
 たった一度しか話すことができなかったチェットですが、とても印象的なひとでした。その人柄から醸し出される不思議な魅力が、音楽にも息づいていたように思われてなりません。
by jazz_ogawa | 2005-08-03 00:19 | 愛しのJazz Man | Trackback | Comments(12)
Commented by プログレ at 2005-08-03 00:47 x
チェット・ベイカーってすごい! 小川さん若い! というかかわいい? 小川さんが垣間見た、もっといろいろなミュージシャンの素顔を教えてください。
Commented by yoshi at 2005-08-03 02:42 x
小川さんのチェットの話を聞いて、チェット聞いてみたくなりました。「わたしは麻薬を~~~」のところ、なぜか妙に説得力ありますよね・・・。チェットの人柄がかいまみれてとても楽しく読ませてもらいました。ぜひその他のミュージシャンの素顔も教えてください!
Commented by ジャイロ at 2005-08-03 12:45 x
小川さんのラジオ(Inter FM)聞きました! ジャズだけでなく、ビートルズも詳しいんですよね。ラジオ用のレコード収集の話、さすがコレクターですね。コレクター道の話も、NY滞在中の話ももっと聞きたいので、どうぞ宜しく。
Commented by やす at 2005-08-04 00:08 x
小川さんの若い頃の写真ステキですね。ベイカーさんも神経質そうな顔をされていますが、いかにも、独特の個性的な演奏をしてくれそうな雰囲気です。CD探してみます。
Commented by ogawa at 2005-08-04 00:35 x
CD買うなら『Chet Baker Sings』がおすすめです。大人の味わいで彼のトランペット・プレイとヴォーカルが聴けます。
Commented by myuto at 2005-08-05 02:55 x
Chet Baker Sings買いました!小川さんのオススメどおり大人の味わいですね!トランペットの方が好きかもです!!!
Commented by decoppati at 2005-08-07 11:39 x
昔から尊敬していましたのでここで発見して楽しくブログ拝見しています。
83-4年だったか、NYの場末のカントリー聞かせる店でJacoが錯乱して
ヘロヘロになってたのを思い出しました。
彼もjunkieでしたし、非業の死を遂げましたよね。
楽屋に引きずり込まれそうになったのもいい思い出です。
Commented by ogawa at 2005-08-09 22:38 x
decoppati様、ぼくもJacoのヘロヘロ場面に何度か遭遇しています。彼もチェットと同じで破滅型の人生を送ったひとですね。今度、機会があればJacoの思い出話も書きたいと思います。またコメントお願いしますね。
Commented by プログレ at 2005-08-14 22:54 x
お奨めのCD「Chet Baker Sings」を聴いています。すごく甘い声で、ちょっとハスキーな女性の声?と思うくらいですね。 小川さんと一緒に写真に収まっている人物とは、全く結びつきません。 イヤホンで聴いていますが、脳細胞を揉み解されるようで、すごく良いです。
Commented by ogawa at 2005-08-15 00:22 x
プログレさん、たしかにあの写真からは想像できないかもしれませんね。『Chet Baker Sings』を吹き込んだのは、あの写真より30年以上も前で、そのころは“ジャズ界のジェームス・ディーン”と呼ばれたくらいの美青年でした。写真からはわかりにくいかもしれませんが、実際に会ったチェットは骸骨に皮がくっついているだけのような顔つきになっていました。麻薬のせいだとしたら、残酷な現実ですよね。
Commented by kiku at 2005-08-16 10:12 x
小川さんはじめまして。僕がジャズを知らなかった10年ほど前にカーラジオから流れてきたChetの歌声と独特の雰囲気にやられ、さっそく「Sings~」「Sings &~」の2枚を手に入れたところはまってしまいました。その後何枚かChetのCDを購入しましたが、特にその2枚は選曲もすばらしく今でもいついかなるときでもPlayさせれば聴き入ってしまうお気に入りです。まさに僕にとってはいちごショートのようないつ食べても「おいしい」アルバムです。これからも楽しいお話聞かせてください。では。
Commented by jazz_ogawa at 2005-08-16 11:36
kikuさん、ぼくもチェットの作品でもっとも好きなのがその2枚です。あとは、リバーサイドから出た「イン・ニューヨーク」も好きですね。
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