昨日はライヴをはしごしてきました。ひとつめは横浜の「Motion Blue」で、キーボード奏者、クリヤマコトさんのTokyo Superjazz Orchestra。
昨年の「東京JAZZ」でも大評判を呼んだファンク系ジャズのグループですが、昨日はフル・メンバーでなく、黒人コーラス3人組をフィーチャーして、ホイットニー・ヒューストンの「すべてをあなたに」とかドゥービー・ブラザーズの「ロング・トレイン・カミング」とかを迫力満点、ソウルフルに聴かせてくれました。そのほかにもクリヤさんのアルバム『ラテン・タッチ』から何曲か披露してくれて、相変わらずの達者なプレイに満足でした。
クリヤさんとはちょっとした縁があります。数年前に、現代音楽やクラシックの世界で活躍しているサックス奏者の平野公崇さんのアルバムをプロデュースすることになったときです。その際、平野さんにジャズのひとと共演したいという希望があったので、クリヤさんにお願いしてアルバムを作りました。題して『ジュラシック』。これまでにない形で、ジャズとクラシックや現代音楽との融合が果せた作品と自負していたんですが、発売半年くらいで、残念なことにレコード会社が解散(倒産じゃありません)してしまいました。

ステージが終わったあとに、楽屋で久々にクリヤさんとお話をしました。最後に写真を撮ろうと思い、デジカメを出したところ、充電切れで動きません。慌てて携帯で撮ってもらったがこの写真です。ちょっと惨めな画像ですが、実物のクリヤさんはもっとかっこいいですから。
まあそれはそれとして、「Motion Blue」は非常にソフィスティケートされたジャズ・クラブです。こんな感じの店はジャズの本場、ニューヨークにもなかなかありません。例えば本家の「ブルーノート」なんか、「Motion Blue」や「ブルーノート東京」にくらべたら全然野暮ったい。席は窮屈だし、店内のデザインも古いし、感じも悪い。
でも、ジャズ・クラブなんかはそもそもそんなものだったのかもしれません。あの「ヴィレッジ・ヴァンガード」だって、相当おんぼろだし。それがニューヨークのジャズ・クラブっていう味を出しているのかもしれないですね。
ニューヨークにはニューヨークの、東京には東京の、それから横浜には横浜の、それぞれの街に似合ったジャズ・クラブがあるということなんでしょう。野暮ったいのもジャズなら、かっこいいのもジャズってことで、勝手に納得。
てなことを考えつつ、買ったばかりの新車で渋谷に戻るも、首都高速が込んでいて1時間半もかかる始末。これじゃぁ、ドイツ製のスポーツ・カー(やったぁ)が泣くぜと、ぼくが泣きながら渋谷の「Ko-Ko」に行く。{KoーKo」はここ、なんて洒落てる場合じゃないけど、「Ko-Ko」は百軒店をちょっと入った横手の路地にある小さなお店。
ここ(ややこしい)は「Motion Blue」とはまったく正反対で、10人も入ったら一杯になってしまう、昔ながらの町の喫茶店の風情。お目当てはリーダーの木内吉信さん、テナー・サックス奏者です。
この狭いお店に彼のクインテットとゲストのフリューゲルホーン奏者が加わっての6人編成。着いたら、最後からひとつ前の「ブルー・ボッサ」を演奏しているところで、本当はもう1曲やって終わりの予定だったみたいです。が、サーヴィスでもう1曲「オール・ザ・シングス・ユー・アー」をやってくれました。優しいね。
木内さんはしばらくニューヨークでミュージシャンやってたひとで、彼がニューヨークに旅立つ直前に、高田馬場のジャズ喫茶で紹介されました。15年くらい前だったかな? その後、10年くらいは向うで頑張っていました。その間、ニューヨークのぼくのアパートで開く新年会には常連で、いつもきむち餃子とかを持ってきてくれた思い出があります。
そんな木内さんのプレイ、前に聴いたときよりよくなってました。落ち着きが出て、それは年齢から来るものかもしれないけど、なかなか聴かせてくれます。都内を中心にあちこちに出ているみたいなので、チャンスがあれば、聴いてください。

ということで、ここでも携帯でパチリ。荒い粒子のため、ふたりとも仙人みたいになってしまいました。木内さん、ごめん!