1926年5月26日にマイルス・デイヴィスは生まれました。生きていれば昨日は80歳の誕生日でした。1991年にこの世を去りましたから、今年は没後15周年の節目でもあります。
昨日は青山の「Val」でHi-FiのDJイヴェントがありました。誕生日ということから、ぼくはマイルス絡みの曲で自分の持ち時間を過ごすことにしました。まだあまりお客さんが集まらない時間帯の「ラウンジ・タイム」が出番ですから、「踊れる・踊れない」は関係ありません。どのみち、いつも自分がそのときに聴きたい曲を選んで回していますので、その辺はどうでもいいことなんですが。
それで以下のような曲を回しました。
【曲目】
M-1:Time After Time/Miles Davis
M-2:Don't Stop Me Now/TOTO
M-3:Sticky Wicked/Chaka Khan
M-4:In The Night/Cameo
M-5:A Dios/Santana
M-6:Big 'Ol Head/Kenny Garrett
M-7:Oh Patti/Scritti Politti
M-8:The Doo Bop Song/Miles Davis
すべてのトラックにマイルスが入っています。実はマイルス絡みの曲を集めたコンピレーションを以前出したことがあります。それからのトラックを大分使いましたが、改めて聴くといい曲ばかりで、自分で回しながら聴き惚れていました。
もしマイルスが生きていたら、何をやっているでしょうね? かっこつけのひとでしたから、新庄みたいに「ぼろぼろになるまでやらない」とかなんとかいって、さっさと引退しているかもしれません。あるいは、いまも最高にクールな演奏を続けているかもしれません。そうなれば、ジャズやその周辺のブラック・ミュージックがいまとは違うものになった可能性もあります。
マイルスの死後、ジャズは大きな発展を遂げたとは思えません。これまでだったら、15年という月日があれば、ジャズはかなりの様変わりをしてきました。停滞とはちょっと違うのですが、ここしばらくはすごーくゆったりとしたペースでジャズや周辺の音楽が動いているような気がしてなりません。
やはりマイルスの存在は大きいんですね。いまだにヒップ・ホップだとかラップが主流でしょう。そんなことはとっくの昔にマイルスがやっていますし、ジャム・バンド的なバンド・サウンドもマイルスは、話題になる前からやっていました。
そういえば、マイルスがこの世を去る直前に行なったインタビューでは、「ブロドウェイのステージに立ちたい」というコメントがありました。これはマイルスが役者として出るということではなく、ミュージカルでもレヴューでも何でもいいのですが、ミュージシャンとして出演したいということです。『マイアミ・ヴァイス』や『ディンゴ』で本格的な演技をしていたマイルスですから、コンサート以外のことでもひと前で何かをやってみたかったんでしょう。
それから、これはこの世を去る少し前から始めていたことですが、自分が書いた絵のエキジビションをしながら会場で演奏するプロジェクトも発展させたいと答えていましたね。これなんかは、マイルスの音楽をもっと身近に感じさせることになったかもしれません。
最後の最後まで、マイルスは音楽のことを考えていたそうです。入院先の病室には、書きかけの譜面が残されていました。
未完の音楽。未完の人生。
でも、そこで終わってしまったからこそ、いい思い出をたくさん残してくれたのかもしれません。もちろん生きていれば、さらにもっと沢山のいい体験をさせてくれたに違いありませんが。
次にニューヨークに行ったときは、ウッドローンのお墓に久しぶりに行ってこようと思います。