昨年11月に出版した『マンハッタン・ジャズ・カタログ』ですが、執筆中からあちこちの店がクローズになったり、新たな店がオープンしたりと、書くほうが追いつきませんでした。当然、本が出てからも、あそこの店がなくなった、こちらに新しい店ができたと、マンハッタンは驚くべき早さで変化を遂げています。
ということで、今日も前回に続いて目についたところをいくつか紹介しておきます。すべて第2章で紹介しているレコード店です。
①Footlight Records@113 East 12th Street(90頁)
残念ながらクローズです。今年の初めに覗いたときにクローズの準備をしていたんですが、今回は完全に閉まっていました。ただしWEB上で通販はやっているようです。興味のあるかたは
www.footlight.com/にアクセスしてください。ところで、あの膨大な数のレコードはどこに置いてあるんでしょう?
それにしても、これで昔からあった老舗のレコード店がまたひとつ姿を消したことになります。知る限りでは、ここがマンハッタンでは現存する一番古いマニア向けのレコード店でした。あとは「Jazz Record Center」に頑張ってもらわなくては。
②Rockit Scientist Records@33 St. Marks Place(108頁)
こちらは嬉しいお知らせ。店の奥がレコード・コーナーになり、ロックが中心ながら、ジャズもざっと見積もって500~600枚くらいはあるでしょうか。ヴァーヴやアトランティックのそれほど珍しくないオリジナルが15~20ドル程度。ブルーノートもそのくらいの値段でリバティ盤が何枚かありました。総じてクラブ・ジャズ・ファン向けの品揃えという印象です。
この店は新品と中古のCDを扱っているんですが、こちらは周辺の安CD店に比べると割高で魅力はありません。レコードは、現在のニューヨーク相場から行けば、まあまあの値段でしょう。
③13 St. Marks CDs@13 St. Marks Place(111頁)→Joe's CD
こちらもクローズしましたが、地下のスペースが「Joe's CD」として新たにオープンとなりました。オーナーのジョーは、この界隈で何度かCD店をオープンしたことがあり、以前は「Sounds」のアネックスでも働いていました。
その後、向かいのビルの2階で「Joe's CD」をオープンし、1年くらいでクローズしたかと思ったら、少し先のビルの1階で「Venus Record」というのを経営していたのか働いていたのか知りませんが、そこにいました。
その「Venus Record」がのちに「13 St. Marks CDs」となり、そのときも地下で不定期に店を開いていたのですが、今回は上を閉鎖して、地下の店を「Joe's CD」として営業しています。
この界隈では向かいの「Sounds」が一番安いのですが、ここもかなり安いです。新品と中古のCDおよびDVDを扱っていて、ブルーノート、インパルス、ヴァーヴあたりだと、未開封の新品で6~10ドルくらいでしょうか。たとえば『ブルー・トレイン』と『至上の愛』が6ドルでした。「Sounds」なら9ドルから10ドルはすると思います。せこい話で恐縮ですが。
④おまけ
『カタログ』とはまったく関係ありません。ソーホーのクロスビー・ストリートにあるスターバックスでのことです。カップに何やらステッカーが貼ってあったので見てみました。すると、何と賢いのでしょう。オーダーの内容、受付時間、担当者の名前、さらにふたつオーダーしたのなら、その旨も記載されています。レジを打つと一緒にプリントアウトされ、バリスターかレジ係ががそれをカップに貼る仕組みのようです。
他店でこんなステッカーは見たことがないので、導入されたばかりかもしれません。日本でも見たことがありませんが、どうなんでしょう?
そのカップをぐるりと回したら、ハービー・ハンコックのコメントが印刷されていました。これもいままで気がつかずにいました。やはり最近始まったのかもしれません。もうひとつのカップには小説家のコメントが印刷されていましたから、コメントもいろいろあるようです。