いよいよ本日はストーンズの東京公演です。おとといのコンサートを観た友人にその模様を聞いたりして、気分は最高に盛り上がっています。今日の仕事は4時に終わりますので、いったん家に戻り、気合を入れなおしてドームに行こうと思っています。

そんな気分に浸りながら、昨日は六本木の「スイート・ベイジル」に行ってきました。デビュー作の『Swingroove』をユニバーサルから発表した太田剣さんのライヴです。太田さんといえば、数年前からぼくたちの間では注目のアルト・サックス奏者でした。大学卒業後にレコード会社に就職したのですが、夢を追求しようと会社を辞めてジャズ・ミュージシャンになったひとです。
ぼくはこういう生き方をするひとが大好きです。しかし、それだから注目をしていたわけではありません。太田さんがとても素直で心地のよいプレイをしていたからです。サイドマンとして彼が加わっているグループを何度も観て、ぼくのプロデューサー魂が騒いだことも一度や二度ではありません。
昨日のステージでは、今泉正明さんのピアノ、鳥越啓介さんのベース、大槻英宣さんのドラムスで、デビュー作からの曲が何曲も演奏されました。太田さんが書くオリジナルはどれもリズムに工夫が凝らされています。だからアルバム・タイトルを『Swingroove』としたのでしょう。ほどよいグルーヴ感に、ぼくもいつの間にか体をスイングさせていました。
「スイート・ベイジル」といえば、オープン当初は毎週のように通ったものです。それというのも、知人がブッキングを担当していたからです。ぼくと同世代の彼は、1960年代に人気を獲得したロック・バンドなんかを中心にプログラムを組んでいました。Tレックス、ジェファーソン・エアプレイン、アイアン・バタフライ、モンキーズ、ドノヴァン、ブラザーズ・フォアなど、どれも懐かしい名前ばかりが並んでいました。
しかしこのブッキングは完全に失敗で、とにかくお客さんが入りません。ドノヴァンのときは、たまたま行った日が雪だったこともあって、お客さんは3組くらい、トータルしても10人もいませんでした。それでファースト・セットが終わったらほとんどのひとが帰ってしまったのですから、ミュージシャンにとっても可愛そうな話です。
ぼくが行った日で「スイート・ベイジル」に50人以上入っていた日があったかどうか。とにかくそんな状況だったので、ひとりでもお客さんが多ければいいだろうと、ぼくも熱心に通いました。
それにしても、登場するグループやアーティストの名前はどれも魅力的でした。しかしオリジナルのメンバーがほとんどいないため、「昔の名前で出ています」式の面子だったのが残念至極です。だってTレックスには当然マーク・ボランがいないのだし、モンキーズはデイヴィー・ジョーンズ(だったかな?)以外は誰もいなかったんですから。
笑ってしまったのは、ブラザーズ・フォアです。このときが一番入ったと記憶しています。最初からお客さんも一緒に歌いだして、最後はフーテナニー(懐かしい!)のようになってしまいました。それで何に笑ってしまったかと言えば、オリジナル・メンバーがひとりもいないのはいいとして、そのうちのひとりが先週はキングストン・トリオとしてどこかに出ていたと紹介されたからです。まさしく名前だけが生き残っているんですね。ここまで来てしまうとメンバーは誰でもいいんです。ついでにキングストン・トリオの曲が歌われたのは愛嬌でした。
この第一期「スイート・ベイジル」は完全な失敗で、その後にマネージメントが変わり、現在のようにオール・ジャンルの音楽をブッキングするようになりました。数年前には、ぼくがプロデュースした平野公崇さんのCD発売記念ライヴもここで開かせてもらいました。
今日はストーンズのライヴに行って、その後は青山の「Val」でDJをやってきます。本当は家に帰ってコンサートの余韻に浸っていたいところですが、前から決まっていた予定なのでDJでもストーンズ特集にして、勝手に盛り上がっていようと思います。ストーンズとDJイヴェントの模様は、次回報告しますのでお楽しみに。