The 4th Newport Jazz Festival in Japan 1972.10.3 厚生年金会館大ホール

直前にキャノンボール・アダレイ・クインテットが不参加となり、メンバーは良かったもののジミー・スミスのセッションは出来が貧弱。ポール・デスモンドとジェリー・マリガン参加のデイヴ・ブルーベック・クインテットがまあまあの内容。











『伝説のライヴ・イン・ジャパン 記憶と記録でひもとくジャズ史』より
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『ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル・イン・ジャパン』(LP)
エレックレコード/Kiva KV 201
[Side One]
① バースデイ・フォー・ジャケー(J.J. ジョンソン)13:01
② ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス(ジョニー・バーク、ジミー・ヴァン・ヒューゼン)5:46
③ ケニーのブルース(イリノイ・ジャケー&ケニー・バレル)10:35
[Side Two]
④ ロビンズ・ネスト(イリノイ・ジャケー&サー・チャールス・トンプソン)9:25
⑤ ブルース・フロム・ルイジアナ(イリノイ・ジャケー)18:05
イリノイ・ジャケー(ts) ジェームス・ムーディ(ts, fl) ジェリー・マリガン(bs) ジョー・ニューマン(tp) アート・ファーマー(fgh) ジミー・スミス(org) ケニー・バレル(g) ジャック・シックス(b) ロイ・ヘインズ(ds)
1972年10月6日 東京で録音
1972年に吉田拓郎の〈結婚しようよ〉で大ヒットを放ったエレックレコードは、この年からジャズやシャンソンなど、同社的にはニッチな音楽にスポットライトを当てたKivaレーベルをスタートさせる。76年の制作中止までに、ジャズでは、杉本喜代志(g)、酒井潮(org)、スーパー・ギター(沢田駿吾、横内章治、小西徹、宇山恭平)、南里文雄(tp)のほか、アビー・リンカーン(vo)[177]とサド・ジョーンズ(cor)[240]の作品やV-Discの編集アルバムなどを出している。
第1弾がこの作品だ。69年に始まった「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル・イン・トーキョー」では、毎年3組ほどが出演している。この年は、本作に参加した大物ミュージシャンによるオールスターズがステージに登場した。
聴きどころ、見どころは山とある。しかし50分強のレコードでは物足りない。贅沢といえばそれまでだが、めったに聴けない大物たちのジャム・セッションで、顔合わせが興味深い。それぞれのアーティストによる演奏をじっくりと聴きたいところだが、ショーケース的内容で終わったのは、この手のユニットの宿命だ。ステージでリーダーシップを握っていたのはジミー・スミスだが、ここでの中心は年長者のイリノイ・ジャケーである。彼とジミー・スミスやケニー・バレルの共演が思いのほか充実している。ジョー・ニューマンとアート・ファーマーが意地を示す〈ブルース・フロム・ルイジアナ〉が最大の聴きものになった。ジェームス・ムーディのフルート・プレイにも手応えがある。
昔はこういうジャム・セッションがいたるところで繰り広げられていた。手に汗握るブルースでの競演はいつだってジャズの華だ。とはいえ、このメンバーでもう少ししっかりした音楽性を追求したら面白いことになったかもしれない。才人のジェリー・マリガンが参加しているのだから、「彼にアレンジを書かせたらよかったのに」と思うのは、ないものねだりをする筆者の悪いくせだ。