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川隆夫の JAZZ BLOG
Profile

©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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「証言で綴る日本のジャズ」

「ジャケ裏の真実
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小川隆夫ONGAKUゼミナール
@銀座le sept
3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


■TALK EVENT■
民音音楽博物館
「3月文化講演会」@神戸
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2006-03-08 ぼくが選ぶ優しいジャズ・ミュージシャン(その3)
 ちょっと間があいてしまいましたが、久々の3回目です。やはりマイルス・デイヴィスについて触れないわけにはいかないでしょう。
 傲岸不遜を絵に描いたようなマイルスですが、実際は優しい心の持ち主でした。気遣いも相当なものです。ぼくの個人的な体験についてはよそでも書いているので、今回は触れません。ひとつだけ、前回(ギル・エヴァンス)の繋がりで、書き残したことを追加しておきます。

 1970年代末のことです。マイルスは長期の隠遁生活を送っていました。彼のことを心配して、ギルはよくマイルスの家を訪ねたそうです。ところがそんなギルにも滅多に仕事はありません。
 そこで、ギルは久しぶりにオーケストラを結成しようと考えました。しかしオーケストラともなれば、リハーサルをするにしてもそこそこ費用はかかります。スタジオ代も必要ですし、写譜を頼むのにもお金がかかります。もっとも譜面を書くのが趣味だった彼のことですから、大半の譜面は自筆でまかなったそうですが。
2006-03-08 ぼくが選ぶ優しいジャズ・ミュージシャン(その3)_e0021965_034142.jpg そんなギルのところにヨーロッパのプロモーターからツアーのオファーが来ました。しかしオーケストラは存在しません。要領のいいミュージシャンなら、適当にメンバーを集めてツアーに出てしまうかもしれません。しかし完璧主義者の彼にはそれができません。

 この話は人づてにマイルスの耳にも入りました。そしてあるとき、彼は家にやってきたギルに向かってこういったそうです。
 「1週間後にオーケストラの譜面を持っておれの家に来てくれ」
 ギルには何のことかわかりません。マイルスにはオーケストラの構想は話してあったのですが、そこでストップしたままになっていました。
 そして1週間後。
 ギルがマイルスの家に行くと、オーケストラを構成するには数が足りませんが、何人かのミュージシャンが集まっていました。そしてマイルスはこういったそうです。
 「メンバー全員を集めてしまったら、おれのオーケストラになってしまうからな」
 あとは自分で集めろ、ということでしょう。
 このときマイルスに呼ばれたミュージシャンは7~8人だったそうです。ギルは当初フル・オーケストラを考えていたのですが、これがヒントになって、マイルスとかつて結成していた9重奏団に譜面を書き直しました。
2006-03-08 ぼくが選ぶ優しいジャズ・ミュージシャン(その3)_e0021965_0392510.jpg 結局ヨーロッパ・ツアーは準備が間に合わず流れてしまいましたが、この時期にマイルスの家で何度か行なわれたリハーサルがきっかけで、ギルはしばらくのちにパブリック・シアターでコンサートを開くことになります。

 ぼくが一番気になったのは、マイルスの家で行なわれたリハーサルに、マイルスが入ったかどうかです。ギルはこう教えてくれました。
 「マイルスはわたしたちの演奏に合わせて、勝手にオルガンを弾いて楽しんでいたよ」
 もしこのときのことをマイルスに訊ねたら、こんな風に嘘ぶいたかもしれません。
 「ギルのためにおれがメンバーを集めたって? あれはおれが楽しむために集めたんだ」
by jazz_ogawa | 2006-03-08 00:40 | 愛しのJazz Man | Trackback(1) | Comments(6)
Tracked from 『音楽神殿』-au公式着うた at 2006-05-18 12:59
タイトル : 全く新しいクラシック着うたサイト
《音楽神殿》は、演奏家とファンとを着うたと新着情報で結ぶ、まったく新しい着うた参A4任后・▲・札垢呂海舛蕕・蕁崚Z-webトップメニュー」→「カテゴリで探す」→「着うた」→「クラシック・ジャズ」→「音楽神殿」... more
Commented by forcek at 2006-03-08 16:35 x
小川さんたまたま、昨日の夜は昨年の9月号のスイング・ジャーナルの超名盤研究21の小川さんの記事を読んでいて「編曲に関する興味深いギルの存在」の部分に煽られて(笑)久しぶりに「ラウンド・ミッドナイト」をひっぱり出して聴いていました(笑)、マイルスは隠遁時はオルガンばかり使ってましたよねーしかしホントにマイルスは「ザ・男前」ですね(笑)今回もたまんない話をありがとうございましたー。
Commented by kozo at 2006-03-08 21:14 x
小川さん、こんばんは
お話しを読ませていただいて
Jazzに興味を持ち始めた頃に買った
JazzLife誌に掲載されてたマンガを思い出しました
ハービー・ハンコックがマイルスの家にはじめて呼ばれたときに
マイルスから「楽しめ!」と言われたそうで。。。

好きこそ、ものの上手なれ、ですかね
Commented by jazz_ogawa at 2006-03-08 23:51
forcekさん、最近マイルスの64年の映像を観ましたが、これがまるでファッション雑誌に出てくるモデルのようにイタリアン・スーツでびしっと決めていました。スーツのデザインもいま風で、なんとかっこいいのだろうと感じ入ってしまいました。やっぱりマイルスは憧れのひとですね。
Commented by jazz_ogawa at 2006-03-08 23:54
kozoさん、ハービーはマイルスが自分にどんな演奏を望んでいるのか分からなくて、ステージが終わるといつもロン・カーターやトニー・ウィリアムスと「ああでもない、こうでもない」と話し合ったそうです。そんな試行錯誤から最高のリズム・セクションが生まれたんでしょうね。
Commented by itabashi_1 at 2006-03-10 13:08 x
またもや小川さんならではのマイルスとギルの心温まるエピソードですね。偉大な音楽家同士でしかも無二の友人だったということなのでしょうか。
私はギル・エバンスをということでほとんど聴いてなかったのですがスケッチ・オブ・スペインが気に入って音響システムもかなりなものだった新宿木馬で何回かリクエストした記憶があります。ギルのオーケストレーションの素晴らしさとインプロバイザーとしての「マイルス」のアンサンブルが今になってどういうものであったか興味が湧いてきました。
たまたまiTunesにマイルス後期?、マーカス・ミラーとのMan With The The Horn、Tutuを入力してありましたので聴きながら書いてますがマイルスは「マイルス」でありながらマーカス・ミラーがうまくからんでご機嫌(懐かしい言葉)です。余談ですがTutuのCDジャケットには巨匠アービング・ペンの写真が使われていました。
マイルスについては小川さんのご著作を拝読しつつ私なりに聴きなおし惚れなおしてみるのが楽しみです。
Commented by jazz_ogawa at 2006-03-10 23:05
itabashi_1さん、いつもコメントありがとうございます。
マイルスとギルの関係は、互いに信頼し尊敬しあっていたことに尽きると思います。はたから見ていてとても羨ましい友情を感じました。
<< 2006-03-10 『マンハ... 2006-03-05 sanc... >>
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