1900年代初頭、ジャズはニューオリンズで誕生した。当初は黒人によるものだったが、すぐに白人もこのスタイルで演奏を始め、1917年には白人グループによって史上初のジャズ・レコーディングが行なわれる。
ニューオリンズ・ジャズは、黒人が歌う黒人霊歌や労働歌やブルースを元にしたもの。かつてこの街がフランスの統治下にあったことから、そこに西洋音楽の要素も加え、さらにはニューオリンズ名物のブラス・バンドによる手法もとり入れて生まれたのがこの音楽。
★キーパーソン:ルイ・アームストロング

ジャズの創世記にサッチモのニックネームで知られるルイ・アームストロングが出現したことも、ニューオリンズ・ジャズを発展させることに繋がった。トランペットで朗々とメロディを吹いたあとは、そのメロディを大胆に崩したアドリブを展開する。賑やかで陽気なサウンドはジャズの楽しさを目一杯に表現したものだ。
サッチモのほかに、ニューオリンズからはみずからを世界最初のジャズ・ピアニストと名乗るジェリー・ロール・モートンやクラリネットの名手ジョージ・ルイスといったアーティストも登場している。しかしサッチモが残した功績にはかなわない。彼が1920年代にシカゴやニューヨークに出て演奏したことから、この音楽はたちまちにしてアメリカ中に広がっていく。