先週の土曜日、本業を終えたあと、「ONGAKUゼミナール」が始まるまでに時間があったので、この日に封切られた「ジャージー・ボーイズ」を観てきました。
ブロードウェイのヒット・ミュージカルを84歳のクリント・イーストウッドが監督したフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの実録物語です。
2時間半近い映画ですが、あっという間に終わった感じ。イーストウッドの音楽を愛する気持ちがあちらこちらに溢れていて、あまたある音楽映画の中でも出色の出来映えと思いました。ぼくにとってはここ数年で観た映画のベストでもあります。

メンバーが独白するシーンをあちこちに散りばめていますが、中でもフランキー・ヴァリが娘を諭すシーンと、ラストで4人がそれぞれの思いを語る場面は泣けました。
娘の死を乗り越えようとしてレコーディングした「君の瞳に恋してる」のなんと甘く切ないことか。
多くのグループと同じで、頂点を目指しながらこのグループも解散してしまいます。ですが、この手のストーリーでは珍しいことにドラッグでのトラブルがグループ内には出てきません。
面白かったのは若き日のジョー・ペシがちょこまかと登場してくるところでしょうか。仕草といい喋り方といい本人にソックリ。彼がフォー・シーズンズ結成に大きな役割を果たしたことも注目です。
グループのメンバーで作曲家でもあるボブ・ゴーディオが入団前の15歳のときに作ったヒット曲「ショート・ショーツ」も登場します。日本では『タモリ倶楽部』の主題歌としてお馴染みのあの曲です。
音楽映画としてだけではなく、ニュージャージーの貧しいイタリア系アメリカ人を描いた青春映画として観ても楽しめましたし、イーストウッドがジャズだけでなくこうしたポップスにも深い造詣と強い思いがあることがひしひしと伝ってきました。