松居慶子さんのコンサートを観るのはずいぶん久しぶりです。日本ではこれが初めて。
その間にぼくのラジオ番組にも2回出演していただきましたから、ニューヨークで観たときとは印象もかなり違いました。グッと親近感を増した、というかね。
今回の東京公演にはサックスのカーク・ウェイラムとギターのチャック・ローブもゲスト参加。
ウェイラムといえば、20年以上前にシカゴでプロデュースしたESPのときに数曲でゲスト参加してもらったことがあります。このときの彼はロスからニューヨークに行く途中でスタジオに寄ってくれました。
数日前のオファーという急遽のゲスト参加依頼にもかかわらず、快く応じてくれたウェイラムはとても折り目正しい紳士でした。今回のコンサートでも人柄のよさはそのまま。
松居さんの演奏はひたすら心地よく、それでいて奥の深さも感じられます。彼女が書く曲にはメッセージや環境問題などが込められていて、共感するところ大です。
さすがアメリカ(もちろんそれ以外の国でも)で長年に渡ってトップの人気を誇るひとりだけありますし、だからこそ世界中で多くのひとを感動させているんでしょう。
今回の新作『SOUL QUEST』は24枚目の作品だそうです。アルバムを発表する度に進歩や変化を示す。それも長年に渡ってのこととなれば、並大抵の努力ではできません。
わが身を振り返ってみますと、ぼくも30年以上この業界にいます。ですが何の努力もしていません。雲泥の差です。
常に注目を集める存在でいることは、さまざまな点でひととは違うこと、それもクリエイティヴかつ共感されることを途切れることなく続けてきた結果だと思います。
いまさら見習えませんが、そういう姿に接することで刺激されたことは間違いありません。そのことも含めて素敵なコンサートでした。
この日は昼間から出ずっぱりだったので、夜は少し寒くなっていましたが、気分が高揚したこともあり、余韻に浸りながら家までウォーキング。いい季節になったものです。
「SOUL QUEST」ワールド・ツアー2014
【出演メンバー】
松居慶子(p, key)
トム・ブラクストン(sax)
リカルド・ベルド(b)
ジョアン・ペドロ・モウラウン(g)
デイブ・カラソニー(ds)
ゲスト:カーク・ウェイラム(sax)
チャック・ローブ(g)
2014年5月23日 「ES THEATER ROPPONGI」