
サッカーのワールド・カップ出場も決まり、これからはコンフェデ杯が楽しみな今日このごろ。その前にイラク戦が残っていますけどね。さらにその前々日放送の「Jazz Conversation」もお忘れなく。
それで今回は「60年代の日本のジャズ・シーン」を大特集。

まずは冒頭のコーナー。ジャズ・ファンなら知らないひとはいないと思うのですが、愛知県・岡崎市にドクター・ジャズこと内田修先生あり。医師として大先輩の内田先生はジャズ・ファンとしてもとてつもないひとです。
60年代には毎週のように重いテープ・レコーダーを担いで上京し、銀座の「銀巴里」で開かれていた新世紀音楽研究所主催のライヴを録音。一部は70年代に入ってスリー・ブラインド・マイスから『幻の銀巴里セッション』として発売されるや大反響を呼びました。
さらにはみずからが主催する「ナゴヤ・ヤマハ・ジャズ・クラブ」での定例演奏会も録音。これまた膨大なテープが残されています。
もっとすごいのは、自宅に「ドクターズ・スタジオ」を開設したこと。ここでも名だたるミュージシャンがリハーサルやジャム・セッションを繰り広げ、それらも録音していたんですね。
その秘蔵コレクションがいよいよCDのシリーズとして発売されることになりました。
第一弾の『内田修コレクション Vol.1』は先月から岡崎市の図書館交流プラザ「りぶら」で販売中です。内容は以下のとおり。

「V.A./内田修コレクション~カタログ編 Vol.1」(YAMAHA)
1. 木更津甚句/The Village
65年1月17日「第4回定例コンサート:秋吉敏子サヨナラ・コンサート」より
秋吉敏子(piano solo)
2. FAST
65年12月20日「ヤマハ・ジャズ・クラブ第12回定例コンサート:猪俣猛とウエストライナーズ・クリスマス・コンサート」より
猪俣猛(ds)、伏見哲夫(tp)、鈴木重男(as)、原田忠幸(bs)、前田憲男(p)、滝本達郎(b)
3. 634(リハーサル)
63年4月29日「ドクターズ・スタジオ」より
鈴木孝二(as)、日野皓正(tp)、高柳昌行(g)、宇山恭平(g)、影山勇(b)、石井剛(ds)
4. 634
63年5月27日「新世紀音楽研究所 第6回発表会@銀巴里」より(4~6)
鈴木孝二(as)、日野皓正(tp)、山下洋輔(p)、滝本達郎(b)、石井剛(ds)
5. Halation
鈴木孝二(as)、日野皓正(tp)、高柳昌行(g)、宇山恭平(g)、金井英人(b)、石井剛(ds)
6. ZERO
鈴木孝二(as)、日野皓正(tp)、高柳昌行(g)、中牟礼貞則(g)、山下洋輔(p)、金井英人、滝本達郎、影山勇、稲葉国光(b)、山崎弘(ds)

この「りぶら」には内田先生の膨大なコレクションが保存・展示されています。とはいっても個人的に録音していたすべての音源が聴けるわけじゃありません。そこで、佐藤允彦さんを監修者に立て、少しずつCD化していこうという企画が進行中。
今回は19時台の1時間を使って評論家の相倉久人さんをゲストに「証言で綴る日本のジャズ」をお送りしますので、そちらと連動させる形で冒頭のコーナーを構成してみました。

相倉さんも60年代の日本のジャズ・シーンを語る上で欠かせないひとりです。どれだけ重要な人物かは番組をお聞きいただければわかるかと思います。

相倉さんには「怖いひと」のイメージがありました。ところが先入観とはあてにならないもの。お会いしたら実に温厚な方でした。ただし話の端々に過激だった時代=60年代のことが出てきます。

ぼくのようなヤワなジャズ・ファンのなれの果てとはまったく逆で、いまなお硬派のジャズ評論家の面目躍如たるところが番組で紹介できていればいいのですが。

そして「マイルスの真実」でも60年代の終わりに録音された『ビッチズ・ブリュー』がテーマ。今回も要注意の音源がかかります。
という内容ですから、次回の「Jazz Conversation」は2時間丸ごと60年代にタイム・スリップします。
興味のある方は日曜の18時からInterFMでお耳にかかりましょう。
Jazz Conversation #176(2013.6.9.放送)
①【18:00:『内田修コレクション Vol.1』】
②【18:22:マイルス・デイヴィスの真実(第150回:「スパニッシュ・キー」)】
③【19:00:証言で綴る日本のジャズ(8)~相倉久人】(1時間)