
少し前に観たバート・バカラックのステージも感動的でしたが、今回も大きな感動を覚えました。
今年はピアソラがこの世を去って20年。彼の遺伝子を受け継いでいるようなところもあるリシャール・ガリアーノだからこそ実現できた七重奏団の“ピアソラ・フォーエヴァー”を、1週間ほど前に「ブルーノート東京」で観てきました。

それにしてもよかった。バックは弦楽四重奏+ベース+ピアノの編成。ダイナミックかつ繊細、そして華やかでいて哀愁も感じさせる。タンゴの魅力をガリアーノが存分に表現しつつ、ジャズとしても素晴らしい演奏をたっぷりと聴かせてくれました。

アルゼンチンだかパリだかわからないけれど、異国情緒満点。異国の街角に佇んでいたらどこからともなく聴こえてきた音楽。エキゾチックで少し寂しげ。そんな空気が感じられたライヴです。
スペシャル・ゲストの寺井尚子さんも雰囲気を壊したくなかったのでしょう。登場したのはラストの2曲とアンコールの2曲だけ。彼女のファンには物足りなかったかもしれませんが、この4曲での全力投球も気持ちがよかったです。

ステージが始まる前のインタヴューではちょっとしたアクシデントが。現場に行って、はじめてガリアーノさんがフランス語しか話せないことを知りました。
事前に確認すべき事柄でしたが、世界中で活躍しているのだから英語はしゃべるものと勝手に判断(というかそんなことすら考えていなかった)した当方のうっかりミスです。

同行してきたエンジニア氏が英語とフランス語を話すというので、彼に通訳をしてもらうことになりました。ところがインタヴューを始めたら、当方の質問にガリアーノさんはフランス語で応じてくれるじゃないですか。話の流れを中断したくなかったので、せっかく通訳を買って出てくれたエンジニア氏には申し訳なかったのですが、そのままフランス語と英語でのインタヴューを続行しました(左の彼、所在なさげでしょ)。
出来映えのほどはそのうち「Jazz Conversation」で放送しますのでお楽しみに。
ガリアーノさんとぼくは同じ年(関係ないか)。彼の暖かい人柄に触れ、そして本物だけが持つ素晴らしい音楽を堪能し、充実した夜はすぎて行きます。

巷ではいろいろなことが起こっていますが、こういう時間がすごせることの幸せをいまさながらに感じた一夜となりました。
【メンバー】
Richard Galliano(acc, bandneon)
Sebastien Surel(vln)
Bertrand Cervera(vln)
Jean Marc Apap(vla)
Eric Levionnois(cello)
Stephane Logerot(b)
Dimitri Naiditch(p)
Special Guest:Naoko Terai(vln)
2012年9月21日 ファースト・セット