昨日、観てきました。ジョシュア・レッドマンが中心のグループですが、特定のリーダーは立てず、メンバー全員が対等の立場で音楽と演奏にかかわるカルテットです。
メンバーの頭文字を組み合わせてのグループ名。それなら「Jame's」とアポストロフィーをつけたほうがよかったのに、なんて思ったりもしますが、まあそんなことはどうでもいいか。
ファースト・セットの始まる前にラジオ用にインタヴュー。ジョシュアに話を聞くのは久しぶりです。本格的にデビューして20年。
ご存知の方も多いでしょうが、彼はハーバードを主席で卒業し、イエールのロー・スクールに進む予定でした。しかしその前に1年くらい勉強から離れようと考え、ニューヨークに出てきます。ブルックリンの友人宅に居候をし、夜な夜なジャズ・クラブで飛び入りしていたんですね。
その時点で、ぼくたちの間ではすごい評判を呼んでいました。ぼくも2度ほど、偶然に当時の彼のプレイに接し、びっくりしたものです。コルトレーンの再来かと思いました。
直後にはモンク・コンペティションで優勝。そしてレコーディング・デビュー。あれから20年です。インタヴューではそんなことも振り返ってもらいました。
いつも気さくで雄弁に話してくれるジョシュア。ステージも同じです。James Farmはアルバムを1枚だけ出していますが、そのスタジオ録音よりはるかにダイナミックなプレイを堪能させてもらいました。
一緒に観た作家の平野啓一郎さんも、「CDより面白かった」とのご意見。同感です。
今回は自分がリーダーでないため、MCも少なめ。おかげで演奏に集中できました。それにしてもジョシュアの吹くフレーズは面白い。タイプは違いますが、予定調和のないフレーズの数々からはウエイン・ショーターに通じるものが感じられました。
そうか、彼がデビューして20年が経つんだ。演奏を聴きながらそんなことに思いを馳せていました。ジョシュア曰く「何も考えずにやっていたら20年が経っていた。少しはましなプレイヤーになれたと思うけど、どうだろう?」
この言葉は謙遜と受け止めておきましょう。この20年間、彼が残した実績と業績には素晴らしいものがあります。常にレギュラー・コンボを率いての活動。それを通してモダン・ジャズの現在進行形を素晴らしい形で示してくれました。そしてこのJames Farmは、ジョシュアにとってある意味でこれまでの集大成的なグループだと思います。
ジョシュアが単独リーダーではないグループ。ゆえに他のメンバーの曲も積極的に演奏します。それらを通し、ぼく的な好みからいえば、いまのモダン・ジャズの理想形のひとつを聴かせてくれたJames Farmとジョシュア。
次の20年で彼はどのような音楽を聴かせてくれるのか。生きているうちに次の金環日食は観られませんが、20年後のジョシュアなら、節制をして健康に留意し、日々を楽しく過ごしていればひょっとすると観ることができるかもしれません(でも、やっぱり無理かな?)。
【メンバー】
JOSHUA REDMAN(ts)
AARON PARKS(p)
MATT PENMAN(b)
ERIC HARLAND(ds)