現在乗りの乗っているトランペッターがファブリッツィオ・ボッソ。彼のライヴを19日の土曜日に観てきました。
最後にメンバー紹介をするまでひとことも発せず、黙々と演奏に集中。丁寧にMCをしてくれるアーティストも好きですが、こういう「音楽一途」のひともいいです。
抜群のテクニックと豊かな表現力。この両方をバランスよくライヴの場で示せるひとは、最後まで飽きさせません。まさしくボッソがこのタイプ。
新作の『ニーノ・ロータに捧ぐ』ではロンドン交響楽団との共演が実現。オーケストラ作品なので、カルテットによる今回のライヴではそのアルバムからの曲はやらないのかな? とも思っていました。が、「山猫」や「ゴッド・ファーザー」のテーマがコンボで聴けたのもよかったです。
あと感心したのは、「ニューオリンズ」でのワー・ワー・ミュートの使い方。最近のプレイヤーはハーモン・ミュートは使っても、手でワー・ワーさせるひとはあまり見かけません。このあたり、きちっと基本も学んでいるんでしょう。
基本といえば、ボッソの音楽自体が実にジャズの伝統に根ざしています。そこにぼくは惹かれるんでしょうね。紛れもなく現代のモダン・ジャズですが、根底には1960年代あたりのジャズのスタイルが脈々と息づいています。
現代的な感性全開でいてモダン・ジャズの王道も行く演奏。こういうプレイヤーとそのひとが生み出す音楽。実に小気味よく、なおかつ心地よかったです。
【メンバー】
Fabrizio Bosso(tp)
Claudio Filippini (p)
Tommaso Scannapieco(b)
Lorenzo Tucci (ds)