
少し前ですが(11月27日)、ジョージのドキュメンタリー映画『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』を観てきました。マーティン・スコセッシが監督で、休憩を挟んでの4時間弱。
彼が監督したボブ・ディランのドキュメンタリー『ノー・ディレクション・ホーム』がよかったので、今回も期待していました。長さを感じず十分に楽しめましたが、ビートルズやジョージのことを知らないひとはどうなんでしょう? そういうひとは観ないか。
前半はビートルズ解散直前まで。『アンソロジー』と重なる映像やエピソードも多数出てくるので、『アンソロジー』のダイジェスト版といったところでしょうか? でも観たことのない古い映像や写真も次から次へと出てきますから、飽きません。テンポもいいです。
後半はビートルズ末期からソロ活動、そしてこの世を去るまで。ジョージがインド哲学にのめり込み、音楽にどれだけ強い影響を受けたか、そのことがよくわかる内容でした。宗教観ゼロのぼくにも、旧態依然とした宗教観の持ち主たちと多宗教派のジョージとのやりとりが興味深かったです。しかもジョージの考えの方に説得力があったように思いました。
この映画を観て、これまで以上にジョージの物事に対する考え方がはっきりとしました。紹介された曲がいかに奥の深い内面を持っていたか。それも驚きのひとつです。一般にはジョンが哲学的な考えをしていたと思われていますが、ジョージはジョンとは違う形で世の中や人生を哲学していたようです。
ジョン・コルトレーンが来日時のインタヴューで「わたしは聖者になりたい」と発言しましたが、ジョージも同じように考えていたんですね。
「マイ・スウィート・ロード」を聴いたときからそう思っていましたが、それ以前、たとえばビートルス時代の「ヒア・カムズ・ザ・サン」にも、ラヴ・ソングの形を取りつつそういう思いが込められていたことがわかりました。
あとはそこまで言うかというくらいクラプトンが個人的な話をしていたのにもビックリ。昔の面影はほとんど消えてしまった(残念!)パティの話もストレートで、こういうのはスコセッシ監督ならではでしょう。瞬きひとつしないで話を続けるフィル・スペクターの異様さも存在感十分です。

この映画は12月にDVDで発売されます。いつものように数ヴァージョンが出るようですが、とりあえず5000セット限定のボックスを予約しておきました。